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死ぬのが怖いので、不人気の回復職を選びました。  作者: s-rush


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第030話 極振りヒーラー、不死鳥との遭遇

タイトル名が前話になってましたorz

翌日。

ヒマワリは剣道の大会予選のため、今日はログインできない。

ステラは一人、ハネリ村の広場でのんびりと空を見上げていた。


「ヒマワリちゃん、頑張ってるかな……」

小さく呟いて、ステラは立ち上がった。

「よし……今日は一人で探索してみよう!」

一人きりの冒険は少し不安だったが、新しいスキルを探すにはちょうどいい機会だ。

ステラは村の外へと歩を進めた。


二階層の草原は、今日も穏やかな風が吹いている。

色とりどりの花が揺れ、青い鳥たちが空を舞っている。


「うーん……新しいスキル、どうやったら見つかるかな……」

ステラは杖を握りしめながら、草原を歩いていく。

モンスターと戦うのもいいが、一人だと少し心細い。

できれば、戦わずにスキルを見つけたい――。

そんなことを考えながら歩いていると、ふと視界の先に、大きな影が見えた。


「……あれ?」

近づいてみると、そこには巨大な鳥が羽を休めていた。

翼を畳み、目を閉じて、穏やかに眠っている。


「わあ……大きい……」

ステラは目を輝かせた。

「……あの鳥に乗ったら、空飛べないかな?」


誰も聞いていない独り言を呟き、ステラはそっと鳥に近づいた。

「よし……まずは、念のため準備!」

ステラは自分に《ヒール》を唱え、《リストア・ヴェール》を展開する。

淡い水色の膜が体を包み込んだ。


「これで大丈夫……!」

ステラはそっと鳥の背中に手をかけ――

ゆっくりと、その背に乗った。

鳥は目を覚まし、ゆっくりと首を持ち上げる。

「あ、あの……ごめんなさい、ちょっとだけ……」

ステラが恐る恐る声をかけると――

鳥は一声鳴き、翼を大きく広げた。


「え、ちょ、ちょっと……!?」

次の瞬間、鳥は勢いよく空へと飛び立った。

「うわあああああっ!?」

風が頬を叩き、景色が一気に遠ざかる。

草原が小さく見え、村が遠くに霞む。


「す、すごい……!本当に飛んでる……!」

ステラは興奮しながら、鳥の背にしがみついた。

空を飛ぶ感覚は、想像以上に心地よい。

風が髪を揺らし、青い空が広がっている。

「わあ……綺麗……!」


だが――その感動も束の間。

ステラはふと、重大な問題に気づいた。

「……あれ?どうやって降りるの……?」

鳥は自由に空を飛び続け、降りる気配は一切ない。


「ちょ、ちょっと……降りて……!」

ステラが声をかけるが、鳥は意に介さず飛び続ける。

「う、うそ……このまま飛び続けるの……?」

焦りが胸を満たし始めたその時――

鳥が突然、激しく暴れ始めた。


「ひゃああっ!?」

翼を大きく羽ばたかせ、体を左右に揺さぶる。

ステラは必死にしがみつこうとするが――

STRゼロの腕では、鳥の激しい動きに耐えられない。


「だ、ダメ……手が……!」

指先が滑り、体が浮く。

次の瞬間――

「きゃああああああっ!!」

ステラの体が、空中へと放り出された。

風が逆巻き、景色が回転する。

地面が、どんどん近づいてくる。

「う、うそ……落ちる……!」

ステラは目を瞑り、体を丸めた。



――ドサッ。

予想以上に柔らかい感触が体を包んだ。


「……え?」

恐る恐る目を開けると、そこは――

巨大な巣だった。

柔らかい羽毛と枝が絡み合い、まるでクッションのようになっている。


「た、助かった……!」

ステラはほっと息をつき、周囲を見回した。

巣は崖の中腹にあり、周囲は岩壁に囲まれている。

巣の中には大量の羽毛や枯れ枝、柔らかい綿毛のような素材が詰まっていた。

そして中央には、淡く光る“火の卵”。

どう見ても 大切に守られている系のヤバい何か である。


「ここ……どこだろう……?」

立ち上がろうとした、その時。


――ゴォォォッ。


巣の上空から影が差し、炎の音が響いた。


「え……?」

上を見上げた瞬間、目の前に巨大な鳥が現れた。

いや、鳥ではない。

全身が炎に包まれ、羽根一枚一枚が赤く輝いている。

その瞳は深紅に燃え、まるで太陽そのもののような存在感を放っていた。


