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9/22

転換期【オリジナル同】

丁度こちらの季節で

一年半を過ぎたくらいのある日を境に

オルガの俺への態度が変わった。


キジやシカなどの獣を弓で仕留められるようになったせいか。。。?


少しは認められたかな?


何が変わったかと言うと

食事の一品が増えるようになったり、(肉が俺にもでるようになった‼︎)

ねぎらいの言葉をかけてくれるようになったり。。。


「もう立派な相棒(パートナー)だね」

言われた時の嬉しかったこと。


キタキタキタ〜


明けない夜もないし、実らない努力もないのだ。


オルガとの関係が改善し、

生活が安定したのを見計らい

俺は動く事にした。


【俺】「ここら辺で、俺の一族がいる土地を知っていたら教えて欲しい。」


【オルガ】「森を抜け、赤土の丘を越え、太陽が沈む方に2日ばかり歩いた所にあんたの一族の町があるよ。ただ、あんたの一族と、魔軍の一軍が少し前だがぶつかったそうだから、充分用意してから行くのをオススメするよ。」


(こんな所に一人で住んでいた割に

意外とオルガは情報通だな。

近所に俺達以外見かけた事は無いのに。。)


『なぜ?』と聞いたところ、意外な回答だった。


なんでも、この森の近くにも交易商人(キャラバン)が来ることがあり、つい数週間前にも住処の近くを通過して行ったと。

ちょうど俺が狩りに出かけている時でもあり俺は会えなかったが、その時、幾ばくかの蓄えと塩を交換したんだそうだ。


やっぱり、こういう僻地を旅するキャラバンは貴重なニュースソースなんだな。


##################################

一族の町へ向けて、旅立つ話をしてから数日後、オルガより提案があった。


【オルガ】「一緒にパーティ組んで村まで行こう。」


パーティを組む事により、連携がスムーズになり、また、全体攻撃の能力も底上げされるらしい。


願っても無いことなので、お願いする事にした。

パーティか。。冒険者らしくなってきたなあ。


パーティを組むにあたっては、オルガより『魔法本による誓約』が必要と言われたので

誓約することとした。


古代ドワーフ語の呪文を唱え、

その後お互いの名前を呼び

本の上に手を重ねるだけだと。


オルガが呪文を唱えると

本が赤く光始めた。

その後、光が溢れ出し、オルガが自分の名前を名乗り、俺も名前を名乗った。手を重ねると光が急速に消えた。。


失敗したらしい。。



オルガが落ち込んでいた。

どうやら、この魔術に自信があったらしい。

失敗はありえない

呪文は間違いないと彼女はいった。


ん?

呪文は?間違いない?

若しかして?

名前に問題?

『仮名』ではダメなのか?


『真名』じゃないとダメ??


どうやら意外な事にドワーフ族には

一種類しか名前はないらしい。

他者との区別は住んでいる地名+名前ですると聞いた事がある。


名前の事を言うと、無茶苦茶怒られた。

『偽物の名前』を使うのは信頼関係が無いからだ、などなど。


【俺】(何故ここまで言われなきゃいけないんだ。別に騙そうとした訳じゃないのに。。

本当に親切なんだよな?)


【オルガ】「『真名』を使ってさっさとパーティー登録するよ」


そう言われた時、冷めた自分がいた。

『玄野 翔太』ではなく

『クロノス ヨタ』で誓約する

そう決めていた。


もし反応しなかったら?

また考えれば良い。

どうせまたなじられるだけだ。


哀しくなった。


因みに偽名で契約(マホウ)は起動した。


##################################

翌日からオルガが倒れた。


若しかして、俺の(パーティトウロク)に精一杯魔力を使って倒れた?


オルガを信じれ無かった自分の愚かさを呪った。

考えてみればオルガも元々『真名』を名乗っていたのに。。。


罪滅ぼしに精一杯看病することとした。

村に行くのが、数日遅れても変わりないしな。。。


だが、看病2日目にして事態は動いた。

前回通ったというキャラバンが

帰りがけにこの家に寄ったのだ。


【オルガ】「私の事は置いてゆき。どうせ、片道3日の距離だ。『パーティ』を私と組まなくとも、キャラバンと行けば村までの安全も確保できる。

着いたら村の東側にドワーフの商館がある。

その商館の『タクルート』という館長に

この『本』を見せれば、いろいろ便宜を

図ってくれるだろう。

一週間後に無事に帰って来たら土産話でも、聞かせておくれ。」


確かに3日の距離だし、オルガも心なしか元気そうだ。すぐ行って様子だけ見て帰ってこよう。


キャラバンと一緒に村へ向かった。


キャラバンのトップは

『アクス』といって

人族(ヒューマン)で歳のころは30代半ば

いかにも旅慣れた商人といった感じだった。


【俺】「『ショウ』と言います。

町まで同行させて、もらってすみません。

こちらの地方のお金もってないので

雑用でも、見張りでも出来る事をさせて

もらいます。」


【アクス】「『アクス』だ。短い間だがよろしくな。しかし、驚いた。まだここいらにもデューパ族が残っていたんだな。。。

金は前金でオルガから貰ってる。

馬車だと、『ホーバル』まで 一日半ってとこだ。

短い旅だがよろしくな 。

しかし、養い親の為と言っても偉いもんだなあ」


【俺】( 前金?護衛代か。なんだかんだ言ってもオルガは心配してくれているんだな。感謝感謝。

町の名は『ホーバル』か。覚えておこう。

養い親の為?なんか誤解があるようだが。

どんな話をオルガはしたんだろう?

魔族と交戦関係にあるらしいから、不要な不安を抱かせない様、適当な作り話でも聞かせてるんだろうか。


後は、向こうの一族。果たして俺を受け入れ、バックアップしてくれるんだろうか。。)


不安と期待を乗せ一夜は過ぎた。


『ホーバル』へ向かう道中、空いた時間を利用していくつか疑問に思う事を聞くことにした。


この世界に住むものにとって

おそらく常識的なことも多分に含まれていたと思うが、『アクス』は気さくに答えてくれた。


【アクス】「森の引きこもりドワーフの

とこじゃまともな教育なんていうもんは

受けられんかっただろうしな。

何でも聞いてきな。着くまであとちょっと

だが知っている限り教えたるぜ。」


こんな感じでだ。


【俺】 (ならまずは、風の一族と魔族との戦についてだ。)

「『アクスさん』、魔族は頻繁に出没するもんですか?」


【アクス】「『アクス』で良い。それと、もう少しくだけた口調で良いぞ。

魔族なんてもんは、『ノルン』や、『ガリア』などの辺境や『カラリア洋』などの一部海域じゃなきゃほとんど見かけるもんじゃないぜ。

ここら辺じゃ、よほどのことじゃ無い限り

ま、会う事も無いだろうな。

モチロン例外って言うのはいくらでもあるもんだが。」


思えばここでもう少し詳しく聞いておけば、後で後悔しないで済んだのかもしれない。

ただ、この時はこの話題は流してしまった。


【俺】「ノルン?ガリア?それはどこに?」


【アクス】「『ノルン』はここ『ゴラン高原』を北に抜けたまだまだ先だ。

歩いて行くつもりなら止めておけ。

途中に『ゴス大砂漠』がある。

砂漠越え出来る装備があるのなら、3か月といったところだが、西の海を通って迂回するなら、ま、約1年だな。

『ガリア』はお前が住んでいた、大森林をまだ越え、『ラネニア山脈』を越えた先にある。

いずれにせよ、人境をはるかに越えた先だ。


【俺】(ここは『ゴラン高原』と呼ばれるところなんだな。)











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