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死ぬのが怖いので、不人気の回復職を選びました。  作者: s-rush


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第063話 極振りヒーラー、ギルド結成

ハネリ村の中心、ギルドマスターNPCの前。


ステラとヒマワリは、受付カウンターに立っていた。

カウンターの向こうでは、白髭を蓄えた老人――ギルドマスターNPCが、二人を見据えている。


「ギルドを結成したいのですね」


NPCが落ち着いた声で尋ねる。


「はい!」


ステラが元気よく答える。


「では、《ギルド創設の証》と100万ゴルドをお持ちですか?」

「あります!」


ヒマワリがアイテム欄を開き、《ギルド創設の証》を取り出す。そして、100万ゴルドを支払った。


「確かに受け取りました」


NPCが頷く。システムメッセージが表示され、アイテムとゴルドが消費される。


「では、次にギルドホームをご購入いただく必要があります」

「え?」


ステラが驚いた表情を浮かべる。


「ギルドを結成するには、拠点となるギルドホームが必要です。以下の三つからお選びください」


NPCが説明を続ける。


「大規模ギルドホーム――500万ゴルド。最大100名まで収容可能です」

「中規模ギルドホーム――100万ゴルド。最大50名まで収容可能です」

「小規模ギルドホーム――50万ゴルド。最大20名まで収容可能です」


「えっ、まだお金かかるの!?」


ステラが思わず叫ぶ。予想外の出費に、顔が青ざめた。


「まあ、拠点だし仕方ないね」


ヒマワリが苦笑しながら言う。


「でも、50万ゴルドって……」

「イベントで稼いだゴルド、まだ残ってるでしょ?」

「あ、そっか」


ステラがアイテム欄を確認する。

イベントで稼いだゴルドは、まだ80万ゴルドほど残っていた。


「小規模ギルドホームなら買えるね」

「うん……じゃあ、それで!」


ステラが決意を固める。


「承知しました。小規模ギルドホームを購入されるのですね」


NPCが再び頷く。


「場所はハネリ村から少し外れた郊外になります。静かな森の中で、落ち着いた環境です」

「それで大丈夫です!」


ヒマワリが答える。


「では、ご案内いたします」


NPCが立ち上がり、二人を先導する。村の外へと歩き出した。






ハネリ村から少し離れた郊外。


森の中に、小さな建物が建っていた。

こじんまりとした二階建ての木造建築で、温かみのある佇まいだ。


「ここが、あなた方のギルドホームです」


NPCが建物を指差す。


「わぁ…素敵な場所!」


ステラが目を輝かせる。建物の周りには木々が生い茂り、鳥のさえずりが聞こえる。

静かで、心地よい空間だ。


「静かでいいね。村からも近いし」


ヒマワリも満足そうに頷く。


「では、中をご覧ください」


NPCが扉を開ける。二人は中へと入った。


一階は広々とした談話室になっていた。

中央にはテーブルと椅子が並び、奥には暖炉がある。

壁には本棚が設置され、いくつかの本が並んでいた。

そして、部屋の奥には管理パネルが設置されている。


「こちらの管理パネルから、ギルドメンバーの登録や各種設定を行うことができます」


NPCが説明する。


「談話室の隣には工房と演習場がございます。生産職の方や、スキルの練習をされる方にご活用いただけます」

「工房まであるんだ!」


ステラが驚く。


「二階には個室が二十室ございます。将来的にメンバーが増えた際は、休憩所としてご利用ください」


「わぁ、個室もあるんだ」


ステラが嬉しそうに言う。


「それでは、私はこれで失礼いたします。何かご不明な点があれば、村の受付までお越しください」


NPCが礼をして、ギルドホームを後にした。

二人は、しばらくギルドホームを見学する。


「いい場所だね」


ヒマワリが暖炉に手を近づける。火が揺れ、温かな熱が伝わってきた。


「うん!ここなら、みんなでゆっくりできそう」


ステラが笑顔で答える。


「じゃあ、ティアを誘ってから登録しよう!」


「そうだね」


ステラはフレンドリストを開き、ティアにメッセージを送った。


『ギルドホーム買ったよ!今どこにいる?』


すぐに返信が来る。


『第二階層の森にいます』


「じゃあ、迎えに行こう」

「うん!」


二人は再び森へと向かった。






第二階層の森。


木々が密集し、モンスターの気配が濃い場所だ。

その中で、ティアは一人でモンスターと戦っていた。


《ウィンドホーク》――巨大な鷹のモンスター。鋭い爪と嘴を持ち、素早い動きで襲いかかってくる。

ティアは弓を構え、冷静に狙いを定める。


「《一の矢 速》」


矢が放たれる。音もなく、空気を切り裂いて飛ぶ。

矢はウィンドホークの頭部に直撃し、クリティカルヒット。

ウィンドホークは悲鳴を上げ、光の粒となって消えた。


「ティアさん!」


名前を呼ばれて、ティアは弓を肩にかけたまま振り返る。

そこに立っていたステラに、小さく視線を向けた。


「お待たせしました」


