幼なじみってめんどくさい。
初めまして。Betweenと申します。
更新は不定期になってしまいますが、ご了承ください。
この作品を楽しんで読んでくれると幸いです。
――えっと、その……
算数の話をしよう。なに、簡単な話だ。
現在、地球では約75億1500万人の人々が暮らしている。
―――あの、その………
そのうち、女性は約37億2400万人、男性は約37億9100万人。
―――――聞いてる?
それがどうしたのかって?それは……
「おーい!聞いてる!?人の話ちゃんと聞いてる!?!?」
……耳元で叫ぶな。うるさい。
今日は始業式。 俺、赤木秋人は今日で高校2年生になる。そして、目の前でわーぎゃーわめいてるパッと見は可愛らしいコイツは、幼なじみで同級生の蒼井春。
「……話を途中で遮るなよ」
「いや何も喋ってなかったよね!?誰と話してたの!?」
前言撤回。耳元じゃなくてもうるさい。
「ちゃんと聞いてよね、まったく」
「なんで上から目線なんだよ。そしてお前、さっきから『えーと』とか『んーと』しか言ってなかっただろ。何を聞けばいいんだよ」
「ぐぬぅ……。で、でも、それは秋くんが聞いてくれないから」
「何回聞いたと思ってるの?もう聞き飽きたわ」
「ぐぬぬ……。でも言うもん!何度でも言うもん!!」
そう言って春は深呼吸した。
「赤木秋人さん。ずっと、ずっと前からあにゃっ!?」
言い終わる前に、俺は春のおでこめがけて手刀を入れた。
「痛い!!何するのさ!?!?」
「だからもうそれは聞き飽きたんだよ」
「でもまだ全部言い切ってな」
「どうせ、『ずっと前からあなたのことが好きでした。付き合って下さい』だろ?」
春の言葉を遮って、俺は言った。
「ぐぬぬぬ……。なぜバレた………」
「お前が毎日毎日飽きもせずに同じこと言い続けるからだよ。今日はもう終わりか?始業式は遅刻したくないから俺は行くぞ」
「ぐぬぬぬぬ………。付き合ってー!!大好きだから付き合ってー!!!好き好き大好き超愛してるからー!!!!!」
そういって春は俺にしがみついてきた。こうやって駄々をこねるのも日常茶飯事だ。ほんとめんどくさい。そしてうるさい。
「そんなこと言ったって、嫌なものは嫌なんだよ。何度も言わせるな、アホ」
「ぐぬぬぬぬぬ…………。ふんっ、もう知らないもんねーだっ!!」
と言って、春は俺を追い抜き、校舎の方へ走り去っていった。黙っていれば可愛いんだけどなぁ……。
これが俺と春の毎朝の校門前での風景だ。この猛烈アタックを、俺は小3でアイツと同じクラスになったときから高2の現在に至るまで、ほぼ毎日食らっている。俺はもう慣れてしまったが、周りから見ればかなり頭のおかしい光景だろう。
長い付き合いの同級生たちも、未だに慣れていないみたいだ。みんな口々に似たようなことを言っている。
「赤城のやつ、まーた春ちゃんフってるよ」
「あんなかわいい娘をフるとか、マジで身の程わきまえろ」
「狂ってるだろ」
「頭おかしいだろ」
「狂い咲きサイコパス」
前言撤回。やっぱコイツらの頭の方がおかしい。なんだよ狂い咲きサイコパスって。あと娘じゃねえよ。
……だいぶ逸れてしまったが、話を戻そう。
現在、この地球に住まう人類のうち、女性は約37億2400万人、男性は約37億9100万人だ。
これが何を意味するか。それは、男性の方が多い、ということである。つまり、単純に、ごく単純に考えれば、女性からより男性からの方がコクられる確率が高いのである。あくまで算数で考えた場合の話だ。異論は認めん。
ここは私立微嗇学園高校。入試偏差値70超え、難関大学の合格率では毎年3本の指に入る、受験生の間ではかなり有名な中高一貫の「男子校」である。
中途半端なところで終わってしまいましたが、次話を鋭意制作中ですので、しばらくの間、お待ちいただけると幸いです。