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神聖具と厄災の力を持つ怪物  作者: 志一 ゆもも
ディザスターとその力と神聖具
12/102

十一





 二人に話し掛けてきた声の主は、白髪の男性だった。長い後ろ髪は結んでおり、前髪は後部へ撫で付けている。


 「アルバート······!」ミレイは呟く。

 「ウォルソン宰相、二人とお知り合いですか?」

 副指揮官は宰相に問う。

 「知り合いも何も、お二方は今は亡きランカスター王国の王子と公爵令嬢。公的な場でお会いしていて知ってるまでのこと」


 「二人が······いえ、お二方が······まさか」副指揮官は、驚愕の面持ちでミレイとシングをちらりと見る。

 「それにしても、御二人がディザスターの襲撃から生きていたとは······(わたくし)は嬉しい限りで御座います。そういえば······ミレイ様······。その角と尻尾は一体······?」

 宰相の声色が喜びから、わなないたものに変わっていく。


 「アルバート、これはディザスターのせいで······」

 ミレイが説明しだすと、副指揮官が間に入った。

 「その事なんですが、詳しいことは後で説明致します」

 「そうですか、了承しました」

 宰相は頷いた。

 その時、シングは呟く。

 「ディザスターの襲撃······?」

 先程の宰相の言葉を。

 まるで、初めて耳にした事実のような表情をしていた。


 「シング様······? どうかしましたかな?」

 宰相の問いに、シングは口を開く。

 「ウォルソン宰相、ランカスター王国が滅んだことについてですが、話したい事があるんです。これから、国王陛下に謁見出来ないでしょうか?」


 シングの真剣な表情に、事情があると察した宰相は、「了承しました。(わたくし)から陛下に話を通しておきましょう」と頷く。

 続けて、「そうとなれば、御二人には準備をして頂けなければ。こちらへ」と王宮内へ案内しだした。







 夕暮れになった時に、女性の使用人二人に案内されて、ミレイとシングは、謁見の間の扉の前にいた。

 「こちらになります。どうぞ、お入り下さい」


 警備兵二人が、装飾の入った扉をゆっくり開けていく。

 完全に開け放たれた時、ミレイとシングは大広間へ入っていった。

 二人はそのまま進んでいき、程良い所で止まると、腰を落として顔を伏せる。

 暫くして、ヴィンランド国王の声が響く。

 「顔を上げよ」


 ミレイとシングが顔を上げると、豪奢な椅子に座る一人の男性がいた。

 年齢は二十代後半位で、金色の髪に青い瞳。

 顔立ちは、切れ長の目元が特徴で、自信たっぷりな印象だ。

 髪は短すぎず長くもなく、前髪は真っ直ぐ下ろしている。


 隣には宰相が控えていた。

 「久しい顔だな。シング・オブ・ランカスターにミレイ・リィンザー?」

 国王はそう話を切り出し、次にミレイの風貌(ふうぼう)をじろじろと見る。

 「それにしても妙な姿になったものだな? ミレイ・リィンザー?」

 国王は笑いだす。

 「失礼ですぞ、陛下」

 宰相は国王を諫める。


 「これは失礼だったな。許せ」

 「いえ、問題ありません。それより陛下こそ、相変わらずお元気そうで何よりです」

 ミレイは、皮肉混じりにそう言った。

 「して、挨拶に来たわけでもあるまい。申せ」

 国王がそう促すと、シングは口を開く。

 「はい、見ての通りミレイは、ディザスターの厄災の力で牛の角等が生えてしまっています。宜しければ、貴国の神聖具、救済の(はい)を使用させて頂きたいのですが」


 「ほう、だが、只で使わす訳にもいくまい。何せ神聖具だからな」

 国王が渋ると、宰相が割って入る。

 「陛下、(わたくし)からもお願い致します」

 「(じい)、いや、ウォルソン宰相。何も神聖具を使わせないとは言ってない。只、条件があるだけだ」

 国王の言葉に、シングの表情が変わる。

 「条件······ですか?」


 「そうだ。二人にはディザスターの討伐に尽力して貰いたい。その手始めに、神聖グラシア国の協力を取り付けてほしいのだ。使者としてな」

 「ディザスター討伐と神聖グラシア国の協力の取り付けですか······」

 シングは思案顔をして、ちらりとミレイの方を見る。


 すると、視線に気付いたミレイは、目線を送り返して頷く。

 「分かりました。お受けします」

 シングは、国王に向かってそう言葉を発した。

 「そうか。それは助かる。それと、神聖グラシア国にもディザスターが現れている情報があってな。そのディザスターも討伐して貰えると助かる」

 そこで、国王は片方の口角だけを上げて、笑う。

 「なに、二人だけで討伐してもらおうとは考えておらん。一人、優秀な仲間を付けよう。それと、魔法使団(まほうしだん)と王国兵もな」


 「それと国王陛下、まだお話ししたい事があります。我が亡き父、その王国、ランカスターが滅んだ経緯についてです」

 シングは、もう一つの本題を切り出すのだった。



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