茫然自失【オリジナル同】
知らない異界に『ボッチ』となった。
『コトワリ』がサポートしてくれる事を当てにしていただけにショックが大きい。
そして後悔していた。
『自分の見通しの甘さ、段取りの悪さ』に。
呆然としていたのは1、2時間だろうか。
太陽が中天に昇ったころ、やっと気持ちが
落ち着いた。
兎に角、『コトワリ』が戻るまで何とかしのがねば。。。
とりあえず、周りを確認することとする。
よく見ると
赤茶けた地面に白いろの石が置かれ、紋様が描かれている。
ところどころ黒色に焼け焦げた跡があるのは何だろうか。。
嫌な予感がする。。。
気持ちを切り替え頭を整理する。
まず、生き残る為には水。
次に食料、寝床。
こんな所か。
味方はいるんだろうか。
贄の一族なら若しかして
味方になってくれるか?
(あくまで可能性だな。)
何か使えるものがないか、持ち物を確認した。
身長が伸びた為、明らかにフィットしなくなったスエットに室内用のスリッパ。
それにスマホ、メガネ、鍵、小銭入れが唯一の財産だった。。。
水や食べものの確保なら森を探すべきだろう
でも、肝心な森の場所が分からない。。
という事で、高台を目指す事にした。
一時間かけ、
崩れ易い赤土の坂を越え
やっとの所で高台に登った。
周りを見回したところ森は確かにあった。
今来たばかりの道の彼方に。。
あれから、どのくらい歩いたんだろうか。
5時間? もっとか。。
日が暮れたころに目的の森へついた。
スリッパはボロボロ、のどはカラカラ。
腹は空きすぎて最早食欲もない。
水がなくて人はどのくらい生きれるんだっけ?。確か3日くらいか。
もう動けない。。
気の根元に座り込むと同時に
意識ごと落ちていった。。
「ウォーン 」
何かの遠吠えらしき音に目が覚める。
気力が少し戻っていた。
ふと無防備な自分に気付き
冷や汗が出る。
(ヤバイ)
周りを見回すも逃げ場は無さそうだ。
寝ていた木が目に止まる。
太さは充分ある。
(登るか?)
迷っている時間はなさそうだ。
木に登れる獣ならアウトだな。
運命の神はどうやら俺を見捨てなかったらしい。