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たいりょうのきゃべつ
昨日のことは酔っ払っていて、あまり覚えていない。
電気はつけっぱなし、水は出しっぱなし、ドアは開けっぱなし。
洋服は脱ぎっぱなし、食べたお菓子の袋は置きっぱなし、そしてビールの缶も置きっぱなし。
色々なことをやりっぱなしだと、笑顔で妻に指摘された。
こんな失態は、完璧に生きてきた僕には考えられない出来事だった。
怒られるか心配だったけど、妻は怒っていなかった。
安心して会社に向かった。
会社から普通に帰宅した。
妻は笑顔で普通に迎えてくれた。
そして、キャベツの千切り10ボウルも僕を迎えてくれた。
キャベツ以外、何も変わらない。
怒りをキャベツの千切りにぶつけて、無理矢理笑顔になったような怖さが、ただ漂っていた。