現実逃避、そして転生。
外へ出るといつもの明るい声が、
「おーい陸星、おっはよー」
神月 芽愛。
学校のヒロイン的存在、俺とは幼馴染で、色々と仲が良いが、隠キャと陽キャの差が激しい。
「おはよう」
家が隣なので毎日一緒に登校している。付き合ってはいない。当たり前か、
「また芽愛は陸星と登校してきたの?」
「いつものことでしょう、いちいち騒がないの」
ーーああ、だるい、こういう感じの学校が一番嫌いだ。異世界とか、逝きてぇ
お陰で学校の奴らから睨まれる始末だ。
今更だが、俺の名前は斎藤 陸星、みんなからはリクトって呼ばれてる。
学校では普通の高校生を演じているが実は、異世界行きたい系の“隠れオタク”って呼ばれる種の人間だ。
頭は良い、運動神経もバツグン。
お陰で陰キャだ。
家では、
マンガ、
アニメ、
ラノベ三昧である。
「コンビニ行ってくる」
母に挨拶する。
「早く帰ってきなさいよ」
ーーこんな意味もない会話が母との最後の会話だなんて考えてもいなかった。
「ありがとうございましたー」
『Donn!グシャグシャ、』
やべえ、まじでやばい、痛すぎて痛みを熱いと
感じるっていう、ラノベの感触ってこれか。うあっ、その瞬間意識が飛んだ。