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神聖具と厄災の力を持つ怪物  作者: 志一 ゆもも
ディザスターとその力と神聖具
20/102

十九





 ミレイが移動し始めて、暫く経った時。鐘の音が再び、響き渡っていく。

 「何? 又、怪物の群れ?」

 ミレイは、音のする方向を聴いて、そちらを見据える。

 「音がしてるのは違う門みたいね。という事は、新たな怪物ね」

 そう言うと、そちらの方に、屋根から屋根へ跳躍して進んでいく。







 ミレイは、南西の門の外に着いていた。

 他の冒険者達もある程度いて、口々に同じような事を言っている。

 「こんなに怪物が来るなんて久し振りじゃないか?」

 「確かにな。しかも宴の日だってのによ」

 ミレイは怪物を待ち構えていると、突然、肩をぽんと叩かれた。

 ミレイは後ろを振り向く。が、別段驚かない。

 見知った相手だからだ。

 「よう、嬢ちゃん。久し振りだな」

 中型の斧を携えた、がたいの良い男は、笑ってそう言った。

 今目の前にいるのは、ディザスター、ミノタウロスを相手に、共に戦ったダークスという男だ。


 「久し振りね、おっさん。まだ王都にいたのね」

 「ああ、宴があるから楽しんでいたんだが······。まさか、こんな事になるとはな」緊迫感のある表情で、ダークスは言う。

 次にその表情を崩すと、「それとな、何度も言ってるが。俺はおっさんじゃねえ」と突っ込みを入れた。


 「何言ってるのよ。どう見ても、おっさん顔じゃない」

 「そうだが······これでも二十五······」

 ダークスが最後まで言い終える前に、突如ミレイを呼ぶ声がする。

 「ミレイ!」

 その声は、シングだった。彼は、駆けて近付くと止まる。

 暫く息を切らし、落ち着いた所で言葉を発する。

 「やっと追い付いた······」


 「あんた、良く見付けられたわね」

 「それはミレイが、建物の屋根を跳んでいくのが見えたからね」

 そこでシングは、ダークスがいる事に気付く。

 「ダークスさん、久し振りです」

 「ああ、久し振りだな、坊主」

 ダークスは、拳を前に突きだす。

 シングも同様の仕草をして、拳同士を合わせた。


 「シングさん~!」

 突然、間の抜けた声が響いた。

 リアだった。

 リアは、よろよろとした動きでシングに近付く。

 「シングさん、ひどいのです~。リアから、どんどん離れて行っちゃいますし~」

 「リア、ごめんよ。急いでいたからさ、つい」

 「坊主、その姉ちゃんは?」

 ダークスのその問いに、シングは答える。

 「僕達の新しい仲間のリアです」


 「前方に蛙の怪物の群れを確認! 各自、迎撃態勢を!」

 突如、監視をしていた王国兵の声が響き渡った。

 「どうやら、のんびり会話をしてる時間はないみたいだな」

 ダークスは、中型の斧を手に、構える。

 「再びリアの出番なのです!」

 リアはそう言うと、詠唱を始める。

 「限りを超越せし力······彼の者らに与えよ! オール・ブースト!」

 唱え終わると、ミレイ、シング、ダークスの体が輝きに包まれた。


 「おお、これは力がみなぎるぜ」

 ダークスは、目を見張りながら、そう言った。

 「やっぱり、この魔法は凄いね。何でも出来そうな気分だよ」

 シングは剣を構える。

 「そうね。リアは気に食わないけど、魔法の実力だけは認めてあげるわ」

 ミレイも大斧を右下段に構えた。


 蛙の群れは段々と近付いてくる。

 距離が近付くにつれ、更にはっきり分かってきた。巨大な蛙が複数体おり、それよりも小さな蛙は大量にいる。


 怪物の群れとの距離が、ある程度になった時、声が響き渡る。

 「突撃ー!」

 ミレイ達含めた他の冒険者や、王国兵が蛙の群れに向かって、駆けていく。

 だが、ミレイ達が距離を詰めるより早く、巨大な蛙四体が高く跳躍してきた。

 ミレイ達や他の者達は、その四体の蛙に囲まれる。


 「やってくれるじゃない······」

 ミレイはそう呟き、大斧を持つ手に力を込めた。



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