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開幕、歌舞伎サッカー 4

 (ぜん)(はん)(ぷん)

 (さい)(しょ)にシュートのチャンスがやってきたのは(なか)(うら)(エフ)(シー)だった。

「あーちゃん、こっちにパス」

 陽介(ようすけ)がはしりながら、(みぎ)()をあげる。

 正確(せいかく)(あま)()のパスボール。

 それを陽介(ようすけ)がゴールめがけてけりとばす。

 だが、けったボールは(あい)()ディフェンダーの(からだ)にあたり、翔真(しょうま)のほうへころがった。

 ――この(きょ)()ならシュートをうてる。

 しかし、シュートのことを(かんが)えたとたん、トラウマがよみがえった。

 (むね)がくるしい。

 (いき)ができない。

 (きょう)()(あたま)がまっしろになる。

 翔真(しょうま)は、ふるえながら、その()にひざをついた。

 そのあいだにボールは(あい)()(せん)(しゅ)にうばわれてしまった。

「きみ、だいじょうぶ?」

 くるしそうな翔真(しょうま)に、審判(しんぱん)(こえ)をかける。

「だいじょうぶです。すぐによくなります」

 翔真(しょうま)(いき)をととのえると、すぐにプレーを再開(さいかい)した。


 そのあとすぐに(いわ)()のシュートチャンスがやってきた。

 (いわ)()のキャプテンが中浦なかうらFCエフシーのディフェンダーをぬきさり、シュートをうった。

 弾丸(だんがん)のように(きょう)(れつ)なボールが、ゴールにむかってとんでゆく。

 ――これはきまったな。

 ()(あい)をみていた、だれもがそう(おも)った。

 だが、(かれ)らの()(そう)(おも)いもよらぬかたちでうらぎられた。

「やあー」

 ゴールキーパーの()(くも)(よこ)にジャンプして、とんでくるボールに()をのばす。

 ぶるんとゆれるおなか。

 フワッと(ちゅう)をまう(きょ)(たい)

 ボールは()(くも)()にあたり、フィールドの(そと)へはじきだされた。

「すげー!」

 プロ(せん)(しゅ)のようなジャンピングセーブに(かん)(きゃく)がわきたつ。

 いっぽう、(せん)(しゅ)たちはおどろきのあまり、フィールドのなかにたちつくしていた。

「みんな、(あい)()コーナーキックだよ。ゴールの(しゅ)()をかためて」

「お、おお」

 翔真(しょうま)は、いそいでゴールまえにもどった。

 そのあとも()(くも)はスーパーセーブを連発(れんぱつ)し、前半(ぜんはん)(せん)をなんと0―0のひきわけでおわらせた。

「おまえ、いつのまにあんなことできるようになったんだ?」

 ハーフタイム((きゅう)(けい)()(かん))になると、陽介(ようすけ)()(くも)にたずねた。

歌舞伎(かぶき)サッカーをすることがきまったときね、ぼく、()(ぶん)たちだけがたのしむんじゃなくて、(あい)()チームもたのしめたらいいなって(おも)ったんだ」

 ()(くも)(いわ)()のベンチに(かお)をむける。

 中浦(なかうら)(あい)()に1(てん)もとれなかったのが、よほどくやしいのだろう。

 (いわ)()(せん)(しゅ)たちはあつまって(さく)(せん)(かい)()をしていた。

「『中浦(なかうら)()ってよかった』じゃなくて『中浦(なかうら)(たたか)えてたのしかった』。そう(おも)ってもらうには、すこしぐらいつよくなくちゃいけないでしょ? だから、美羽(みう)ちゃんとふたりで、こっそり(れん)(しゅう)してたんだ」

 ()(くも)がてれくさそうにわらった。

「では、()(くも)さんと美羽(みう)ちゃんが(よる)公園(こうえん)にいたのは――」

 あまがふたりをると、

「うん、くもとシュートの(れん)(しゅう)してたの。(あま)()ちゃん、あのときはダイエットなんてウソついてごめんね」

 美羽(みう)(うわ)()づかいにあやまった。

(あい)()チームもたのしむ、か」

 翔真(しょうま)()(もと)にとった(あか)(くま)をそっとなでた。

「そうだよな。()(ぶん)たちだけじゃなくて、(あい)()チームもたのしんでくれたら、それが(いち)(ばん)いいもんな」

「たしかにな。よっしゃ、それじゃあ後半(こうはん)(せん)は、もっともっと、あいつらに()(あい)をたのしんでもらおうぜ」

 陽介(ようすけ)がひざをたたいて、ベンチからたちあがる。

陽介(ようすけ)のいうとおりだ。みんな、もう(いち)()円陣(えんじん)をくもう」

 こどもたちはたがいに(かた)をだきあい、ふたたび円陣(えんじん)をくんだ。

「あっ、われら、中浦(なかうら)えふしぃ~」

「ふぁいと~、おぉ~」


(つづく)




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