一文無しの男と女
明らかに先程のクロノスより大きい。
町に行くと、食べ物や服が売っていた。
「服買ってきていいか?」
「いいけど、お金あるの?」
完全に忘れてた、俺、ほぼ一文無しでした。
「あるにはあるけど」
そう言って俺はコンビニのお釣りをポケットから取り出した。
「560円……」
この服売れないだろうか、ほら、異世界にとってこの服は珍しかったり、するよな?
横のメアリーは奇抜な服を着ていて、お金がないようには見えないが。
「私もお金は少ししかないわ」
そう言って彼女はコインのようなものを袋から取り出した。
「2銀貨と800銅貨くらいだけど、リクトの服買えるかなぁ」
「俺の所持物でも売ってみるか」
今の俺の所持物は、560円とコンビニで買った、漫画、水、入れるならジャージだ。
聞いてみると、この世界にも質屋があるそうなので、行ってみよう。
質屋は思ったより大きかった。クロノス城には遠く及ばないが、これは大きい。
「いらっしゃいーー」
「こんにちは、あの、この服売りたいんですが」
俺は自分の服の裾を摘みそう訴える。
「見ない服やな、ちょっと見せてみ」
謎の関西弁、好感が持てるが、メアリーはというと、俺の後ろでビクビクしている。
「ほお〜こりゃ良い、素晴らしい、裏地にまで工夫されとる」
そう言うとこのおっさんは、
「せやね、よし、その服上と下で2金貨と新品の服で買ってやろう」
「お願いします」
質入れ成功!2金貨はどれくらいの価値があるのか、メアリーに聞いてみよう。
「メアリん、2金貨って?」
「そうね、その呼び方はちょっと恥ずかしいけど、
私の銀貨が10で1金貨だから2金貨は、20銀貨だよ」
わかりやすい、前世とほぼ同じ、1銅貨が1円、1銀貨で1000円、1金貨は1万円、
ほとんど変わらなくて良かった。
「なるほどね」
「じゃあ私は師匠に挨拶に行くけど、リクトも魔法使い認定所に行く?」
勿論だ。魔法はロマンだしな。




