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4/4

4/9~……

「……ねぇ、これからどうする?」

 剣士が死んだ。

 涙は出ない。でも、ショックはある。

 人が、死んだ。目の前で。

 それも、一緒に旅をした人間が。

「わ、わたしは引き返すべきだと思います……」

 僧侶が俯きながら言う。

 私もそう思う。

 だが……

「悪い。俺は、行くべきだと思う」

 勇者の目は覚悟が決まっていた。


 ギィオオオ!!!


「魔族……!?」

 木の向こうに魔族の姿が見えた。

 人型ではないが……かなり大きい!

 今の憔悴しきった私たちじゃ……

「俺、めっちゃ調子が良いんだ」


 シュッ


 音だけがした。

 気付けば、魔族の頭が地面に落ちていて、

 勇者は、鞘から剣を引き抜いていた。

「聖剣が言ってる。”魔王を殺せ”って」

 勇者の顔にも涙はない。

 ただ、静かな悲しみと怒りが私にも伝わってきた。

「俺は行く」

「行くしかないんだ」

 勇者を駆り立てるものは、勇者としての責務。

 行くしかない。

 私たちは、森の奥へ歩き出した。




 もう何日歩いたかわからない。

 ただ、森は抜けた。

 私たちの目に映ったのは……

「街だ」

 魔族の文明だった。

 木製の小さい家が並ぶ街というよりは村と呼ぶのがふさわしい感じで、何体かの人型の魔族が遠目でも見えた。

「無視すんぞ」

 勇者が回り道を選択する。

 私の聞いた噂話では魔王城は大きな黒い城だという。

 ……一体、魔王城は誰が建てたのだろうか。




「魔法だ」

 一目見た瞬間分かった。

 魔王城は、莫大な魔力によって構成された魔法によってできている。

 黒くて、大きな城。

「……入るぜ」

 勇者が大きな扉を開けた。

「やぁやぁようこそ勇者よ!余を殺すために遠路はるばるご苦労であったな!」

 女性の大きな声が聞こえた。

 城の中は暗く、扉の周辺以外何も見えない。

 ただ、城の外観的に考えてかなり広いのだろう。

「知っての通り勇者、余は貴様を酷く恐れていてな。どうすれば貴様を”確実”に倒せるのか考えてみたのだ」

 声は上機嫌に語る。

「なので……」

 明かりがつき、魔王城の中が明らかになる。

「嘘……でしょ?」

「全員で叩き潰すこと」

 私の視界に映ったのは、14体の人型の魔族。

 負王角の数は15体。ということはおそらく……

「アベッキの阿呆以外の全員の負王角だ。さぁ、勝負といこうではないか」

「やってやるよ……」

 勇者がフラフラしながら歩き出す。

 聖剣が黄金に光輝いた。

「うおおおお!!!」




 無理だ。全部最初から無理だったんだ。

 善戦はした。頑張った。

 でも、無理なものは無理だったんだ。

 帰ろう。

 帰ったら何をしようか。

 ……そうだ。ずっと前から気になってる本屋があるんだ。

 そこに行くとしよう。家にも未読の魔導書がたまっている。それだけじゃない。友人の畑仕事。毎年おすそ分けをしてもらってるわけだし、たまには手伝ってやるのもいい。

 そっか。親孝行もしないとな。

 うわぁ。やるべきことがいっぱい。大変だ。

 胸がずきずきと痛む。

 血が流れ出てるのが感じとることができる。


 あぁ。

 死にたく、ないなぁ……。

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