甘くはないです
『ハーデンベルギア♦初恋は君と此処に』といわれるこの乙女ゲームは、日本のとある辺境な島が突如として様々な異世界へとつながってしまった。その島は異世界との貿易の場として徐々に発展していき、今では魔法と科学が融合したリゾート観光土地と数年に一度開かれる異界議会の重要な場所となっていった。そう、そして私はヒロインこと櫻内 琴葉として転生したのである。
「という設定で転生するのどないですか?あ、ちなみに私はアダマス、こっちはフィオーレね。」
「いや、どないですかと言われましても…そもそも此処どこですか?」
俺は確か自室にいたはずだ。いつのまにか白い空間にいて目の前には2人の女性が…。
「いや、そういう独白とかいいからさ…。聞き飽きてんの。あんたの名前は天音恭治郎、地方大学の1年生。ラグビー部に所属してて、冴えないフツメン。彼女なし、童貞で乙女ゲーム趣味野郎でしょ?知ってる~」
「ああああ!!!人の回想ぶった切りながら何サラッと俺の秘密暴露してんだこの人!」
「世の中にゃあ、女性でもギャルゲーする人いるんだから別によくなーい?あ、ギャルゲーより、彼女いない歴(年齢)=童貞のほうが秘密にしたい感じ??」
「何でそういうこと言うかな!誹謗中傷で訴えるぞ!!」
投げやりな態度でアダマスと名乗った女性は可憐と形容していい見た目とは裏腹に桜色の唇から恭治郎の秘密を暴露し恭治郎の心を抉り抜いた。
すると、今までやり取りをだまって見つめていたフィオーレという女性が口を開く。
「アダマス、私たちは何人も相手にしてきたら慣れてるけど相手は初めてなんだし、もうちょっと優しくしてあげよう?」
「そういう優しい感じで接するから下にみられたり、召喚した俺らのほうが強いとか言いだす系多いじゃん!神様までハーレム要員として狙おうとしてた馬鹿な男いたじゃん!」
「ん~まあ、確かにあったね、あれは大変だったよ・・・色々あったけど。でも、やっぱり最初くらいは説明してあげようね?ごめんね、恭治郎君ちょっと前に色々トラブルあってこの子もちょっと苛々しているの」
フィオーレはアダマスと違い、色っぽく、落ち着いた雰囲気を漂わす女性だった。
過去のことを思い出し、急に不機嫌になったアダマスをフィオーレは宥めながら、恭治郎に優し気に笑みを浮かべこちらの様子を気にしてくれている。
「なんだが苦労しているようですね…ってそうじゃない!もうあんたら何ですか!?神様とか悪魔とか言い出すんじゃないだろうな‼」
「ん?そうだよ、私たちは神様してるの」
「雇われですけどね、ええ。雇われ店長ならぬ、雇われ神や」
「神様とかも雇われるんですか⁈神様業界どうなってんの⁈」
恭治郎は二人の自称雇われ神の言葉を聞き、神様業界を心配するのであった。
小説初投稿になります。小説を読んだ感想や誤字脱字など、率直な思いを書いて頂けたら幸いです。