理不尽ですね
「ほらねー?自分が神達に弄ばれる存在だとか自分の人生なんだろうって思いだしたらしんどくない?だからそのまま転生しとけばよかったのに」
「…もうそれが最善なような気がしてきた」
「ん、ならさっさと転生の準備進めちゃおうか~この乙女ゲームしたことあるよね?」
「え?まあ有名なゲームだったし結構好きな話だったんで…は?!俺まだ転生するとか言ってませんからね!!」
白い空間に突如として半透明なPCパネルが出現し、カタカタと音をたてアダマスが何事か打ち込んでいく。
慌てて制止するが、それで止まるような人ではないと、この短い時間の間で恭治郎は痛感していた。
「フィオーレさん!アダマスさんに何か言ってください!俺確かに冴えない人間ですけど、乙ゲーの主人公に転生してまでハーレムとか築いてやろうとか変わってやろうとか思うほどの悲惨な人生送ってないんですよー!!」
「あの~恭治郎君、さすがに私に助けを求められても私も貴方を転生させようとしている立場だからね?」
「ですよねーー!!」
一か八かで、今まで恭治郎に対して気遣いをしてくれたフィオーレに助けを求めるが困惑した顔で拒否された。
「知ってた、そりゃそうだよ…俺ってバカ」
「…こんな立場でいったらダメだってことは分かってるけどね、私たちも結局上の神様たちには逆らえないんだよね」
今の今まで柔和な顔つきだったフィオーレが複雑な面持ちで恭治郎に向けてポツリとつぶやいた。その表情から恭治郎は何も言えずただただフィオーレの顔を見つめ返すしかなかったのだ。
「結局ね、私たちもアンタらもオーナーを悲劇や喜劇で楽しませる演者でしかないんだよ、あーあ人生クソ仕事なんてしたくないわ~」
カタカタと打ち込む音がいつの間にか止んでいた。恭治郎の目の前に転送中という文字が現れ、残り85%と表示されていた。
「恭治郎君、ごめんね時間がないから言いたいことだけ言わせて貰うよ。転生させられてる人にとっては確かに理不尽だし腹立つよ…まあ最近の人は転生できるの?ひゃっほい!って人が多いから罪悪感若干薄れてたけど…」
転送まで後65%
「は?!ごめんごめん!!私すぐに話それちゃうから…それでも転生した先で絶望や諦めしか抱かない人生より、開き直って人生送ってる人の方が断然幸せそうだったから恭治郎君もそういう人生送ってほしいなって勝手に思ってるよ」
結局は最後の最後まで恭治郎のことを案じた言葉をかけてくれるフィオーレ
残り25%
「私、いつまでも雇われのまんま嫌なんだよね~だからアンタたち踏み台にしてのし上がる予定なんだよ、オーナーたちより出世してこんな下らん仕事なくすのが目標なんだよね~だから犠牲になってや」
シニカルな笑みを動かべ初めて自分の胸中を明かしたであろうアダマス。
「…二人の事情は詳しく分かりません、けど二人も辛い思いしながらしてるんだなって思いました。だから俺も…」
残り5%
「…っていうかボケェ!!感動系によらせて強引に話進めようとしてるだけだろ!俺騙されないからな!従順に頷くと思うんじゃねえよ!!俺が思うとおりに動くと思うなよ!」
今までの態度とは反転し、恭治郎は2人に吠えた。その姿に雇われ神達は目を丸くする。
(はっ!ちょっとは文句言えたから本望だ!神とかしらねえ!俺は俺の好きなように…)
目を丸くし驚く2人の姿に対して胸がすく思いだった。
転送完了。目の前の表示から恭治郎の視界は暗転し意識が立たれた。
「正義感強い子は結構雰囲気で騙されてくれるけど、最後の最後まで騙されなかったの今までの中では、あの子だけだったね」
「バカ正直系とひねくれ系はウケ悪いから、その点アイツはなかなかウケる奴だとは思うよ~」
「アダマス、どうする気?転生先はゲームの内容そのままでいくの?」
「ははっ、まさか~喜劇にはさらなる喜劇が必要やで~」
アダマスは笑いながらPCパネルに再度目線を落とし、また打ち込みを始める。
「次のPでこの空間の背景でも買う~?」
「ん~それより、私は水属性の能力と衣装欲しいかも」
「なんにしもて金というなのPは先立つね~」
白い空間には2人の雇われ神のみ。他愛ない話が続くのであった。
投稿する際には、友人に誤字脱字や、文が読みにくくないかないか見てもらってます。そんな友人の一言です。
「ここさ、半透明じゃなくて透明って書けばよくないか?」
「・・・透明って表現したら何も見えないと思うんですが?」
「あ・・・」
そんな友人に誤字脱字など見てもらってます。なので誤字脱字や小説に対する感想など率直な意見をくだされば幸いです。本当に。