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独裁生徒会長サクラン  作者: 沙φ亜竜
第六話 コスプレも補佐の仕事なの?
24/48

-4-

 やると言ったら実行に移すのは早い会長。

 六月に入るとすぐに梅雨入りしたことに合わせて、それをイベントの口実とした。


 梅雨特有のじめじめした湿った細かな雨が降り続く、そんな毎日。

 こうもぐずついた天候ばかりでは、気分も滅入ってしまう。

 というわけで、晴天を祈願するためのお祭りを開催する運びとなった。


 ポスターは言うまでもなく、またしても僕が作ることになった。

 それはまぁ、想定内なのでべつにいいとして。

 名称としては、「晴天を祈願するお祭り」では、さすがに微妙だろう。

 そう考え、もっと簡潔でわかりやすい名前を会長に決めてもらったのだけど……。


 その名称が、『てるてる坊主祭り』だった。


 長さ的にもほとんど変わりないし、それも微妙だとは思ったものの、ポスターは迅速に用意する必要があったため、この名前で決定と相成った。

 それにしても、てるてる坊主祭りって……。いったい、どんな祭りなのやら……。

 こんなイベントを開催して、人なんて集まるのだろうか……。


 僕の不安をよそに、フタを開けてみればイベントは大盛況。

 外はどんよりと垂れ込めた薄暗い雲からジトジトと雨が降り続く、典型的な梅雨の天候。

 さすがにそんな中で、校庭やら公園やらといった屋外でイベントを行うわけにもいかない。

 そんなこんなで、今回のイベントの舞台は体育館となっていた。


 様々な飲み物や食べ物が用意され、有志の部による余興の数々も催された。

 はっきり言って、今までのイベントと大差ない。

 違いといえば、体育館での開催となったことと、その体育館の天井……には届かなかったため、上側の窓の前にある足場から、たくさんの大きなてるてる坊主が吊るされたこと。


「このお祭りって、やっぱりおかしくないですか?」

「ん? まぁ、なんだっていいのだ。お祭り騒ぎさえできれば」


 僕の疑問に、平然とそう返してくる会長。そうだ、会長はこういう人だった……。

 だけど、会長だけに留まらず、参加しているこの学園の生徒たちも、少々変わり者の集まりと言えるのかもしれない。

 ……当然、僕自身は除く。


「学生というものは、えてしてお祭り騒ぎが大好きなものだからな」

「……それはいいんですけど……」


 会長は、僕の中間テスト疲れを癒すと言って、このイベントの開催を決めたはずだ。

 それを考慮すると、いささか納得のいかない部分が、僕にはあった。


「どうして僕は、こんな格好をしてるんですか?」

「それはもちろん、イベントの主役とも言うべきてるてる坊主役を、会長補佐であるお前に任せるためだ。思ったとおり、似合っているぞ?」

「似合いたくなんてありません!」


 文句をぶつける僕は、頭からシーツをかぶせられ、首の辺りをリボンでくくられ、てるてる坊主として吊るし上げられている状態だった。

 普通のてるてる坊主のように首のロープでくくって吊るしてしまうと、思いっきり首吊り死体になってしまうので、吊るすためのロープは両肩のほうに巻きつけられているけど……。


 それでも僕は、まったく身動きの取れない状態だった。

 自然と、端午の節句イベントの記憶が蘇る。


 そんな僕のそばには、いつもどおり会長と、


「え~? 可愛いのに~!」


 とのたまう、ちまき。

 なんとなく、というか完璧に嫌な予感がする……。


「こんな状態じゃあ、テストの疲れが癒されたりなんてしませんけど……」

「誰もお前を癒すなどとは言っていないだろう? 私自身がお前の姿を見て癒されるからいいのだ」


 そう言いながら、手で口を押さえ、ぷぷっ、と小さく吹き出す。

 僕、こんな格好をさせられた上、笑われてる!?


「だいたい、会長はべつにテストの疲れなんて、ないんじゃなかったでしたっけ?」

「大して疲れていないと言っただけで、疲れがないとは言っていない。それに、仮に疲れてなどいなくても、癒しというのは必要なものだ!」

「そうだよ、除夜ちゃん。……あたしも癒してもらってます。なむなむ」


 ちまきはちまきで、なぜだか僕を拝むように両手を合わせている。


「いいではないか。てるてる坊主イベントの主役になれたのだから」

「……鎧兜のときもそうでしたけど、だ~れも注目なんてしてなさそうですけど?」

「ふむ。まぁ、そういうこともある」

「うん、あるある!」


 ……このふたりには、僕がいかに抵抗しようとも、まったく敵う気がしない。

 抗えば抗うだけ、気力と体力の無駄遣いとなってしまう。

 諦めの境地。もうこうなったら、僕にはふたりが満足するまで無抵抗に徹するしか、手は残っていないのだろう。


「あれ? おとなしくなった?」

「ふむ。それはよかった。ふっふっふ、この前のイベントでは鎧兜に阻まれてできなかったからな、今度こそ……」

「そうですね! 今度こそ、あんなことやこんなことを……!」


 会長とちまきの、とても女の子とは思えない、いやらしい悪魔のような笑みが、僕の背筋を凍らせる。

 とはいえ、てるてる坊主状態の僕に果たしてなにができようか? 否、なにもできはしまい。

 諦めて、やりたいようにさせてやるしか……。


 でも、このあいだの鎧兜のときにしようとしていたことって……。

 記憶をたどり、しっかりと思い出した。

 思い出しはした……けど、抵抗するすべは……ない……かも……。


 会長とちまきは、床の辺りにまで垂れ下がるシーツの裾の中へと手を滑り込ませ、そして……。


「ちょっと、会長! もしかして、そっちが本当の目的だったんですか!?」

「ふっふっふ、騒ぐでない。おとなしくしていれば、すぐに終わる」

「そうよ~。除夜ちゃんの身体、あたしたちに委ねなさい♪」

「や……やめてよ、ふたりとも! あ……ちょっと、待って、そこはダメだって……! うわぁっ!」


 …………それから僕がどうなったかは、皆様のご想像にお任せします…………。



 ★★★★★



 神龍学園に潜む黒い影……。

 あれは幽霊か妖怪か、はたまた本当に死神なのか……?


 次回、第七話、神龍学園死神物語。


 ……会長、ほら、今あなたの後ろに……!


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