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死ぬのが怖いので、不人気の回復職を選びました。  作者: s-rush


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第036話 極振りヒーラー、呪われた森の秘密を知る

感想の指摘を受けて、NPCのセリフを一部修正。

小屋の中は思っていたよりも広かった。

入口付近には古びた木箱がいくつか積まれ、壁際には錆びた鎧や剣が無造作に立てかけられている。天井から吊るされたランプは消えかけていたが、かろうじて薄明かりを保っていた。

床には分厚い埃が積もり、足を踏み入れるたびに小さな砂煙が舞い上がる。


「……誰も住んでないみたいだね」

「うん。でも、何か残ってるかも」


二人は小屋の中を探索し始めた。

ステラは壁際の棚を調べ、ヒマワリは奥の机へと向かう。


「あ……これ、地図?」

ステラが棚の隅から、丸められた羊皮紙を見つけた。

広げてみると――かなり古く、所々が破れてぼろぼろになっている。

だが、かろうじて読み取ることはできた。


「ねえ、ヒマワリちゃん。これ見て」

「ん?どうしたの?」


ヒマワリが駆け寄ると、ステラは地図を広げて見せた。

「これ、この森の地図みたい。ほら、ここに小屋の印がある」

「本当だ……あ、ここに×マークがある」


地図の中央、小屋から少し離れた位置に、赤い×印が記されていた。


「これって……もしかして、宝の場所?」

「かもしれない……!」


二人は顔を見合わせた。

その時――ヒマワリが奥の机の上で、古びた革表紙の本を見つけた。


「ステラ、こっちにも何かあるよ」

「え?何々?」


ヒマワリは本を開き、読み始めた。


「……冒険者の日誌、みたい」

ページをめくると、そこには走り書きのような文字が並んでいた。


『――この森の奥に、古びた宝石がある。

 それは死者を呼び起こす力を持ち、アンデッドモンスターを生み出し続けている。

 宝石を破壊すれば、アンデッドは生まれなくなるはずだ。

 だが――宝石を守る者がいた。

 あれは……人ではない。狂気に支配された、何か別の存在だ。

 俺には倒せなかった。撤退するしかなかった。

 もし、この日誌を読んだ者がいるなら――どうか、あの宝石を破壊してほしい。

 これ以上、死者が目覚めることがないように――』


「……なるほど。だから、さっきアンデッドがあんなにいたんだ」

「じゃあ、あの×マークの場所に宝石があるってこと?」


ステラが地図を見ながら呟く。


「うん。多分そう……倒しに行こう!」

ステラが杖を掲げると、ヒマワリは慌てて首を横に振った。

「ちょ、ちょっと待って……!アンデッドだったらどうするの!?」

「え?大丈夫だよ。さっきみたいに倒せば――」

「無理無理無理!やっぱり怖いよ!ていうか、もう夜だし……!」


ヒマワリが窓の外を指差すと――外はすっかり暗くなっていた。


「あ……本当だ」

「だから、いったん小屋で朝になるまで待とうよ。ね?」

「……うん、そうだね」


ステラも頷き、二人は小屋に腰を下ろした。


「……そういえば、お腹すいてきたね」

ヒマワリがぽつりと呟く。

「あ、不死鳥の肉食べる?」

「断る」


即答だった。


「えー、結構美味しいのに」

「モンスターのお肉は嫌!……それに、私、食材持ってきてるから」


ヒマワリはインベントリを開き、食材を取り出した。

肉、野菜、調味料――

一週間のイベントと聞いて、ちゃんと準備してきたらしい。


「ステラ、料理できる?」

「え……ううん、できないかも」

「じゃあ、私が作るね。手伝って」

「う、うん!」


ヒマワリは手際よく食材を並べ、調理を始めた。


「あのね、自分で料理するとバフが付くこともあるんだよ」

「え、そうなの?」

「うん。料理のスキルレベルが必要だけど、私は《料理Ⅱ》持ってるから」


ヒマワリが得意げに笑う。


「すごい……!じゃあ、私も手伝う!」

「うん。火はこっちで出すから――《ファイアボルト》!」


ヒマワリが手を翳すと、小さな炎が宙に浮かび、調理用の熱源となった。

二人は協力して料理を作り上げていく。

野菜を切り、肉を焼き、調味料で味を整える。


やがて――温かいスープとローストビーフが完成した。


「できた!」

「わぁ……美味しそう!」


二人は料理を分け合い、口にした。

温かいスープが体に染み渡り、疲れが癒えていく。


【スキル習得!《料理Ⅰ》】


「あ、スキル習得した!」

「やったね、ステラ!」


二人は笑い合い、食事を楽しんだ。


食事を終えた後、ステラがふと思いついたように顔を上げた。


「ねえ、ヒマワリちゃん。暇だし、何かゲームしない?」

「え?ゲーム?」

「うん!トランプとかいくつかゲームを持ってきてるんだ」


ステラはインベントリを開いて小さなカードの束を取り出した。


「何する?ババ抜きとか、神経衰弱とか?」

「じゃあ、ババ抜きから!」


二人はカードを広げ、ゲームを始めた。

笑い声が小屋の中に響き渡り、時間が過ぎていく。

ババ抜き、神経衰弱、大富豪――

夜が更けるまで、二人は童心に返ってゲームを楽しんだ。


「……ふぁ……ヒマワリちゃん、そろそろ寝ようかな」

「うん。でも、モンスターかプレイヤーが入ってくるかもしれないし、見張りはいた方がいいね。

 私が見張っておくから、ステラから先に寝ていいよ」

「え、いいの?」

「うん、その代わり2時間経ったら起こすからね」

「分かったよ。おやすみ!」


ステラは床に横になり、すぐに眠りについた。

ヒマワリは窓際に座り、外を警戒しながら時間を過ごす。

