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1-2 Iと犬、梅

 *


 にゃーと鳴いたポチの頭をごしごしと撫でる。

 

「そんなふうににゃーにゃー鳴くようじゃ、散歩に連れていけないぞ」


 人間に対するように、諭すように語る。

 だがポチには理解できないようだ。

 碁石のように黒々とした真円の瞳は、透き通っているが理知的ではない。


 当たり前か。

 ポチは犬なのだから。

 

「なあ、ポチ。お前は今、幸せか?」


 ポチは無垢な瞳をこちらに向け、しばらくしてまたにゃーと鳴いた。


 庭の紅梅は満開だ。

 この一年、ずっと満開のままだ。


 散っても散っても咲き続ける紅梅。

 際限なく咲き続ける紅梅。

 こういうのを狂い咲きと呼ぶのだろう。

 この木は間違いなく狂っている。


 だが、もう慣れた。

 そんな私も正常ではないのだろう。


 天に伸びる枝のすべてに、ぽつぽつと、ふっくらとした蕾が再誕している。


 *

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