パラサイト?いいえ同居人です。【オリジナル同】
朝目が覚めると
朝霧でスエットが湿っていた。
湿ったスエットを絞り口を湿らす。
そして
おそるおそる木から降りた。
(今日中に川を見つけないと。魚も取れると良いのだけどな。)
武器が無いと不安なので、木の枝を折り
家の鍵に擦り付け尖らした。
何も無いよりましか。
その日のウチに川は見つかったが、
釣り以外魚を獲る方法を知らない俺に、川魚を取れるはずなく、
岩の下にいたサワガニもどきを採って生で喰った。
(マズイ。。。でも食わなきゃ)
情けなさと心細さで泣けてきた。
そしてまた夜になると木の上に登り寝た。
朝起き、1日がかりでサワガニとり
木の実、キノコ採取などを行い、食べ、寝るといった日々が続いた。
その間何とか火をおこす方法、
「柔らかい木に硬い木をひたすら擦り合わせつけるだけだが、なかなか難しい」をマスターした。
ガスを捻りゃ火がつき、蛇口を捻りゃ水がでる もとの暮らしの有難さ。今となっては涙がでる。
『コトワリ』が戻るまでの辛抱、辛抱。
終わりは突然やってきた。
どうやら食べたキノコにあたったらしい。。
猛烈な吐き気と下痢、そして意識が飛んだ。
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ズルっ、ゴリっ、ズル
ズルっ、ゴリっ、ズル
ズルズル
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何かに引き摺られている気がする。
あちこちが痛い。
これでもう終わりなのか。。
俺の人生なんも良いことなかったな。。
走馬灯のように流れるイメージ
川の向けこで誰が呼んでいる。
死ぬ時に今までの人生がフラッシュバックされるって本当なんだな。。。
薄れゆく意識の中でおぼろげに思った。
ん、苦い?
口から流れ込む液体
もう、どうでも良いか。
。。。。。
。。。。
。。
暗闇に落ちていった。
ん。。。
ヒンヤリとした感触で目が覚めた。
吐き気も、下痢もどうやら治まったらしい。
ん、それともあれは悪夢?だったんだろうか
いつもの日常が戻っている事を半ば期待しつつ目をあけた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
「●×※△◻︎◻︎◻︎」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
「●×※△◻︎◻︎◻︎」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
「●×※△◻︎◻︎◻︎」
化けものがいた。。
泣
良く見ると、自分の身体中、ハッカのような匂いの葉が巻いてある。
化けものと思ったものも、人間タイプのようだ。身長120cmくらい、肩がガッシリして、バイキングがつけている様なヘルメットをしている。口髭は豊かで、胸はでかいく、スカートをはいている。
。。。。
何か違和感を感じるが。スルーする。
人の好みは好き好きだしな。
どうやら、こいつ俺を助けてくれたらしい。
ちなみに、随分後で分かった事だが、
彼女の種族 『ドワーフ族』では
『肩がガッチリしていて、胸が大きく、豊かな髭を蓄えている女性』事がモテる条件らしい。
安産型で、色気があるとか。
現代社会でも、禿げた男性がモテる国があるそうだから、立て食う虫も好き好きかな。
話を戻そう。意識がもどったと見えるやいなや話かけられた。
「◻︎※▲?」
「※※×虫◾︎」
俺を指差し、自分を指していることから、
おそらく名前を聞いているんだろう。
俺は自分を差し
「ショウ」といった。
彼女は「オルガ」らしい。
その後、
「××××?」と聞いてきたが
分からないので首をすくめたところ
諦めたみたいだ。
オルガが特段出ていけと言わないのを
いい事に俺は居候を決めこんだ。
行く所無かったし。
ポツポツお互い言葉をやり取りする様になった頃から、オルガは色々俺に求めてきた。
家の修繕、
魚とり、
小鳥とり、
水汲み、
薪割り、
薬草、野草探し、
洗濯、
料理。。。
また言葉の勉強(雑談とも言う。)も毎日行った。
彼女曰く、生活能力をつける為の訓練だと
言っていたが。。
程のいい使用人?じゃないか。。。
もっとも、俺(現代日本人)の生活能力が低いから置いてもらえるだけでも、有難いことだけど。
時々、『役立たずのゴク潰し』
って聞こえてきて気持ちが萎えた。
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「本当に魔法を使えないのかい?」
言葉がある程度伝わるようになってから
よくオルガが聞いてくるようになった。
どうやら今の身体は「デュパ」という
風の精霊を纏える一族の特徴と一致するらしい。
(もし何らかの魔法が使えるなら、
使ってるわ!)
と内心で毒づくも、
「風よふけっ!」なんて呟いているのは
ご愛敬?かな。
出来たら感動もんだし。
ただ。使えなかった。
オルガ曰く、精霊を操る一族の中にも精霊と会話できない落ちこぼれが結構いるらしい。
残念な人を見るような顔をしていたが
気にしない様にした。
『コトワリ』が戻るまでの辛抱だし。耐えれるかな。
なんやかやで一年たった。