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独裁生徒会長サクラン  作者: 沙φ亜竜
第九話 都知事の訪問、そして会長は……
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-1-

 放課後の生徒会室。

 今日はなんだか、やけに賑やかだった。


「じゃーん! 今日はなんと! ポテチを持ってきました~!」

「お姉様! ひーちゃんは、プチケーキを持ってきたじょ!」

「……我は、飲み物を……」

「ちょっと待て。浄太郎、お前が持ってきたのは怪しい。なにが入っている?」

「……ただのお茶やジュース……。桜蘭のには媚薬が入れてあるが……」

「捨てるっ!」

「……ああ……」

「あはは! おふたりは仲がいいですね~! 幼馴染みだからですよね、あたしと除夜ちゃんみたいに!」

「仲なんて、よくない!」

「僕とちまきも、べつに仲がいいわけじゃ……いや、とっても仲よしだよね!」

「……我は桜蘭と仲よし……。昼も夜も一緒……」

「妄想はやめろ! 夜に一緒にいたことなど、幼稚園でお泊りっこしていた頃くらいだろうに!」

「お泊りっこだって! きゃ~! そんなことやってたんですね~!」

「お姉様、ずるい! ひーちゃんもお泊りっこしたいじょ! 善は急げ、早速今夜、お姉様のお部屋に忍び込みますにょん!」

「忍び込むのは、お泊りっこというレベルじゃないような……。ま、会長がどうなろうと、僕には関係ありませんが」

「除夜、それはひどいぞ! 会長に対する愛はないのか!?」

「ありません」

「そんなキッパリと……」(いじいじ)

「それじゃあ、会長さんがいじけて部屋の隅っこに行ってるうちに、ポテチとか食べちゃいましょうか!」

「……御意。飲み物は……」

「ひーちゃん、オレンジジュース!」

「あたしはウーロン茶ね!」

「ダイエットのため?」

「死にたい?」

「いえ……」

「わ……私を無視して宴会を始めるな~! 私はお茶だ!」

「あっ、僕もお茶で」

「……お茶、一本しか持ってきてない……」

「だったら除夜と私で、交互に飲むか」

「ちょ……ダメよ、そんなの! 除夜ちゃん、あたしと一緒にウーロン茶を……」


 ……う~ん。

 生徒会室の光景とは思えないほど、騒がしすぎな気もする……。


 ともかく、以前は会長と僕だけの場所だった生徒会室は、ちまきだけでなく菱餅先輩や心見先輩までもが押しかけてくるようになり、とっても騒々しい空間となってしまった。

 まぁ、これはこれで楽しくていいかな。僕としてはそう思っている。

 あまり社交的ではない僕でも、こうして騒がしい中に紛れ込んでいれば、それだけで自分もつられて楽しい気分に浸れるから。


「もうさ、この五人で生徒会ってことにしちゃっても、いいんじゃない?」

「にしし! そうだねん! ひーちゃんも、それがいいと思うじょ!」

「なにを勝手に決めているんだ! 生徒会は会長の私と補佐の除夜だけでいいんだ! お前たちは、ただのゴミだ!」

「会長、さすがにゴミはひどいのでは……」

「……我は、桜蘭にだったら、ゴミ扱いでも構わない……」

「心見先輩の気持ち悪い性癖はこの際置いておくとして、生徒会の役割分担は、サクラン先輩が会長で、心見先輩が副会長、あたしが会計で、菱餅先輩が書記、除夜ちゃんが雑用係って感じで、ほら、完璧!」

「ちょっと、ちまき! どうして僕が雑用係なのさ!?」

「ん~、必然?」

「だが、補佐の仕事も実質雑用係みたいなものではないか?」

「う……。そう言われると返す言葉が……」

「……我が副会長……。会長の桜蘭に一番近しい存在……。ふふふふふ……」

「あたしが会計なら、生徒会室に可愛いカーテンとかふかふかのソファーとかを買って、ファンシーな部屋にしたいなぁ。もちろん、経費で!」

「う~みゅ、書記って会議の内容なんかを書き留めておく役割だよに~? ひーちゃん、自慢じゃないけど、頭の中がごちゃごちゃだって有名なんだじょ! エアコムでノートにメモった文章も、自分で読み返してもわからないことが多々あるんだじょ! そんなんでもいいのかにゃ?」


 なんというか、こんなメンバーでまともな生徒会になるはずがない、と断言できるような人選だ。

 学園崩壊の危機にすらなりかねない気がする。

 もっとも、現状でも補佐の僕がいるとはいえ基本的に会長のみの独裁生徒会なわけだから、最初からまともな生徒会とはお世辞にも言えない状態だと思うけど。


「勝手に話を進めるな! お前たちが生徒会のメンバーだなんて、ダメに決まっているだろう! だいたいお前たち、なぜここに集まっているのだ! ここは私の部屋だぞ!」

「それも違うと思います、会長」


 会長がこんな人だし、まともな生徒会なんて、どう考えてもありえないよなぁ。

 そんなことを思いながら、僕の日常的な役割となりつつあるツッコミを入れる。

 だけど会長は、生徒会室が自分の部屋だという主張を続けた。


「私はここに泊まり込むことも多いし、生活の場になっているのは確かだぞ? 下着を洗濯させたり一緒に寝たりしているから、除夜とふたりの部屋と言えるかもしれないが……」


 その会長の言葉に、ちまきが真っ先に食いついてくる。

 それはもう、鬼か悪魔かといった形相で。

 しかも、その矛先はなぜか僕へと向けられていた。


「ええっ!? 除夜ちゃん、そんなことまでしてるの!? っていうか、一緒に寝たって……どういうこと!?」

「そうだじょ! いったい、どういうことなのだっ!? ひーちゃんでもまだお姉様と一緒に寝たことないのに!」

「……事と次第によっては、除夜は呪殺に……」


 ちまきだけでなく、菱餅先輩や心見先輩までもが、僕に怒りの念をぶつけてくる。

 心見先輩に至っては、怒りの念というよりも、呪いをぶつけられそうだったけど。


「うわぁ~っ! 誤解ですってば! 洗濯……は否定しないけど、一緒に寝たっていうのは疲れて寝ちゃっただけです! 会長はズボラだから面倒がって泊まったりしてるみたいだけど、僕はここに泊まったことなんて一度もないですから!」


 必死の弁解。


「……ほんとかしら?」

「怪しいじょ!」

「……もし嘘なら、舌を引っこ抜く……」


 ああもう、どうにかしてよ、このメンバー。


「疲れて寝てしまったときは、ソファーでふたり寄り添って寝たんだったな」


 会長は会長で火に油を注ぐようなことを言い出すし。

 僕の頭痛の種は尽きないものの、今日も生徒会室は、基本的に平和だった。

 ……僕の命の危険さえ除けば、だけど。


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