やっぱり世知辛いですね。
「恭治郎君、私たちが神だってこと信じてくれるの?」
「いや~でも、知らない場所だしこんなに永遠と白い空間が続くところなんて現実的に考えてもおかしいは分かるんで(神か悪魔かは分からないけど!!)」
フィオーレの微笑みに半信半疑のままでいる恭治郎は何故か心苦しくなり目をそらす。
(はっ?!俺被害者なのに何自称神様に対して罪悪感感じてんの?!もっと強気にいこうよ俺!!)
「だからグダグダ言われるのも面倒だし、さっさと転生させよう?結構流行り物いれたからPも結構もらえる筈」
「は?ぽ、ポイント?!ポイントってなんですか?」
「…ねえ恭治郎君、雇われ店長っていわば従業員だよね?雇われ神だってそうなの、お給料はその上のオーナーから貰うしかないの」
「はあ?それで俺となんの関係が?」
どうやら、雇われ神はPというものが給料代わりの様子であるが、なぜ恭治郎がこの場にいるのかは未だに合点がいかない。
胡乱な顔をしている恭治郎に苦笑しながら、フィオーレの細く白い指を2本立たせた。
「雇われ神が主にPをもらえるには、大まかに分けると2つ。1つは、任せられた世界の成長とその世界でのイレギュラーに対する対応。まあこれだけでも、ポイントは貰えるんだけど、これはどちらかというと一か月分の決まったお給料ってところ。2つ目は新たな世界の作成」
「雇われ神的には2つ目のが重要なんよね~」
フィオーレと変わるように、やる気なさげにアダマスが口を開く。
「オーナの神達の興味関心が多ければ多いほどポイントは多くなる言わば出来高制の給料みたいなもんよ。ついでに昇格のご褒美付きだからさ~雇われ神様たちは今必死になって世界つくってんのよ~」
「いや、マジで話が全然見えて来ないんですけど、帰っていいですか?」
「どうせ帰っても、女からモテないよ。部屋の中で女にモテる秘訣とか読んでるか、ゲームするしかない人生なんだからさ~いっそ、新たな自分になってみようぜ」
「もうこのアダマスとかいうヒト嫌だ!何でこうも俺の心を抉るっていうか引き裂いてくんの!?」
自分が一言いえばアダマスが倍にして返してくるやり取りに、恭治郎は膝から崩れ落ちてしまう。
そんな彼にごめんね~っと言いながら、フィオーレが優しく背中を撫でる光景をみても、気にする素振りなど見せずにアダマスは話を進めだした。
「世界を作るには貰ったPを消費しながら作るのね、一番安いのは原始人とか火も起こせない文明とかなんだけど。手っ取り早くP稼ぎたいなら、もっと高度な文明から作り出す必要があんの~」
「……」
「そいで、こっからアンタが気にしてた呼ばれた理由。最近、転生ものや異世界トリップやらがオーナー神達の中で大流行なわけ。そしたら皆こぞってそういうのもするじゃん?かといって異世界トリップさせる為の人間を一から作りあげたり、トリップする異世界を考える労力だっているし、Pも結構かかるのよ」
ようやく恭治郎はなぜ自分がここに呼ばれてしまったのか薄々と気づき始めていた。
気づきたくはなかったが、気づいてしまったからにはもう自分から結論を言ってしまったほうがいいかもしれない、膝から崩れ落ちていた体勢から恐る恐る顔をあげ口を開いた。
「つ、つまりP節約のために、見守っている世界の1つから俺をここに呼び出して、オーナの神様たちが喜ぶであろう設定に仕立てあげようって魂胆…ですか?」
「そういうこと、結構理解力あって助かる~この前のやれやれ系の奴は1から100まで説明しても分かってなかったから助かる~」
アダマスのあっさりと肯定されてしまい、恭治郎は地面に力なく顔を突っ伏した。
「…もう何から突っこんでいいかわらかなくなったんですけど、100歩譲って異世界転生はいいとして乙女ゲームなんですか?」
「それもまた節約ね、漫画とかゲームとかの世界観をそのままパクれるから大助かりよ~乙女ゲームにした理由?他となるべく被らないようにした方が目新しくていいんじゃね?っていう理由」
「他の人たちとは違うオリジナルティー出そうとしたら、詰め込みすぎちゃったみたい…あはっ!」
「色々情報入れすぎて突っこみが追いつきませんよ!!」
余裕気に微笑んでいたフィオーレが恥ずかし気に笑う。それは今までモテてこなかった恭治郎であれば間違いなく一目ぼれしたであろうが如何せん情報が多すぎて対処しきれていない。
初投稿の際に、今まで全部書いた小説がネット上に晒された時の焦りは暫く忘れそうにありません。そしてまるっと書いた投稿が消えてしまった衝撃は一生忘れません。