いつも通りの落ち着いた声だ。


「さっそくギルドホームに案内するね!」


ヒマワリが嬉しそうに言うと、

ティアは一瞬だけ周囲を見回し、それから小さく頷いた。


「はい。楽しみにしています」


ティアが小さく頷く。

三人は並んで、村の方向へと歩き出した。

森の入口が見え始めた、その時――


「あっ!ステラちゃん!ヒマワリちゃん!」


元気な声が飛んできた。

ステラが足を止め、声のした方を振り向く。


そこにいたのは、見覚えのある二人。

ノエルとリリアだった。


ノエルは相変わらずの軽装で、腰には鍛冶用のハンマー。

その隣で、リリアは杖を手に、魔法使いの装備を身に纏っている。


「リリアさん! ノエルさん!」


ステラがぱっと表情を明るくして、二人のもとへ駆け寄る。


「お久しぶりです」


リリアが柔らかく微笑み、軽く会釈した。


「ほんと、奇遇だね。二人は何してたの?」


ヒマワリが興味深そうに尋ねる。


「レベリングと素材集めだよ」


ノエルが腰のハンマーを軽く叩きながら答える。


「新しい装備を作ろうと思ってさ。リリアさんに手伝ってもらってたんだ」

「なるほど……」


ヒマワリが頷く。

ノエルは三人の顔を順に見てから、ふっと何かに気づいたように口角を上げた。


「もしかしてさ。ギルド結成の話?」

「うん!」


ヒマワリが即答する。


「さっき、ギルドホームを買ったんだ」

「マジで!? もう買ったの!?」


ノエルが思わず声を上げる。


「うん。これからメンバー登録するところで……」


ステラが少し照れたように言い、言葉を続けた。


「もしよかったら、二人も一緒にギルドに入りませんか?」

「えっ、俺たちも!?」


ノエルが目を丸くする。


「もちろん!」


ステラは迷いなく頷いた。


「イベントでも一緒に戦ったし……もう仲間だと思ってるよ」

「……いいのかな。俺みたいな生産職でも」


ノエルは少しだけ視線を逸らし、照れくさそうに言う。


「もちろんだよ。むしろ、生産職は大歓迎」


ヒマワリが即答した。


「それに、ノエルさん強いですよ。戦闘もできるし」


ステラが笑顔で付け加える。


「……ありがとう」


ノエルは一瞬言葉に詰まり、それから小さく笑った。


「じゃあ、入らせてもらうよ」

「私も、お願いしていいかしら?」


リリアが静かに尋ねる。


「もちろん!」


ステラがまた即答する。


「ありがとう。よろしくね」


リリアが微笑み、そっと頷いた。


「じゃあ、みんなでギルドホームに行こう!」


ステラの声は、弾むように明るい。

五人は並んで、ギルドホームへと向かって歩き出した。






ギルドホーム、談話室。

落ち着いた内装の部屋に、五人が集まり、中央の管理パネルの前に並んでいた。


「じゃあ、登録するね」


ヒマワリが操作パネルを開き、指先で名前を入力していく。

ティア、ノエル、リリア――。


確認音とともに、視界の端にシステムメッセージが浮かび上がった。


【ティアがギルドメンバーとして登録されました】

【ノエルがギルドメンバーとして登録されました】

【リリアがギルドメンバーとして登録されました】


「……よし。これで全員登録完了だね」

「うん!」


ステラは思わず、ぱっと笑顔になる。

部屋の空気が、ほんの少しだけ柔らいだ。


「ところでさ」


ヒマワリが管理パネルから顔を上げる。


「ギルド名、どうする?」

「あっ……」


ステラは一瞬、きょとんとしてから、小さく声を漏らした。


「そういえば、まだ決めてなかったね……」


腕を組み、うーんと考え込む。


「ギルドマスターはステラなんだし、ステラが決めていいんじゃない?」


ヒマワリが軽い調子で言う。


「俺もそれで異論はないぞ」


ノエルが頷き、ハンマーの柄を軽く握り直した。


「私も賛成です」


ティアも静かに同意する。

ステラが、真剣な表情で考え込む。


ヒマワリは太陽。

自分は星。

そして、ステラのスキルは――不死鳥。


胸の奥で、いくつかのイメージが静かに重なった。


「……《星天の翼》、っていうのはどうかな」


少しだけ不安そうに、けれど確かな意思を込めて、ステラが提案する。


「星天の翼……」


ヒマワリがその言葉を繰り返し、ふっと微笑んだ。


「いいね。すごくステラらしい」

「素敵な名前だと思うわ」


リリアも穏やかに頷く。


「俺も異論なし」


ノエルは即答だった。


「それでは、決まりですね」


最後にティアが静かに同意する。


「じゃあ、《星天の翼》で登録するね」


ヒマワリが管理パネルに手を伸ばし、ギルド名を入力する。


一瞬の静寂の後――

視界に、はっきりとしたシステムメッセージが浮かび上がった。


【ギルド《星天の翼》が結成されました】


「……やった!」


ステラが、抑えきれない笑顔で声を上げる。

五人は自然と顔を見合わせ、笑い合った。

それは、まだ小さく、けれど確かな始まり。


こうして――

ギルド《星天の翼》は、静かに、しかし確かに産声を上げた。


次は3/11 21時投稿予定

お楽しみに!

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