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死ぬのが怖いので、不人気の回復職を選びました。  作者: s-rush


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第038話 極振りヒーラー、同行者は敵でした

「さて、次はどこに行こうか?」

ステラが地図を広げると、ヒマワリが西の方角を指差した。


「あそこに山岳地帯があるよ。行ってみない?」

「うん!行こう!」


二人は小屋を出て、西の山岳地帯へと向かった。


「ステラ、背中に乗って」

「え?」

「普段はロープで引っ張ってるけど、イベント中は何が起こるかわからないから。

 私がおんぶして走った方が安全だし、速いよ」

「わかった!じゃあ、お願い!」


ステラはヒマワリの背中に飛び乗った。

ヒマワリは《加速》を発動させ、草原を駆け抜ける。

風が頬を撫で、景色が流れていく。


「わぁ……速い……!」

「でしょ?それに、ステラの《リストア・ヴェール》の中にいれば、私も守られるしね」

「そっか!一石二鳥だね!」





二人は笑い合いながら、山のふもとへと到着した。


「着いた!じゃあ、頂上を目指そう!」

「うん!」


ステラは背中から降り、二人は山道を登り始めた。


道中には《マウンテン・ウルフ》や《ロック・ゴーレム》といったモンスターが現れたが、

ヒマワリの剣が次々と敵を薙ぎ払っていく。


「《サンダーラッシュ》!」

雷の速度で三連撃が炸裂し、ウルフが倒れる。


「《ウィンドスラッシュ》!」

風を纏った斬撃が、ゴーレムの岩肌を切り裂く。


ステラは後方で《ヒール》を唱え、バリアを展開しながら支援に徹する。

敵の攻撃はヒマワリの高速移動で全て回避され、二人は順調に高度を上げていった。


――その時。


「待ってくれ!」


背後から声がした。

二人が振り向くと――二人組のプレイヤーが息を切らして追いかけてきた。


「……何か用?」


ヒマワリが警戒しながら剣を構える。


「いや、敵意はない!俺たちも頂上を目指してるんだが……一緒に行かせてもらえないか?」

「どうして?自分たちで行けばいいじゃない」


ヒマワリの目が鋭くなる。

男の一人が、ステラを見て目を見開いた。


「あんた……前回のイベントでランキング3位だったヒーラーか!」

「え……?う、うん……」

「だったら尚更だ。あんたたちと戦う気はない。ただ、一緒に行動させてくれれば、安全に頂上まで行けると思ったんだ」


もう一人の男も頷く。


「頼む。俺たち、そんなに強くないから……一人で登るのは危険なんだ」

「……」


ヒマワリは少し考え、ステラを見た。


「ステラ、どう思う?」

「うーん……まあ、いいんじゃないかな?」

「……わかった。でも、変な真似したら容赦しないから」


ヒマワリが冷たく言い放つと、二人は慌てて頭を下げた。


「ありがとう!絶対に迷惑かけないから!」


ヒマワリはステラに小声で囁いた。


「ステラ、あの二人……油断しないで。いつでも《リストア・ヴェール》を展開できるようにしといて」

「うん、わかった」


四人は再び山道を登り始めた。

ヒマワリは先頭を歩き、次々と現れるモンスターを一人で倒していく。


「《ストームスタンス》!《ソニック・ブレイク》!」

風と雷を纏った剣が、敵を一刀両断する。


「す、すげぇ……」

「あんなに速く動けるのかよ……」


二人組が呆然と呟く。

ヒマワリの動きは、まるで舞うように軽やかで、敵の攻撃は一切当たらない。


「《ウィンドスラッシュ》!」

射程を伸ばした斬撃が、遠くのモンスターまで届く。


「あの剣士、化け物だな……」

「ああ……俺たち、完全にお荷物だ……」


二人組は苦笑いを浮かべながら、ヒマワリについていく。




やがて、最後の登りにかかり、山道の勾配が一段と急になった頃――

ステラは少し疲れたのか、大きく伸びをして欠伸をした。


「ふぁ……ちょっと疲れちゃった……」


その瞬間――二人組の気配が変わった。


「今だ!《スラッシュ》」

「もらった!《パワーアタック》」

二人は剣を抜き、ステラへと襲いかかった。


「っ!」

だが――ステラは気配を察知し、咄嗟に杖を掲げた。


「《ヒール》!」


光が体を包み込み、《リストア・ヴェール》のバリアが展開される。

二人の剣がバリアに叩きつけられるが――ダメージは通らない。


「なっ……!?」


さらに――《リフレクト・ヴェール》の効果で、ダメージが反射される。

「ぐあっ!?」

「うわっ!?」


二人のHPが一気に削られる。


「ステラ!」


ヒマワリは《加速》を発動させ、一気に距離を詰めた。

風のような速さで二人の間に割り込み、剣を振るう。


「《サンダーラッシュ》!」


雷の三連撃が、一人目を貫く。

男の体が光に包まれ、消えていった。


「く、くそっ……!」


もう一人が逃げようとするが――


「逃がさない!《ウィンドスラッシュ》!」


