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死ぬのが怖いので、不人気の回復職を選びました。  作者: s-rush


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第034話 極振りヒーラー、ゴブリンキング討伐

二人は扉をくぐり、ボスの待つ空間へと足を踏み入れた。

巨大な影が、ゆっくりと頭を持ち上げる。

それは――全身に傷跡を刻んだ、巨大なゴブリンだった。

筋骨隆々とした体躯、手には巨大な戦斧、頭には粗末な王冠。


《ゴブリンキング》


その名が、システムウィンドウに表示される。


「……でかい……!」

ヒマワリが呟く。

「う、うん……準備しないと……!」

ステラは杖を掲げ、詠唱を始めた。


「《ヒール》!」

淡い光が体を包み、《リストア・ヴェール》が展開される。

「《リジェネ》!」

さらに持続回復を重ね、バリアの耐久を強化する。


「よし……行くよ、ステラ!」

「うん!気をつけて!」

ヒマワリは深く息を吸い、《加速》を発動した。

瞬間、世界の動きが遅く感じられる。

体が軽くなり、まるで風になったかのような感覚。

「――行くっ!」

ヒマワリが駆け出した瞬間、その姿が残像を残して消えた。


「《ファイアボルト》!」

火球がゴブリンキングの顔面に直撃する。

「グオオオオッ!!」

ゴブリンキングが咆哮を上げ、戦斧を横薙ぎに振るう。


だが――

ヒマワリはすでにその場にいない。

加速の効果で、通常の倍以上の速度で移動し、ゴブリンキングの背後に回り込んでいた。


「《ウィンドカッター》!」

風の刃が背中を切り裂く。

ゴブリンキングが振り向くと同時に、戦斧が振り下ろされる。

だが、ヒマワリは軽やかに横へステップ。


剣を構え直し――

「《スラッシュ》!」

鋭い一閃が脇腹を深々と切り裂く。

ゴブリンキングが再び戦斧を振るうが、ヒマワリは加速の効果で常に一歩先を行く。

攻撃が来る前に移動し、隙を見つけては斬撃を叩き込む。


「《サンダーボルト》!」

雷撃が走り、ゴブリンキングの動きを一瞬止める。

その隙を逃さず――

「《ソニック・ブレイク》!」

二連撃が胸部を切り裂く。


ステラは後方から、その戦いを見守っていた。

(すごい……ヒマワリちゃん、あんなに速く動けるんだ……!)

まるで風のように、ゴブリンキングの周囲を駆け巡る。

魔法で削り、剣で仕留める。

その連携は、まるで舞を踊っているかのように美しかった。

ゴブリンキングのHPバーが、みるみるうちに削れていく。


やがて――HPが7割を切った。

その瞬間――


「グルルルルルッ!!」


ゴブリンキングが雄たけびを上げた。

次の瞬間、部屋の四隅から5体のゴブリンが現れた。


「増援!?」

ヒマワリが驚いた声を上げる。

「ステラ、任せた!」

「う、うん!」


ステラは杖を高く掲げた。

「《フェニクス・フレア》!」

杖の先から放たれたのは、鮮やかな紅蓮の炎だった。

それは、不死鳥の生命力を思わせる神々しい光を放ち、ゴブリンたちを包み込む。

WIS極振りから放たれた聖なる炎は、ゴブリンたちは悲鳴を上げる間もなく、邪悪な存在を浄化するかのように一瞬で灰燼に帰した。


「えっ……!?今の、ステラの魔法……?」

ヒマワリは、炎のあまりの美しさと威力に、思わず目を見張った。


「私だって新しいスキル覚えたんだもんね!

