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Bチームのプライド 2

 ()(ぜん)10()

 ついに(れん)(しゅう)()(あい)がスタートした。

 合同(ごうどう)練習(れんしゅう)(どう)()をみて、(ビー)チームは中浦(なかうら)FC(エフシー)のプレーを研究(けんきゅう)してきた。

 だが、じっさいに(たたか)ってみて、はじめてわかった。

 (かれ)らの実力(じつりょく)が、()(ぶん)たちの想像(そうぞう)をはるかにこえていたことを。


 ドリブルをする陽介(ようすけ)に、(りゅう)(せい)がショルダーチャージをしかける。

 だが、いくら(かた)をぶつけても陽介(ようすけ)はバランスをくずさない。

 ぎゃくにしかけた(りゅう)(せい)が、バランスをくずしてたおれそうになった。

 陽介(ようすけ)がシュートをうつ。

 しかし、これをキーパーがはじく。

 はじかれたボールが(ビー)チームの(せん)(しゅ)のほうへとんでくる。

「シエル、まえにはしれ」

 はしりだしたフォワードのシエルに、ディフェンダーの(せん)(しゅ)がパスをだす。

 攻撃(こうげき)(しゅ)()がいっしゅんにして逆転(ぎゃくてん)した。

 ――()けない。()けちゃいけないんだ。

 (りゅう)(せい)(なん)()も、その(こと)()()(ぶん)()(しん)にいいきかせた。


 *   *   *   *   *


 ()(あい)(ちゅう)(はる)()大鳳(おおとり)監督かんとくやほかの(エー)チームの(せん)(しゅ)一緒(いっしょ)にベンチにすわり、ずっと翔真(しょうま)のうごきに(ちゅう)(もく)していた。

 隈取(くまどり)をした翔真(しょうま)(なか)()指示(しじ)をあたえながら、攻撃(こうげき)にも(しゅ)()にも積極的(せっきょくてき)(さん)()する。

 シュートこそうたないが、的確(てきかく)判断(はんだん)とボールをあつかうテクニックは、(エー)チームでもかつやくできるレベルだ。

 ――実力(じつりょく)があるのに、どうして、あいつは歌舞伎(かぶき)サッカーなんてするんだ。

 ――どうして、(ほん)()でサッカーにむきあおうとしないんだ。

 いらだちをおぼえながらも、(はる)()翔真(しょうま)から()をはなすことができなかった。


 *   *   *   *   *


 前半(ぜんはん)(せん)(りょう)チームとも(とく)(てん)なしのまま、0―0でおわりをむかえた。

「おいおいおい」

 陽介(ようすけ)がにんまりわらって、()(くも)のおなかをこづく。

「まさか、フレスベルグ(あい)()に0(てん)でおさえるなんて(おも)ってもみなかったぜ」

「ぼくもだよ。やっぱりゆうさんたちと(れん)(しゅう)してよかったね」


 10(ぷん)(かん)のハーフタイムがおわり、後半(こうはん)(せん)がはじまった。

 後半(こうはん)(ふん)

「シエル、おれにボールをまわせ」

 フォワードのシエルが、(りゅう)(せい)にパスをだした。

 (りゅう)(せい)が、そのボールをさらにほかの(せん)(しゅ)にまわす……とみせかけて、いきなりゴールの(みぎ)すみにけりとばした。 

 (だい)(がく)(せい)とのシュート(れん)(しゅう)できたえた()(くも)も、とつぜんの高速(こうそく)シュートには反応(はんのう)できず、ボールはゴールネットをハデにゆらした。

「よし!」

 シュートをきめて、(りゅう)(せい)がこぶしをふるう。

「ナイスシュート、(りゅう)(せい)

 (ビー)チームの(せん)(しゅ)が、ほめるように(りゅう)(せい)のせなかをたたいた。


 そのあとは(ビー)チーム優勢(ゆうせい)のまま、0―1で()(あい)がすすんだ。

翔真(しょうま)くん、がんばれー」

中浦(なかうら)(ちから)をみせてやれー」

 観客(かんきゃく)応援(おうえん)にあわせて、歌舞伎(かぶき)(まく)をイメージした(はた)がゆらめいた。


 後半(こうはん)15(ふん)

 翔真(しょうま)はドリブルで、(みぎ)サイドから(あい)()(じん)()にせめこんだ。

「10(ばん)をマークしろ。せめさせるな」

 (りゅう)(せい)指示(しじ)で、(からだ)のおおきな(せん)(しゅ)翔真(しょうま)にショルダーチャージをしかける。

 (おも)うようにドリブルができず、たちどまってボールをキープする翔真(しょうま)

 そのとき、(あま)()がまえに、いや、翔真(しょうま)のうしろにはしった。

翔真(しょうま)さん、ユミハリヅキ」

 翔真(しょうま)(あし)(うら)をつかって、うしろの(あま)()にパスをだす。

 (あま)()(じく)(あし)をゴールにむける。

 そして、ねらいをさだめてシュートをうった。

 ゴールまでの(きょ)()は30メートルとかなり(とお)い。

 だが、(あま)()のけったボールは()()(づき)のようにきれいな()をえがき、ゴール(ひだり)(うえ)のすみにとんでいった。

 キーパーが、(ひっ)()にうでをのばす。

 その(ゆび)(さき)がボールに――とどかない。

 ボールはキーパーの()(うえ)をとおりすぎ、ゴールネットにすいこまれていった。

「やった、やった、やったー」

 ロングシュートがきまり、中浦(なかうら)サポーターのよろこびが爆発(ばくはつ)する。

(あま)()ちゃん、ナイスシュート」

 翔真(しょうま)(あま)()()けよった。

「さすが(あま)()ちゃん、100(てん)(まん)(てん)のロングシュートだよ」

翔真(しょうま)さんのパスのおかげですわ」

 ふたりは()(がお)で、おたがいのプレーをほめあった。


 いっぽう、(ビー)チームの(せん)(しゅ)は、ぼうぜんとフィールドのなかにたちつくしていた。

「ユミハリヅキ。なるほど、そういうことか」

 雉原(きじはら)監督かんとくがひざにおいた()をくやしそうに、にぎりしめる。

雉原(きじはら)監督かんとく、どういうことですか?」

 大鳳(おおとり)監督かんとくがたずねる。

(あま)()ちゃんという()がシュートをうつまえにユミハリヅキといいましたよね。弓張月(ゆみはりづき)というのは、(ゆみ)(めい)(しゅ)である(みなもとの)(ため)(とも)題材(だいざい)にした歌舞伎(かぶき)のお(はなし)なんですよ」

「やけにくわしいですね」

(かれ)らの戦術(せんじゅつ)研究(けんきゅう)しているうちに歌舞伎(かぶき)にもすこしばかりくわしくなりましてね。おそらくユミハリヅキというのは、キックの(じょう)()(あま)()ちゃんを為朝(ためとも)見立(みた)て、(ゆみ)(とお)くの(まと)をねらいうつように、正確(せいかく)なロングシュートをうつ戦術(せんじゅつ)なんですよ」

 ()(あい)はすぐに再開(さいかい)された。

 そして5(ふん)()


 ピイィィ、ピイィィ、ピイィィィィ。


 ()(あい)終了(しゅうりょう)のホイッスルがなった。


(つづく)


更新は毎日おこなう予定です。

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