窓からこっそりと外の様子を見ると、スケルトンやゾンビ、レイスといったアンデット系のモンスターが彷徨っている。


「ひっ!」

ヒマワリは小さな悲鳴を上げ、何も見ていない、何もいないと自分に言い聞かせながら、窓から少し距離を取った。



――それから、どれくらい経っただろうか。


ゴトッ……


小屋の下から、小さな物音が聞こえた。


「……え?」

ヒマワリの背筋が凍る。


ゴトゴト……ガタッ……


音は徐々に大きくなり、明らかに何かが動いている。

「ひっ……ひぃ……!」

ヒマワリは震える手でステラの肩を叩いた。


「ス、ステラ……!起きて……!」

「もう食べられないよぉ」


何ともベタな寝言を発しながら眠り続けるステラを揺すって起こそうと立ち上がったヒマワリは

見えない音の発生源に怯え、足がもつれてステラの上に倒れこむ。

鈍い衝撃と、ヒマワリの叫び声のダブルパンチで、さすがのステラも目を覚ます。


「んー……?どうしたの……?」

「し、下……!下から音が……!」


ステラはがばりと起き上がり、床に耳を当てた。


ガタガタガタッ……!


「本当だ……地下、あるのかな?」

「わ、わかんないけど……怖いよ……!」

「大丈夫。一緒に見に行こう」


ステラは杖を握り、ヒマワリの手を引いた。

二人は慎重に小屋の中を探索し――床の隅に、隠し扉を見つけた。


「……これ、地下に続いてるっぽい」

「ひ、ひぃ……行くの……?」

「うん。多分、誰かいるかも」


ステラは扉を開き、階段を降りていく。

ヒマワリは震えながら、その後を追った。


地下室は狭く、薄暗かった。

そして――その奥に、傷だらけの男が倒れていた。


「でっ……でた、お化けぇぇぇ!!」

「ち、ちょっと待って!多分、人だよ!」


ヒマワリの叫び声を無視して、ステラは男のもとへ駆け寄った。


この世界では、プレイヤーやモンスターに視線を向けると自動でHPゲージが表示される。

だが――倒れている男の頭上には、何も浮かび上がってこなかった。


「……HPゲージが、出てない?」


震えるヒマワリは、ステラの影に隠れながら答えた。


「た、たぶんNPCなんだと思う……プレイヤーならゲージが出るし、

 モンスターなら名前も表示されるから……」


ステラは男の胸に手を当て、息があることを確認した。


「と、とりあえず、治してあげないと。《ヒール》!」


光が男を包み込み、ゆっくりと傷が癒えていく――。やがて――男はゆっくりと目を開けた。


「……う……ここは……?」

「大丈夫ですか?私たち、冒険者です」

「そうか……助けてくれたのか……ありがとう……」


男はゆっくりと体を起こし、二人を見た。


「俺は……この小屋で日誌を見つけて、宝石の破壊に挑んだ冒険者だ。

 だが、守護者に敗れて……捕らわれて、ずっとここに閉じ込められていたんだ……」

「そうだったんですか……」


ステラが優しく微笑むと、男は懐から小さな指輪を取り出した。


「礼と言っては何だが……これを受け取ってくれ。《風駆けの指輪》だ。AGIが10上がる」

「え……いいんですか?」

「ああ。君たちなら、きっとあの宝石を破壊できる」


ステラは指輪を受け取り、ヒマワリに手渡した。


「AGI上がるなら、ヒマワリちゃんの方がいいよね」

「う、うん……ありがとう」


ヒマワリは指輪を指にはめた。


「……あの、冒険日誌に書いていた、宝石を守ってるモンスターって、どんなやつなんですか?」


男は目を閉じ、苦々しそうに語り始めた。


「ああ……あれは《ネクロマンサー・ヴェルグ》。

 死者を蘇らせる研究をしていた、狂気のマッドサイエンティストだ。

 俺が挑んだ時――奴はどれだけ攻撃しても、まるで霧のように攻撃を受け流した。

 剣を振るっても、魔法を放っても、全てが無駄だった……」


男の声が震える。


「必死に戦い続けて、ようやく気づいたんだ。

 部屋の四隅に、微かに光る《生命の燭台》があることに。

 だが――その燭台は奴の魔法で隠されていて、普通には見えない。

 俺は一つだけ、偶然見つけて火を灯すことができた。

 その瞬間、奴の防御が少しだけ解けて、初めてダメージが通ったんだ……」


「じゃあ、四つ全部に火を灯せば――」

「ああ。奴の防御が完全に解除されるはずだ。

 だが……俺は残りの燭台を見つける前に、力尽きてしまった……」


男は悔しそうに拳を握りしめた。


「燭台の場所を教えよう。

 一つ目は部屋の北東、崩れた石柱の影。

 二つ目は南西、骸骨の山の下。

 三つ目は北西、古びた祭壇の裏。

 四つ目は南東、床に描かれた魔法陣の中心だ。

 全てに火を灯せば――奴を倒せる」


「わかりました。ありがとうございます」

「気をつけろ……奴は強い……」


男はそう言うと、再び目を閉じた。


「……明日、倒しに行こう」

「う、うん……頑張ろう……」


二人は地下室を後にし、小屋へと戻った。

男が見張りをしてくれると言ったので、二人は安心して眠りについた。


明日――二人は、宝石を破壊するため、森の奥へと挑む。


何やらやばそうなボスモンスターがいるみたいですね。

次は2/5投稿予定。

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― 新着の感想 ―
話自体はとても面白いのですが、読んでいて気になった事があります。 >俺は一つだけ、偶然見つけて火を灯すことができた。 >俺は残りの燭台を見つける前に、力尽きてしまった >一つ目は部屋の北東、崩れた石…
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