表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/102

~襲撃~




 紅い炎が、そこらの建物内の通路を踊りくるうかの様に燃やしている。 

 その紅い炎と似た赤い髪の少女は、炎の起こす煙にむせながら、右手で口と鼻を覆っていた。


 たどたどしい足取りで通路を進んでいく。すると、複数の足音が激しく迫って来る。


 「いたぞ!」

 鎧を身に付けた一人目の屈強な男が、眼前の赤髪の少女を発見すると叫んだ。

 男は腰の鞘から剣を抜き放ち、斬ろうとする。


 「おい、待てよ! よく見りゃこの娘、中々可愛いじゃねえか。ここは俺らで楽しまねえか?」

 二人目の若い男がそう言って止めると、屈強な男は「······それもそうだな」と同意する。


 「おれも賛~成」

 三人目の軽薄そうな男もそう言うと、屈強な男が赤髪の少女の腕を掴んで引っ張る。「おら、こっちに来い!」


 「いや、やめて! あんた達何する気!? あたしが誰だか分かってるの!?」

 赤髪の少女は声を荒げながら、男の手を振りほどこうとする。


 「分かんないな。ここはもう戦場だ! 戦場である以上、身分が関係あるか!」屈強な男はそう言った後、高らかに笑った。


 「いや、離して!」

 赤髪の少女は諦めずに抵抗していくが、男の力には抗えないのだろう。

 次の瞬間には、男の肩に担がれていた。


 「下ろして! 下ろしなさいよ!」

 少女はそれでも抵抗を続ける。

 「暴れんな! ったく、めんどくせえ」屈強な男は構わず、担いだまま歩いていく。


 「ハハハッ! 抵抗したって無駄だぜ。これからお前は俺らの(なぐさ)み者になるんだ。誰も助けになんて来ねえよ!」若い男は下卑(げび)た笑いを上げ、そう言った。


 「そうそう!」軽薄そうな男もにやにやと笑う。

 赤髪の少女は、「そんなことないわ! 絶対助けに来てくれるんだから!」と言うと、目を閉じ唇にぎゅっと力をいれて願う。


 (絶対あいつが来てくれるんだから······! あの時みたいに······)

 「勝手に言ってろ。さて······」男達の足取りが止まった。気づけば屈強な男の手によって、建物の外に出ていた。 

 男は少女を下ろすと、スカート部分の布を引きちぎり、逃げれないよう両腕と両足を縛っていく。


 「そろそろお待ちかねだぜぇ」

 若い男は少女に近付き、胸元の服を縦に引きちぎる。

 「いや! ······あんた達、こんなことして只じゃ済まさないんだから!」

 赤髪の少女は、男達を強く睨み付ける。


 「こいつ、こんな状況でも良くそんな事言えんな。······気の強い女はきらいじゃねえ。なあ、俺からでもいいか?」

 若い男は、後ろにいる二人の男に聞く。


 「先に良いぞ」「別におれもそれで」

 屈強な男と軽薄そうな男は、揃って譲る。


 「という訳だ。それじゃ、楽しもうぜぇ」若い男は跨がり、顔を少女の顔に近付けていく。

 「いやっ······」赤髪の少女は、抵抗を諦め目を強張(こわば)らせるように閉じた。

 (······もう、駄目なの?)


 突如、少女と男達に近付く足音が響く。音は大きくなっていき、間近まで迫った時。少年の必死さを感じさせる声がした。

 「ミレイ!」

 赤髪の少女にとって、気力を取り戻させてくれる、安心させてくれる声だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