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死ぬのが怖いので、不人気の回復職を選びました。  作者: s-rush


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第039話 極振りヒーラー、神獣の戦い1

光が晴れた瞬間――四人は息を呑んだ。


目の前に広がるのは、神秘的な空間。

床は白い大理石で、天井は見えないほど高く、周囲には雷が絶え間なく走っている。

空気が震え、雷鳴が低く響き渡る。


「……すごい場所だね」

ステラが小さく呟く。


「ああ……なんだか、神殿みたいだ」

ノエルも周囲を見回す。


その時――ヒマワリが剣を抜き、前を睨んだ。


「みんな、気をつけて。……何かいる」

「え?」


三人が前を見ると――

空間の奥から、巨大な影が姿を現した。


全長4メートルほどの、白銀の獅子。

鬣からは淡い雷光が絶え間なく散り、空気を震わせている。

金色の瞳が四人を見据え、圧倒的な威圧感が場を支配する。

背には小さな雷の翼が広がり、神々しさと凶暴さが共存していた。


《白雷の神獣フルグラウス》


「……っ」


四人は息を呑み、一歩後退する。


「ス、ステラ……これ、今までの敵と雰囲気が違う、気を付けて」

ヒマワリが小さく呟く。


「う、うん……でも、頑張ろう……!」


ステラは杖を掲げ、《ヒール》を唱える。

光が体を包み込み、《リストア・ヴェール》のバリアが展開される。


「《再生の祝炎》!」

さらに温かな炎が体を包み、継続回復と状態異常耐性が付与される。

リジェネよりも継続回復量が多い、ステラだけのスキル。

これでいつもより強固なリストア・ヴェールのバリアが展開できる。


「様子を見るよ――《ファイアボルト》!」


ヒマワリが手を翳すと、火球がフルグラウスへと飛んでいく。

火球は命中し、爆発した――だが。


「……え?」


フルグラウスのHPバーは、ほとんど減っていなかった。


「俺も行くぞ!《クレセント・ウェイブ》!」


ノエルが大剣を振るうと、半月状の衝撃波が放たれる。

衝撃波はフルグラウスに命中し、轟音を響かせた。

だが――HPバーは、やはりほとんど減らない。


「《ホーリー・アロー》!」


リリアが純白の矢を生成し、放つ。

光の矢がフルグラウスの体に突き刺さり――ようやく、HPバーが少しだけ削れた。


「……ちょっと待って。この削れ方、おかしくない……?」

リリアが青ざめる。


その瞬間――


フルグラウスの背の雷翼が展開した。


「――ッ!?」


次の瞬間、フルグラウスの姿が残像を残して消えた。

雷のような速度で、ヒマワリへと突進してくる。


「《加速》!」


ヒマワリは咄嗟に《加速》を発動させ、横に飛び退く。

フルグラウスの突進は空を切り――だが、その余波がステラを襲った。


「きゃっ!?」


かすっただけで、《リストア・ヴェール》のバリアが粉々に砕け散る。

さらに――ステラのHPが一気に赤まで削られた。


「ステラ!」

「「《ヒール》!」」


リリアとステラが同時に回復魔法を唱え、HPを戻す。

ステラは再び《ヒール》を連続で唱え、バリアを展開し直した。


「こいつ……かなり強い……!」


ヒマワリが剣を構え直す。

「おそらく……これ、トラップ部屋だよ……!」


ノエルが叫ぶ。


「今のレベルじゃ、勝てない相手を配置してる……!逃げた方がいい!」

「でも、どうやって!?出口がないよ!」


リリアが周囲を見回すが――出口らしきものは、どこにも見当たらない。


「……なら、倒すしかない……!」


ヒマワリが前に出る。


「ステラ、みんなに《プロテス》をかけて!」

「わかった!《プロテス》!」


ステラが杖を振るうと、四人のVITが大幅に上昇する。


「私も援護するよ!《ディバイン・シールド》!」


リリアがヒマワリとノエルに大盾のバリアを展開する。


「行くよ!」

ヒマワリは《加速》を発動させ、フルグラウスへと突進した。


「《ストームスタンス》!」

風と雷を纏い、移動速度がさらに上昇する。

ヒマワリの剣が、光の軌跡を描きながらフルグラウスを切り刻んでいく。


「《サンダーラッシュ》!」

雷の三連撃が命中し――HPバーが少しだけ削れる。


「こうなりゃヤケだ!《ブレイクスラッシュ》!」

ノエルが大剣を振り下ろし、フルグラウスの前脚を狙う。

だが――ダメージはわずか。


「くっ……硬い……!」


ステラも杖を掲げて攻撃に加わる。

「《不死鳥》!」

魔力が爆発し、ステラの周囲に炎が渦巻く。


「《フェニクス・フレア》!」

不死鳥の形をした巨大な炎が、フルグラウスへと襲いかかる。

轟音と共に、フルグラウスが炎に包まれた。

消費するMPが激しいため連発はできないが、ステラのメイン火力の1つだ。

森のアンデッドたちを一掃し、ゴブリンキングを追い詰めた、彼女の最強の攻撃魔法。

炎が収まり、フルグラウスの体に焦げ跡が残る――確かにダメージは通った。

だが――HPバーはわずかに減っただけ。

これだけやって、まだ9割以上も残っている。


「嘘……でしょ……?」

「あんなに攻撃したのに……まだほとんど削れてない……!」


ノエルも剣を握りしめながら、絶望の色を浮かべた。

「こんなの……勝てるわけがない……!」


だが――ヒマワリの目は、輝いていた。


「……面白い」


恐怖はある。

だが――それ以上に、心が躍っていた。

こんなに強い敵と戦えるなんて――

プロテスでVITが上がっているとはいえ、ヒマワリもまたVITにステータスを振っていない。

フルグラウスの攻撃を翳めただけで自分は終わりだということを理解している。

それ故、すべての攻撃を躱すために集中力を極限まで高めていく。


「まだまだ……!《加速》《ウィンドスラッシュ》!」

ヒマワリは加速で高速でフルグラウスに接近し、再び斬りかかった。

風を纏った斬撃が、フルグラウスの体を切り裂く。


フルグラウスが咆哮を上げ、再び雷翼を展開する。

雷のような速度で、今度はノエルへと突進してくる。


「させない!《バインド・チャーム》!」

リリアが魔導チャームを翳すと、淡い光の鎖がフルグラウスの四肢に絡みついた。

神獣の突進が一瞬だけ鈍る――だが、力任せに引きちぎられ、鎖が砕け散る。


「くっ……!」


ノエルが大剣で受け止めようとするが――

わずかに勢いを殺されたとはいえ、その突進の威力は凄まじい。

《ディバイン・シールド》のバリアが砕け散り、ノエルが吹き飛ばされた。


「大丈夫ですか、ノエルさん!《ヒール》!」


ステラが慌てて回復魔法を唱え、ノエルのHPを戻す。


「ありがとう……!でも、これじゃあ……!」

ノエルが立ち上がるが、その表情には絶望が浮かんでいた。


今のプレイヤーでは倒すことがほぼ不可能、いわゆるモンスタートラップ的なものだと思ってください。


次は2/12 21時投稿予定

お楽しみに!

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