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第一章 海と千春

「え?千春(ちはる)、付き合ったの⁈」


夏休み明けの初日。私、青野(あおの)琴葉(ことは)のクラスである3年D組では、その話題で持ちきりだった。


「そー。昨日の夏祭りで(かい)に告られたらしーよ」


「海に…」


心の底から驚きだ。


海も千春も同じ水泳部の同級生。


この夏で引退したけど、私たちの代は男女ともに仲が良い。3日前にも千春と海を含めた三年生6人でボーリングに遊びに行ったばかりだ。けど、その時にも全然そんな素振り見せなかったのに。


「やー、なんかロマンティックだよねー。海くんもやるじゃん。夏祭りで告るとか」


勝手に私の前の席(他の人の席である)に座ってうっとりしているのは、合唱コンクールのときに仲良くなった川村さん、もとい(りん)ちゃんだ。


「まあ、千春と海だったら納得だよね」


「同じ部活だしねー。そうだ琴葉。部活でなんか二人の情報があったら聞いてきてよ」


「もう、うちら運動部は引退したんだけど」


凛ちゃんは吹奏楽部だから文化祭まで部活があるらしい。あと2週間だ。


「えー、でも情報くらいは集められるでしょ?一緒に遊ぶときとか、さらっと!」


「そこまで知りたい?恋バナ好きすぎでしょ」


「他人の恋バナめっちゃ好きー!特に今回は美男美女っていうの?二人が並んで歩いている姿を想像したら、もー、なんていうの?最高だよね!!」


「興奮しすぎだろ、お前」


突然頭の上から声がした…と思ったら、またまた同じ部活の拓だった。


「あ、拓くんじゃーん、おはよ!ねえねえ、千春と海くんのこと、なにか知ってることある?」


千春と海くん、と聞いてから、急に拓の表情が陰った。


「…知らね」


それだけ言うと、さっさと私の後ろの席である自分の席に座って、話しかけるな、という風に本を開いてしまった。


私と凛ちゃんは顔を見合わせると、なんとなく盛り上がっていた気持ちがしぼんでしまったのか、自分の席に戻っていった。



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