風を纏った斬撃が、男の背中を捉える。

もう一人の男も光となって消え去った。


「ふぅ……やっぱり、襲ってきたね」

「うん……油断できないね」


ステラが倒れた二人がいた場所を見ると――地面に《古の宝石》が一つ、転がっていた。


「あ、宝石落としてる」

「ラッキー。これで五つ目だね」


ヒマワリが宝石を拾い上げ、インベントリにしまった。


「……さて、改めて頂上を目指そう」

「うん!」


二人は再び歩き出した。

今度こそ、誰にも邪魔されることなく――頂上を目指して。




岩肌を登り、急な坂道を越え――やがて、頂上が視界に入った。


「もうすぐだね!」

「うん!頑張ろう!」


ヒマワリとステラは、最後の急な岩場を登りきった。

山頂の開けた空間に足を踏み入れたその時―


「あ、ステラちゃん!」


聞き覚えのある声が響いた。

頂上には、二人のプレイヤーが立っていた。


一人は深い群青色のローブを纏った少女――《リリア》。

もう一人は大剣を背負った、穏やかな笑みを浮かべる青年――《ノエル》。


「リリアちゃん!ノエルさん!」


ステラが笑顔で手を振ると、二人も嬉しそうに駆け寄ってきた。


「久しぶり!元気だった?」

「うん!二人も元気そうだね!」


ヒマワリは少し警戒しながら、二人を見つめる。


「……ステラ、知り合い?」

「うん!おしゃれな装備が欲しくて相談しに行ったときに、仲良くなったんだよ。フレンドなの」

「あの時は突然話しかけられてびっくりしちゃったわ」


ステラがそう言うと、ヒマワリは少し警戒を緩めた。


「そうなんだ……」

「こちらこそ、初めまして。リリアです」

「ノエルだよ。よろしく」


二人が笑顔で挨拶すると、ヒマワリも小さく頷いた。


「……ヒマワリです。よろしく」


ステラはノエルの大剣を見て、少し驚いた様子で呟いた。

「生産職なのに、戦闘もできるんですね」

「まあ、素材集めのためにね。一人で動くことも多いから、ある程度は戦えないと困るんだよ」

「すごいです……!」


ステラが目を輝かせると、ノエルは照れくさそうに笑った。


その時――リリアが頂上の中央を指差した。


「見て。転移魔方陣があるよ」


頂上の中央には、淡く光る魔法陣が浮かんでいた。


「これ、一度に一パーティーずつしか入れないみたいなんだよね」

ノエルが説明する。


「そうなんだ……どっちが先に行く?」


ステラが尋ねると、リリアが少し考えた。


「うーん……どうしよっか」

「私二人にはお世話になったし、リリアさんとノエルさんに譲るよ!」


ステラが笑顔で言うと、リリアが首を横に振った。


「それなら――四人でパーティー組んで、一緒に行かない?」

「え?」

「その方が安全だし、楽しいと思うんだけど」


リリアが提案すると、ヒマワリがステラを見た。


「ステラ、それでいい?」

「うん!私はいいよ!」

「……わかった。じゃあ、四人でパーティー組もう」


ヒマワリが頷き、リリアがパーティー設定を開く。


「じゃあ、招待送るね――」


その瞬間――


「うおおおっ!行くぞ!」

「待て待て、ちょっと待て!」


背後から二人組の男が駆け込んできて、そのまま魔法陣へと飛び込んだ。


「あっ!?」

「ちょ、ちょっと!?」


四人が驚いて声を上げるが――既に遅い。

魔法陣が強く光り、二人は転移していった。


「……行っちゃったね」

「うん……まあ、しょうがないか」


ステラが苦笑いを浮かべる。


だが――一分も経たないうちに、魔法陣が再び光り始めた。


「……え?もう戻ってきた?」


ヒマワリが目を細める。


「これって……すぐに再突入できるってこと?」

「みたいだね……」


ヒマワリは少し考え、呟いた。

「おそらく、二つの可能性がある。

 アイテム回収してすぐ離脱できるダンジョンか――

 敵が強すぎて、すぐに全滅して戻されたか」


リリアが頷く。


「おそらく……後者だと思う」

「だよね……」


ノエルが不安そうに魔法陣を見つめる。


「……突入、やめとく?結構危険そうだし」


四人は顔を見合わせた。

その時――ステラが笑顔で言った。


「大丈夫だよ!ヒマワリちゃんが守ってくれるから!」

「え……?」


ヒマワリが目を丸くする。


「だって、ヒマワリちゃん、めちゃくちゃ強いもん!私も頑張るし、一緒に行こう!」


ステラが無邪気に笑うと、ヒマワリは少し困ったように頬を掻いた。


「……ステラがそう言うなら、いいけど……無茶はしないでね?」

「うん!わかった!」


リリアとノエルも笑顔で頷いた。


「じゃあ、行こっか!」

「うん!みんな、準備はいい?」


四人は頷き合い――魔法陣へと踏み込んだ。

光が四人を包み込み――

次の瞬間、視界が真っ白に染まった。


ほら、ランカー相手に裏切るから・・・


次は2/10 21時投稿予定

お楽しみに!

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