多忙【オリジナル同】
それから暫くの日は
朝起きて狩り、森の探索
合間を縫い『ハイド』の訓練
午後から現地文字の読み書きの勉強
と多忙を極めた。
読み書きについては『キネカ』と言う女性職員が何故か熱心に教えてくれた。
(家庭教師するにも、読み書きができないとな。)
喋る言葉もかなり訛りがあるらしく『キネカ』に色々直して貰った。
森に生えている植物は
オルガの森と全然違っていた。
薬効の強そうな匂いの植物を
片っ端から取ってきて、時間のある間に
商館の薬仕入れの鑑定家(ヤンメル爺さん)に見てもらい効能を覚えた。
傷藥、毒消し、眠り草、煙幕草、気付け草
毒薬のもとになる根など一通り覚えられたのは『ヤンメル爺さん』のおかげと言えよう。
狩りと薬草集めの獲物は商館を通じて売り
小金を貯めることが出来た。
この都到着から半月たち、
身体が復調したころを見計らい
奴隷奉公先へ出向くことになった。
『ダルダロス』と奉公先の『セツ男爵』は
商売を通じての顔見知りという事で
ダルダロスが挨拶がてら同行してくれる事に
なった。
前日には『ダルダロス』がささやかながら
宴を開いてくれた。
『ダルダロス』、『キネカ』と『ヤンメル爺さん』接したのは僅か半月でしかなかったが
この世界で初めて親身に接してくれた人達であった。
(いつか恩を返せると良いなーそう思った。)