太平洋戦争が無かったら……
まず初めに述べたいこと。
本題に入る前に書きたいことを一つ。
もし太平洋戦争が無かったら。
たぶんでありますが……。
……私はこの世に生を受けることは無かったと思われます。
もっと言いますと……。
私の父と母も生まれることは無かったと思われます。
なぜか?
父と母が生まれたのは共に戦後すぐ。
それも父母双方の。
私から見ますと祖父母にあたるかたがたの全てが
齢40を過ぎてから生まれたのが私の父と母であります。
時代は戦後。
産めよ増やせよの風潮は既にありませんし、
父の上には9人の。
母の上にも2人の兄姉が無事戦禍を潜り抜け健在である。と……。
もし21世紀の今の世の中で。
齢40を過ぎた夫婦が。
既に家の経済規模を超えた人数となる子供たちを抱える中。
新たな子宝を授かるべく。
……とはならないと思うのが自然な流れであると私は考えるのでありますが……。
私の父母に限らず。
戦争が終わった瞬間に始まりましたのが
第一次ベビーブーム。
いったい何故そのような事態となったのか?
この原因の一つに
太平洋戦争があったのかも……。
幸い双方の祖父共に跡取りと言うこともありまして
外地に徴兵されることは無く。
本州に関しましては陸地での戦いとなることも無く終戦を迎えることが出来た。
今の目線から見ますと恵まれている立場にあった祖父母であっても……。
もちろん外地に出ることは無かったとは言え。
大きな空襲を受け、片方の祖父母につきましては生活の拠点を奪われてはいますので……。
……から考えていきますと。
竹が花を咲かすとき。
植物が種を残すとき。
セミが危険を顧みず大音響を奏でるとき。
そのあと彼らに待ち受けている定めはいったい何であるのか?
……に近い心境。
自らの死と向き合わざるを得ない状況が昭和20年の日本にあったのか……。
それが無ければ今。私はこの世にいないことを思いますと。
(……複雑……)。