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リストラヒーロー、感づく

 ジュングラが近づくに連れて、猫人達に不審な動きが目立つ様になっていった。

 わざと細い道を通ってみたり進む方向も何度も変えていた。そして今は吾郎達冒険者が乗る自動箱を取り囲む様にして移動している。


(どうも動きが臭いな。それに捕虜の扱いも妙だ…猫人の奴等は何を企んでやがるだ?)

 猫人達は生け捕りにした捕虜に豪勢な食べ物を沢山与えていた。

言うまでもなく捕虜は、自分達の大切な宝を奪おうとした人間だ。

 憎みはすれど歓迎する必要はない。


「サクラ、猫人の案内なしでにプレーリーまで帰れるか?」


「地図を見ながらじゃないときついね。目標に出来る物が見つけられないし」

 サクラの言う通り四方を猫人の自動箱で囲まれている為、道順の把握が難しくなっていた。


「タイネン、依頼料はいつ支払われるんだ?」


「もう金の話か?確か、ケルベロスの爪をジュングラにあるケルベ今日の寺院に納めてからだと聞いている。その間、グソウ達はジュングラ市の近くで待機となる」

 吾郎の脳裏には、クリプティドファイブ時代に受けた依頼がよぎる。

 それは邪教の儀式を止めるという依頼だった。


「寺はジュングラのどこにあるか分かるか?それと俺達の待機場所は指定されているのか?」


「寺はジュングラの中央に位置してるそうだ。グソウ達は市の守備を兼ねて市の北側で待機じゃよ」

 普通なら市の守備の様な大切な役割は衛兵が行う。

 ましてや今は大切な儀式を控えている大事な時である。

 吾郎の猫人に対しる警戒心は、ますます強まっていった。


―――――――――――――――


 ジュングラに着くと吾郎達はタイネンの言う通り、北側に配置された。

 蜥蜴人達は西側と南側、違う猿人の冒険者は東側に配置されている。

 そして吾郎達には捕虜の見張りと言う役割も課せられた。

 ここ数日のハイカロリーな食生活の所為で、デップリと肥えている。


「この気配は…不味い!!タイネン、マイさん、サクラ、急いで木に登ってくれ」

 吾郎が感じたのは背筋が凍りつく様な不気味な気配、それはかつ邪教の館で感じた物と似ていた。 

 館で行われていたのは、生者を生け贄にして死者を甦らせる邪悪な反魂法である。


「ゴロウ、そんなに慌ててどうしたんだ?勝手に持ち場を離れるのは不味いぞ」


「理由は後で話す。必要な荷物を持ったら木の上に避難するぞ」

 吾郎の勢いに押されたタイネン達は渋々木の上の住人になった。

 タイネンとマイは同じ木に逃げ、吾郎とサクラはそれぞれ違う木である。

 やがて地面から黒い霧の様な物が立ち籠め始める。黒い霧は文字や様々な紋様を形作っていく。


「ゴロー、檻の中の神官達が…」

タイネンが驚くのも無理はない、檻の中に捕らえられた神官達が次々に干からびていっているのだ。


「やっぱり反魂法の一種か…多分、猫人の奴等は、俺達を生け贄にしてケルベロスキングを甦らせるつもりなんだよ」


「死者を甦らせる?そんな馬鹿な話があるかっ!!」


「異世界にはあるんだよっ!!最も、まともに甦らせれた奴はいないがな…不味い、木も枯れ始めた」

 良く見ると、木だけではなく草も枯れ始めている。


「ゴロー、どうする逃げ場はないぞ。これでは、木の上に逃げた意味がないではないか」

 

「逃げ場?逃げ場ならあるよ…上にな」

 当然、木の上にあるのは空しかない。

 大地の惨状とは、真逆の真っ青で爽やかな空が広がっている。


「ゴロー、気がふれたのか?」


「俺はまともだよ。決め台詞を叫んでる暇はないな」

 吾郎は袖を捲りあげるとバングルに手をかざした。


「グソウ達を抱えて木々を渡ると言うのか」


「誰がそんな悠長な真似をするか…変身、コカトリスイエロー…でもって第二形態っ」

 現れたのは鶏冠と嘴をもつ異形の戦士。


「ゴロ、お前は何者なんだ?」

 サクラはあまりの展開に脳が追い付いて来なかった。


「俺か…俺は異世界来た正義の味方だよっ」

 吾郎はその言葉と共に空高く飛び上がる。


「おい、ゴロー。そっちには何もないぞっ」

 タイネンの悲痛な叫びが青空に木霊した。


「青いお空があるじゃねか…コカトリスイエロー第三形態」

 そして現れたのは巨大なコカトリス。

 タイネン達は、あまりの驚きに口が開きっ放しなっている。


「ゴロー、お主は一体…」


「お喋りは後だ。早く背中に乗れ…それと俺の背中は土禁だからなっ」

 三人が乗り終えたのを確認すると、吾郎は力強く羽を羽ばたかせた。


「ゴロー、あれを見ろ。巨大なケルベロスがおるぞ」

 タイネンが指差す先を見ると、半透明の巨大なケルベロスが悠然と立っていた。

川の向こうの人気投票をしています…イエローでやったらまだ吾郎以外には入らない気がふ

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