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死ぬのが怖いので、不人気の回復職を選びました。  作者: s-rush


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第028話 極振りヒーラー、第二階層で束の間の休息

光がゆっくりと収まっていき、二人の足元にやわらかな地面の感触が戻ってきた。

ステラとヒマワリは、そっと目を開く。


そこは――

草原でも森でもなく、温かな雰囲気の漂う小さな町の中央だった。

木造の家々が整然と並び、屋根の上には鳥の巣が点々と見える。

風見鶏のようなオブジェが軒先に飾られ、澄んだ風がくるくると回していた。


「ここ……町の中に転送されるんだね」

ステラがきょろきょろと見回す。

「うん、安全配慮なのかな。初心者にも優しいし」

ヒマワリも周囲を観察しながら頷いた。


町の名は――

視界に浮かぶシステムウィンドウに表示された通り、《ハネリ村》。

小川が町の中央を流れ、木の橋がゆったりと架かっている。

人々の姿もちらほら見え、のどかな生活音が広がっていた。

その頭上を、青い羽を持つ鳥たちがふわりと舞っていく。

鳥の羽ばたきと風の音が混ざり合い、優しいBGMが町全体に響いていた。


「……すごい、癒される……」

ステラは思わず目を細めた。

「一階層とはまた違う雰囲気の世界だね」

ヒマワリも緊張の抜けるような笑みを浮かべ、深呼吸した。



二人は転送陣のあった場所から少し歩き、噴水のある広場へ出る。

小さな露店、鳥の羽細工を売る雑貨屋、プレイヤーがよく使いそうな鍛冶屋の看板も見える。

そして――広場の一角に、可愛らしいカフェの看板が目に入った。

《フェザー・カフェ》

鳥の羽をモチーフにした装飾が施された、木造の小さな店だ。


「……ねえ、ヒマワリちゃん」

ステラが立ち止まり、カフェを指差した。

「ボス討伐のお疲れ様会、しない?」

「お疲れ様会?」

「うん!せっかく二階層まで来たし、ちょっとお茶でもしたいなって」

「いいね!私も喉渇いたし」



二人はカフェの扉を押し開けた。

店内は温かな木の香りが漂い、窓際の席からは広場が一望できる。

NPCの店員が笑顔で迎えてくれ、二人は窓際の席に座った。


「えっと……メニュー、メニュー……」

ステラがメニューを開くと、目を輝かせた。

「わあっ!《期間限定・スカイベリーパフェ》だって!」

「……ステラ、"限定"ってついてるの好きだよね」

ヒマワリは呆れたように笑った。

「だ、だって限定って特別感あるし……!」

「この前もアップデート記念パフェ頼んでたよね」

「あ、あれは美味しかったから……!」

ステラは頬を赤らめながら、メニューを見つめる。

「じゃあ私は……ハニーミルクティーにしよっかな」

「うん!じゃあ注文しよう!」

二人は注文を済ませ、しばらくして運ばれてきたのは――


色とりどりのベリーが盛られた、青空をイメージしたパフェと、温かなミルクティー。

「わあ……綺麗……!」

ステラは目を輝かせながら、スプーンを手に取った。

「いただきまーす!」

「いただきます」

パフェを一口頬張ったステラは、思わず笑顔になった。


「ふわぁ……甘くて、ちょっと酸っぱくて……美味しい……!」

「よかったね」

ヒマワリはミルクティーを一口飲んで、ほっと息をついた。


「ガルドラ戦、お疲れ様」

「うん……お疲れ様!」

二人はグラスとカップを軽く合わせる。


「今日は頑張ったね、ほんと」

「うん……!

 私、ガルドラの斧が降ってきた時、ほんとに泣きそうだった……」

「見てわかった」

「やっぱり!?」

「顔に“ムリムリムリ!”って書いてあった」

「そ、そんな顔してないよぉ!」

むぅーと頬を膨らませるステラに、ヒマワリは楽しそうに笑った。

ステラは照れたように笑い、再びパフェに夢中になる。


「……それにしても、プロテスを自分にかけられること、本当に気づいてなかったの?」

「う、うん……だって、補助魔法って味方を強化するものだと思ってたし……」

「自分も味方でしょ……」

「そ、そうなんだけど……なんか、自分のことは後回しでいいかなって……」

「ステラらしいっちゃらしいけど……でも、自分を守ることも大事だよ?」

「うん……気をつける……」

ステラはしょんぼりと肩を落としたが、すぐにパフェを食べて笑顔を取り戻した。


「でも、おかげでバリアが壊れなくなったから、結果オーライだよね!」

「それはそうだね」

ヒマワリも笑って、ミルクティーを飲んだ。

窓の外では、青い鳥たちが広場を飛び交っている。

穏やかな時間が流れ、二人はゆっくりとお茶を楽しんだ。



「……ふぅ、美味しかった!」

ステラがパフェを食べ終え、満足そうに息をついた。

「じゃあ、そろそろ落ちよっか?」

ヒマワリがウィンドウを開きながら尋ねる。

「うん。また明日、この続きね。村の中、いろいろ散策したいし」

「私も!鳥の巣とかかわいいし……!」

二人は顔を見合わせ、小さく手を振り合った。


「じゃあ、また明日ね、ヒマワリちゃん」

「うん。また明日!」

光が二人の体を包み込み、ログアウトエフェクトが静かに弾ける。

穏やかな町「ハネリ村」には、再び鳥の声と風の音だけが残っていった。


2層に突入です。

次は1/16投稿予定です。

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