魔王様はきまぐれです◎
きまぐれで続編です。
あー!すっきりだ。
国境付近を陣取っていた竜達を一掃してきた俺は気持ちよく、魔王城に帰ってきた。
魔王である俺が帰ってくると雷知将ガウディが慌てた様子で駆けて来た。
出迎えか感心と思ったが違ったようだ。
「魔王様、マリアンヌに疲労が見られますが、何がご存じですか?」
「マリアンヌが疲れているのか?」
「はい、顔色優れず、会議中何度も居眠りしていました」
あの真面目が服着てるようなマリアンヌが?あり得んな。
「マリアンヌ本人は、何と言っているんだ?」
「マリアンヌは、魔王様に重要な仕事を賜わったと言っていますよ。また阿保みたいな命令をして困らせているんですか?」ガウディが覚めた目で俺をみている。
「阿保って何だよ、魔王に対して」俺は殺気を出し睨みを効かすがガウディは素知らぬ顔。
「魔王様、本当に命令してないんですか?」
命令か……あっした!人間の赤子の世話しろって言ったな。
俺は一週間前に人間の赤子を拾い、マリアンヌに押し付けたことを思いだした。
すっかり忘れてた!!
「忘れてたんですね?命令したことを!」ガウディの呆れ声がした。
恐る恐るマリアンヌの部屋をノックする。
暫く沈黙後にマリアンヌが顔を出した。
う、確かに酷い。目の下に深い隈が刻まれている。
視線はぼーと焦点があっていない。
「大丈夫か?マリアンヌ?」
「……」
「眠たそうだな?」マリアンヌの瞼が落ちてきている。
部屋の中から赤子の鳴き声がする。うるさい。
「ミルクの時間ですので」マリアンヌは、寝不足で不機嫌な様子だ。
「待て!赤子は俺が面倒見るからお前は寝てろ」ドアを閉めようとするのを慌てて止める。
「魔王様がですか?無理ですよ。夜も泣いたらミルク、オムツ替えですよ」
「無理するな!俺は魔王だから何でもできる!」
「魔王様だから何も出来ないんです!」
ぐぬぬぬぬ、何も言い返せない!
確かに赤子を頼んだのを忘れたのは俺が悪かった。だが人を駄目魔王みたいに言うとは!
俺が怒りに震えといると後ろからガウディが話しに入ってきた。
「魔王様が駄目なのは昔からです」さらりと今酷い事言った。「駄目でも、マリアンヌが指示を出せば出来るのではないですか?あなたが倒れたら人間の赤子も困りますよ」
マリアンヌは、渋い顔のままだったが俺たちを部屋に入れてくれた。
マリアンヌの部屋は無機質だった前から変わっていた。ピンクのベビーベッド、巨大くまのぬいぐるみ、天井からオモチャが吊る下がっていた。
赤子が泣いてうるさいので、早速ミルクの作り方を教わった。
人肌ってなんだ?
水じゃ駄目か?
少しぐらいだまになっても良いだろう?えっ駄目?
マリアンヌから細かく指導が入る。
ミルクを作ると次は授乳だ。
枕を置いて飲みやすい体位にする。
口の近くに哺乳ビンの先を持っていくと自分から吸い付いた。食い意地の張った赤子だ。
赤子はたっぷり飲んで満足したのか眠ってしまった。
疲れた。
俺が一息ついていると赤子がミルクを吐きやがった。
マリアンヌが慌てて、横向きにさせる。ミルクの後はげっぷをさせないといけないようだ。
面倒くさい赤子だ。マリアンヌが吐いたものを片付ける間、服を替えるように指示される。
何だ?この服、紐は何処だ?
手をバタバタさせるな、足を曲げるなー!
いつ休めるんだ?
俺は魔王なのに休まる暇がないじゃないかー!
マリアンヌはこれを一人で一週間していたのか………俺は申し訳なく思った。
その後赤子はみんなで交代でみることになりました。