男爵邸へ 【オリジナル同】
送別会翌日、出向く時はいつになく前向きな気持ちになっていた。
【ダルダロス】「出かける覚悟は出来たか?」
【俺】「はいっ」
こうして男爵邸に向かった。
セツ男爵邸は貴族が住むエリアにあり、
出入りには手動のエレベーターを利用する
しかない高台にあった。
『エアーズロック』の上部分に貴族街があり、その奥に王宮が聳えたっていると想像すれば分かり易いか。
崖はほぼ直角に聳えたち、手動エレベータ以外に上がる方法が無いため、敵が攻めにくい形状になっていると言える。
手動エレベーターの前にある
衛兵の詰所へダルダロスと俺は行き
訪問の用件を述べると衛兵は笛で合図した。
「ピー プッ プッ プッ ピー。。」
ダルダロスによると合図は日により変えられているらしい。
【俺】(そりゃ、コード知られたらセキュリティにはならないもんな。)
降りて来たエレベーターに乗り上へ上がった。
セツ男爵との会見はあっという間に
終わった。
【セツ男爵】「私がセツ・カッツェ・
アルフォート男爵だ。居室は与える。
私物はあるか?部屋、及び邸内の事は後で
邸頭の『ダイソン』に聞くように。
君には娘の『エレナ』を教えて貰う。
思春期ゆえ、色々難しい所はあると思うが
キチンとした知識を習得させるように。
早速明日から教えてくれ。」
「質問は?」
無駄な会話を楽しむタイプではないらしい。
でも、こんな素性の不明な奴=俺に年頃の娘の教育を任せて大丈夫なのか?
【俺】「娘さんの年齢は?俺なんかで良いんですか?」
【セツ男爵】「娘は16歳になる。君の素行は『ダルダロス』が保証した。ここに来る前の間、経過観察をしたと言っていた。勤勉さを『ダルダロス』が評価していたぞ。
それ以上は不要と思うが。これ以上質問が
無いなら以上だ。」
これで会見は終わった。
玄関で別れ際、ダルダロスに半月世話になったお礼をつげた。
その後、邸頭のダイソンより邸のルール
すなわち、男爵一家の居住エリアと
使用人(奴隷を含む)エリアの違い、
ご家族への礼儀作法などを叩きこまれ
ヘトヘトになって、使用人部屋のベッドに
モグリこんだ。