《フェニックス・プリマ》


フェニックスの名が、システムウィンドウに表示される。

「ひぃぃ……なんでこんなところにボスが……!」

「――ギュオオオオオオッ!!」


守護者の怒号。完全に“卵を守る親”だ。

ステラは慌てて手を振る。


「ち、違うの! 卵は踏んでないし盗む気も――って、わあああ!?」


フェニックスの翼が広がった瞬間、

轟炎が吹き荒れ、視界が真っ赤に染まる。



「ひゃっ!?」

炎がステラを包み込む。

だが――《リストア・ヴェール》が炎を軽々と受け止める。

バリアの耐久値が少しだけ削れたが、すぐに《リジェネ》が回復していく。

「あ、あれ……?あんまり痛くない……?」

ステラは驚きながらも、冷静に状況を見つめた。



フェニックスが吐く炎はWISに依存する攻撃のため、WIS極振りのステラにはダメージが通りづらいのだが...

そんなことをステラが知る由もなかった。





フェニックスは再び炎を放つが、ステラのバリアは容易には壊れない。

《ドレイン・オーラ》を発動し、回復量をさらに増やす。

「よし……これなら、耐えられる……!」

だが――次の瞬間。

フェニックスが翼を広げ、空中へと舞い上がった。


「え……?」

一瞬の沈黙の後――

フェニックスが急降下し、鋭い爪をステラへと振り下ろした。


「うわっ!?」

爪がリストア・ヴェールを引き裂き、ステラの肩を浅く切り裂く。

HPバーが一気に減った。

それと同時にリフレクト・ヴェールの反射でフェニックスのHPバーも減っていく。


「い、痛い……!」

慌てて《ヒール》を唱え、HPを回復する。

さらに《プロテス》を自分にかけ、防御力を上げる。

「これで……もう一回!」

フェニックスが再び爪を振るうが、今度はバリアが耐えた。


「よし……!」

ステラは安堵の息を吐いた。

だが――問題は、ここからだ。


ステラが杖で叩いたところで、与えられるダメージはほとんどない。

そのわずかに与えたダメージでさえ、フェニックスが炎を吐くたびに回復してしまう。

頼みの綱のセラフィック・リザーブも炎のダメージがほとんど受けないため、今のところは有効打になりえない。


(どうやって、倒せばいいの……?)


ステラは焦りながら、周囲を見回した。

巣、岩壁、そして――

大量の羽毛や綿毛が、巣の中に散らばっている。


ステラがどうやって倒そうかと考えていると、再び炎に包まれる。

「ひゃぁっ、び、びっくりした。」


フェニックスが再び炎を吐こうと口を開ける。


「ちょ、ちょっと待ってってば!」


ステラは周りに散らばっている羽毛を両手に抱えて思い切り投げ込んだ。

大量の羽毛が、フェニックスの口の中へと吸い込まれる。

次の瞬間――


ボッ!


羽毛が一気に燃え上がり、黒い煙が噴き出した。

「うわっ!?」

フェニックスが苦しそうに身をよじり、激しく咳き込む。

「や、やった……!?」

ステラは再び羽毛を掴み、次々とフェニックスの口へと投げ込んでいく。


「えいっ、えいっ!」

炎に引火した羽毛が黒煙を生み出し、フェニックスの体が煙に包まれていく。

火を使う生物なのに、自分の炎で苦しんでいる――。

なんとも皮肉な光景だった。



やがて――


フェニックスのHPバーがゼロとなり、その姿が灰になっていく。

「……や、やった……の?」

ステラは息を呑んだ。



ステラが安堵したその瞬間――。


灰が、風に舞うようにふわりと浮いた。

そして、中心に小さな火が灯る。


「え……なにそれ……?」


灰の中で炎が渦を巻き、

一本の羽根、翼、身体へと形を変え、

光の柱が立ち上がるように 再構築 されていく。


「ギュアアアアアアアアッ!!」


「え……うそ……復活した……!?」

ステラは驚愕の声を上げた。

フェニックスが再び翼を広げ、深紅の瞳がステラを捉える。


戦いは――まだ、終わっていなかった。


自由に空を飛べるようになるのは当分先になりそうです(笑)

次は1/22に投稿予定です。

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そーらをじゆーうにーとーびマッスル!!(全身の筋肉を音速の3倍速で振動させながら亜音速でカッ飛んでいく)
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