「相変わらずめちゃくちゃだなあ……でもナイス、ステラ!」

「えへへ……!」


ゴブリンたちが光の粒となって消え、再びゴブリンキングとの一騎打ちに戻る。

ヒマワリは再び《加速》を発動し、攻撃を再開した。


「《ファイアボルト》!」

火球が顔面に直撃し、ゴブリンキングが怯む。

その隙に――

「《ウィンドスラッシュ》!」

風を纏った斬撃が腕を切り裂く。

戦斧が振り下ろされるが、ヒマワリは紙一重で回避。

「《ウォーターショット》!」

水弾が顔面に当たり、視界を奪う。

「《スラッシュ》!」

その隙に深々と斬撃を叩き込む。


さらに――

「《サンダーラッシュ》!」


雷の三連撃が胸部、腹部、脚と次々に切り裂いていく。

ゴブリンキングは必死に反撃しようとするが、ヒマワリの速度についていけない。

攻撃はことごとく空を切り、逆に隙を晒してしまう。

やがて――HPが3割を切った。

その瞬間――


「グオオオオオオオッ!!」


ゴブリンキングが再び雄たけびを上げた。

今度は、部屋の周囲から大量のゴブリンが現れる。


「うわっ、多すぎ!」

「ステラ、雑魚お願い!」

「わ、わかった!」


ステラは杖を構え直した。

「《リジェネ》!」

持続回復を即座に再展開し、バリアを強化する。

「《プロテス》!《ドレイン・オーラ》!」

防御力を上げ、生命力吸収の光の輪を広げる。


「《挑発》!」

赤色の波紋が広がり、ゴブリンたちの殺意が、一斉にステラへと向く。

20体を超えるゴブリンたちが、唸り声を上げながら、一斉にステラへと襲いかかる。

斧、剣、槍――様々な武器が一斉にステラへと振り下ろされる。


だが、ゴブリンたちの猛烈な攻撃は、すべて淡い青色のバリアに弾き返される。

ガツン!ガツン!という金属と光がぶつかり合う鈍い衝撃音が連続するが、ステラのHPはピクリとも動かない。

攻撃は通らないどころか、バリアに触れた瞬間に《リフレクト・ヴェール》が発動。ゴブリンたちは、自らが振るった武器の威力そのままのダメージの一部を、反射ダメージとして体で受け、次々と体勢を崩していく。


さらに、ステラを中心に広がる《ドレイン・オーラ》が生命力を吸い上げ、バリアをさらに強化する。

そして――ステラの杖が、淡く光り始めた。

《セラフィック・リザーブ》のエネルギーが、限界まで溜まっている。


「よし……もう一回!」


ステラは杖を高く掲げた。

「《フェニクス・フレア》!」

再び聖なる炎が放たれてゴブリンたちを包み込み、大半が光の粒となって消えていく。


「大技行くよっ!《セラフィック・リザーブ》!」

ステラが叫ぶと同時に、ヒマワリもゴブリンキングへと向き直った。


「了解!」

ヒマワリは全力でゴブリンキングへと駆け出す。

「《ストームスタンス》!」

風と雷を纏い、移動速度をさらに上げる。

「《ファイアボルト》!《ウィンドカッター》!《サンダーボルト》!」

魔法を連続で放ち、ゴブリンキングを削る。


そして――

「《ウィンドスラッシュ》!《スラッシュ》!《ソニック・ブレイク》!」

次々と斬撃を叩き込み、ゴブリンキングのHPをギリギリまで削る。


「今だ、ステラ!」

「うん!」

ステラが杖を掲げると――

眩い光が爆ぜた。


「《セラフィック・リザーブ》!」

聖属性のエネルギーが、ゴブリンキングを包み込む。

轟音と共に、光の奔流が部屋を満たし――

ゴブリンキングの巨体が、ゆっくりと光の粒となって消えていった。

静寂。


「……や、やった……!」

ステラはその場に膝をつき、大きく息を吐いた。

「やったね、ステラ!」

ヒマワリが駆け寄り、ステラの手を引いて立ち上がらせた。


「うん……!二人で、やったね……!」

「そうだね!」

二人は笑い合い、拳を合わせる。


「……それにしても、ヒマワリちゃん、すごかったね……!」

ステラが目を輝かせながら言った。

「え?」

「あんなに速く動けるんだ……!魔法と剣を組み合わせて、まるで風みたいに戦ってて……かっこよかった……!」

「え、えへへ……ありがと」


ヒマワリは少し照れたように頬を染めた。

「1週間頑張った甲斐があったよ。加速と魔法があると、戦い方の幅がすごく広がるんだ」

「うん……!本当にすごかった……!私、見惚れちゃった……!」

「も、もう!恥ずかしいって!」

ヒマワリは頭を掻きながら笑った。


そして――部屋の奥に、淡く光る宝箱があることに気づいた。

「あ……宝箱!」

「開けてみよう!」

二人は宝箱へと駆け寄り、蓋を開けた。


中には――

淡い光を放つ、二つの宝石が収められていた。

《古の宝石》×2

「やった……!これで2個ゲット!」

「うん!まだまだ足りないけど、いいスタート!」

ステラが宝石を拾い上げると、インベントリに収まった。


「よし……それじゃあ、外に戻ろっか」

「うん!」


二人は宝箱の奥に現れた転移の魔法陣へと向かった。

魔法陣に足を踏み入れると――

光が二人を包み込み、視界が真っ白に染まった。

次の瞬間――



二人は、元いた草原に戻っていた。

青い空、緑の草、そして遠くに見える山脈。


「……戻ってきた!」

「うん。さて、次はどうする?」

「とりあえず、《古の宝石》を探そう!まだまだ足りないし!」

「そうだね!頑張ろう!」


二人は笑い合い、再び探索を開始した。

広大なフィールドに、二人の冒険が続いていく――。


さっそく宝石を見つけることができ、好調なスタートを切ることができましたね。

次は2/1投稿予定です。

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