貴方は死んでしまいました☆
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「すみません!伊藤疾風さん!貴方は死んでしまいました!」
「へ?」
伊藤疾風は困惑していた。何故なら白い何もない空間に金髪幼女と二人きりだからだ。それに唐突に「貴方は死んでしまいました!」と言われたのだ。これは困惑しない方がおかしいだろう。
「死んだって本当なのか? っていうかお前は誰だ?」
「私ですか?私はですね・・・・、貴方達のいう神様とやらなのです」
神様だ、と言う幼女の言葉を聞いて疾風は驚いた。日本で10年前に宇宙の発生が科学で解明された。それを元に科学者達は神様なんて存在しないと言っているのを疾風はテレビで見ていて信じていたからだ。
「神様か。居ないと思っていたが・・・・。そんなもの実在したんだな」
「はい。ふつーに存在しますよ。まあ、そんなことは置いといてください。それでですね、死んだってどういうことかということですが・・・・。私のミスによって疾風さんは亡くなってしまったのです。本当にすみませんでした!」
幼女神は少し涙目で必死に頭を下げる。幼女神の必死の謝罪になにか罪悪感を感じる疾風は取り敢えず顔を上げてもらおうとする。
「わかった、わかったから顔を上げてくれ。神様とはいえ幼女に頭を下げさせるっていうのは罪悪感を感じるしな」
「いいんですか?私は貴方を死なせてしまったのですよ?」
若干涙目の幼女神に疾風はうなづく。
「ああ、良い。もう、死んでしまったならどうしようもないしな。死んでないのなら足掻くけどな」
「ありがとうございます。それで話の続きなのですが、疾風さんにお詫びでチートを与えて異世界に転生させたいと思います。」
転生という言葉を聞いて疾風はファンタジー物の小説を思い出していた。ファンタジー物で主人公が転生するというストーリーの小説では、転生というのはかなりパターンがある。
記憶を保持したまま赤ん坊に転生、記憶を保持しないで赤ん坊に転生、記憶を保持して今の姿のまま転生、記憶を保持せずに今の姿のまま転生。他にも性別が変わっていたり、魔物だったり、プレイしていたゲームのキャラクターで、とか沢山ある。疾風は何に転生するかはさほど気にしていないが記憶が無くなるか残るかについては気になった。
「少し聞きたいことがあるんだが、質問して良いか?」
「あ、はい。良いですよ。」
「転生って言ったが記憶はどうなるんだ?」
「記憶ですか?あるに決まってるじゃないですか」
幼女神は何故そんなことを聞くのかわからずに首を傾げた。疾風が何故そんなことを聞いたか。それは記憶なしで転生してもそれは疾風が転生したことにはならないからだ。今までの伊藤疾風としての記憶を、経験を失ったら転生したとしてもそれは疾風の容姿を持つ別人になる。もし、記憶を失うのだとしたら疾風はこの話を断っていただろう。自己を失ってまで生き永らえたくはないと疾風は考えていたからだ。
「それで、話の続きをしましょう。疾風さんにあげるチートですがなにがいいですか?」
「そうだな・・・・。二つ程お願いして良いか?」
「二つですか?大丈夫ですよ」
「まず、身体能力の大幅な向上をお願いしたいんだが」
身体能力の向上をお願いした理由は保険である。疾風は刀術を納めているとはいえあくまで一般市民。なにが起こるかわからない異世界で暮らしていくためには身体能力が高い方が良いと考えたのだ。
「ああ、身体能力の向上ですか。それは転生させるときに神製の身体に作り変えるのでチートでお願いしなくても大丈夫ですよ」
幼女神の言葉を聞き疾風はもう一つのチートをお願いしようと口を開く。
「水晶を好きな場所に発生させたり操ったりするチートをお願いしたい。大丈夫か?」
水晶を好きな場所に発生させたり操ったりするチートを何故疾風が望んだか・・・・。それはなんとなくカッコイイから、だ。身体能力のときはまともな理由だったのにもう一つのチートはなんともテキトーな理由である。