2.辿り着いた答え
「色んなひとがいるんだな」
夕方。僕はあの人の家から出て、家路についた。
あの人の言葉を思い出す。
「でもね、これがちょうどいいの」
――その時、僕はその人の足首に、あるはずのない足枷が見えた。
「ちょうどいい、かあ……あんな立派な足枷つけて」
ふと、母さんの言葉が頭の中に浮かんだ。
“人は、何かを連れて生きているのよ。その何かっていうのはね、人によって違うのよ”
……そうか。そういうこと。
つまり、あの人は人の束縛を連れて生きているんだ。
僕には、人の連れている“何か”が形となって見えらしい。なぜ見えるのか、その原因は、思い当たらないのだけれど。
母さんが事故に遭ったあの時。母さんの腰には鎖が見えたんだ。それもきっと母さんが連れていた“何か”だったのだろう。ただ、母さんが何を連れていたのかは、まだわからない。
でも、言葉の意味が解って、やっと母さんの死を心から受け入れられた気がする。
一通り、整理がついた所で疑問が浮かぶ。
僕は。僕は、何を連れて生きているのだろう。
自分の手足を見る。
すると、手首に鎖が。なぜ今まで気付かなかったのだろう。
その鎖の先を目で辿るが、随分と長く、先が見えない。
このまま鎖を辿りたい気分だけれど、もう疲れた。それに膝の傷も痛みだしたし、今日は帰ることにしよう。
翌日。
珍しく早起きをした。まだ七時じゃないか。いつもの僕は、学校へ行かないため、お昼頃まで寝ているのだが。
少しだるい体を起こす。
手首の鎖が視界に入る。
今から、辿ってみようか。
取り敢えず、二階の窓から外を見る(僕の部屋は二階にある)。
すると鎖は学校方面に繋がっているのがわかった。
もしかしたら学校周辺に何かあるかもしれない、と考えた僕は、制服の学ランを着る。今は七時二十分。登校時間内のはずだから、カモフラージュを。
七時半。家を出る。
誰にも気付かれないように、中身が空っぽの鞄を持ちながら。
歩くこと、約十分。学校近くの十字になった交差点に着いた。
何度もやるように、僕は自分の手首から伸びる鎖の先を目で追った。
すると、見えた鎖の終わり。
「ああ、そうか」
僕の鎖の先には、
「そうだったんだ」
鎖の、終わりは――……。
読んでくださり、ありがとうございます!
最後は、読者様の想像によりこの小説のカテゴリが変わってきます。恋愛にもなれば、ホラー(?)にもなるという。