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神聖具と厄災の力を持つ怪物  作者: 志一 ゆもも
ディザスターとその力と神聖具
13/102

十二





 「確か、ディザスターの襲撃に遭ってだったな」

 国王の言葉を、シングは否定する。

 「いえ、ランカスター王国が滅んだのは、アルドーク帝国が攻め入って来たからです」

 明かされた真実に、国王と宰相は目を丸くする。


 「なんと······!?」

 宰相は、動揺をあらわに声を上げた。

 国王はそれから、一拍置いて言葉を発する。

 「······それが本当ならば、平和条約に抵触しているな。なあ、ウォルソン宰相?」

 「ええ、そうですとも」

 国王の言葉に、宰相は同意した。


 続けて宰相は、重い雰囲気で国王に問う。「して、陛下。どのように致しますか?」

 「決まっているだろう? アルドーク帝国は、暫く泳がしておく」


 「そうですか。······訳を問うても宜しいですかな?」

 「今はまだ、復活したディザスターが二体残っているからな。帝国と争っている時ではないのだ」

 「では、ディザスターを討伐した後ならば、帝国と決着をつけると?」

 「当然だ。アルドーク帝国には密かに監視をつけろ。良いな?」

 「了承しました。そのように手配致します」

 宰相は軽く(こうべ)を垂れる。


 「さて、シング・オブ・ランカスター。これで()いか?」

 「はい、問題ありません」

 「それでは、神聖グラシア国へ出立するまで、王宮でゆるりとするが良い。出立は三日後だ。二日後には、この王都で宴がある」

 国王はそこで、機嫌良さそうに口角を上げる。

 「良ければ、その宴も楽しむといい」

 国王のその言葉を最後に、謁見の時は終わったのだった。







 太陽が沈み、まだ間もない時、ミレイは床に就いていた。

 不意に、扉をノックする音が響く。

 「誰よ?」

 「僕だよ。ミレイ」

 「なんだ、あんただったのね」

 ミレイは、寝台から出て立ち上がる。

 「良いわ、入りなさいよ」

 「それじゃ、失礼するよ」

 シングは、扉を開けて中に入った。

 扉が閉められると、ミレイの方から話を切り出す。


 「それで何か用なの?」

 「うん、話があってさ······。まずはバルコニーに出ようか」

 シングは先に歩いていくと、バルコニーに出ていく。

 ミレイもその後を付いていき、バルコニーへ出ていった。




 ヴァルコニーに出てから、シングは中々話し出そうとしない。

 ミレイは、無言で彼方を見つめていたそんな彼を、眺めていた。


 すると不意に、「ミレイ······」とシングは声を掛ける。

 ミレイは慌てて前を向く。

 「な、何よ?」

 「ごめんよ······。すぐ、元の姿に戻してあげれなくて······」

 「なんだ、そのことね。別に良いわよ。残り二体、ディザスターを倒せば、元に戻れるんだし」


 「でも······! 僕は自分自身を許せない······。ミレイが、今の状態になったのだって、僕を庇ったからだ」

 シングは暗い面持ちで俯く。

 「あんたは昔から変わんないわね。そうゆうところ。あんたが、気にする必要ないのよ。庇ったのだって、あたしがそうしたかったからだし」


 「でも!」

 シングがそう声を上げると、ミレイは人差し指で彼の口元を抑えた。

 「『でも』は無しよ。もう、この話は終りにするわよ」

 「分かったよ······。最後に一つ言いたいことがあるんだ」

 シングは、ミレイの顔を見据える。

 「何?」

 「もし、体に変調が現れたら僕に真っ先に言ってほしい。······副指揮官さんも、このままの状態が続く訳はないって言ってたし」


 「分かったわ。その時は伝えるわよ」

 

 話が一通り終ったミレイとシングは、室内に入っていく。

 「ミレイ、お休み」

 シングは、そう言って部屋を後にしていき、その後ミレイは、床に就いて目を閉じた。


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