到着しました。 【オリジナル変更】
約一カ月の道のりを経て
王都に着いた。
中世の街並みを彷彿させる
煉瓦作りの家々が連なる綺麗な街並。
高台の貴族達が住む壮麗な館練。
さらに奥まったところには贅を尽くした王宮が聳えたっているのだが
俺にはそんな事を楽しむ心のゆとりは
無かった。
檻を乗せた馬車で長時間ゆられ、
拘束されていた為、身体は痣だらけになり
床擦れをおこしていた。
【俺】(やっとこの状況から解放される。)
思った事はただ、それだけだった。
街中に入って半刻ほど揺られた後、
突如馬車は止まった。
前回の村の数倍もあろうかという
規模のドワーフ商館の前だった。
俺を運んできた奴らは
いそいそと商館に入って行った。
早く引き渡しを終え、飲み屋にでも
繰り出したいんだろうな。。
他人事のように俺は考えていた。
商館から大柄なドワーフが出てきて
俺を運んで来た奴らをなんか殴ってる。。
どうでも良いが。
【ドワーフ】「商品をこんな状態で運んでくる奴があるか!!」
【俺】(他に何か運んでいたんだな。)
【タクルート部下】「だってコイツ逃げようとしたんでっせ。暴れるし。何人か実際噛まれたんですよ。」
【俺】(動物も運んでたんだ。。。)
【ドワーフ】「奴隷の掌紋を魔法で付けられ、枷で縛られた奴がか??お前達の事は後で雇い主に行っておく。『本』を置いてとっとと立ち去れ」
【俺】(オレのコトか。。。)
【ダルダロス】「さてと。生きているか?
ワシはこの商館の主人『ダルダロス』だ。
なんでも、お前は養い親に報いる
為に自分から奴隷になった骨のある奴
なんだってな。」
そう言いつつ縄目を解いてくれた。
「。。。。」
【ダルダロス】「しかし、『オルガ』も何故敢えて炎の一族を相手にお前を売ったんだろうか? 一族を離れ森に一人で住む偏屈もの故、『世情を知らなかっただけ』かもしれんが?
大体あの偏屈者が孤児を拾って育ててた話なんぞ、ワシは知らんかったぞ。
【俺】 (やはり、そういうことか。)
俺はダルダロスに、この世界に召喚されて
からの経緯をコトワリと天邪鬼の事を除き全て語った。
【ダルダロス】「にわかに信じ難いが、あの『オルガ』が拾い子を養い、育てたと言う話よりは信じられるな。何とかしてやりたいが
。。。
奴隷の契約を済ませてしまった後だからな。取り敢えずは、 お前の新しい主人に到着まで時間がまだかかると言っておこう。
身体が治るまで養生すると良い。」
久々に聞いた人間味のある言葉だった。
使用人に肩を貸され
ふらふらのまま、
商館のゲストハウスに
連れていかれた。
長い間の拘束で、関節が固まり歩くのも
ままならない状態だった。
そこの水場で、水を上からかけられ
絞った布でゴシゴシふかれた。
薬草湿布を巻かれ、
この世界の服を着せられた。
その後、塩っぽい味のするジュースを無理やり飲まされ、口にドロッとしたものを流しこまれた。
木製の簡易ベッドに案内されたとたん
記憶が途切れた。。
気付いたのは2日後の夜だった。