プロローグ それは、小さな決心から始まる冒険
はじめに
この作品はご都合主義的展開を含んでおり、いろんな作品からインスピレーションを受けて執筆しています。
また、作者は執筆の経験は皆無であるため、話が進むにつれていろんな矛盾や違和感が発生してくるかと思います。
そして何より重要な点として、仕事の合間に気分転換がてらに執筆をしていますので
投稿ペースは他の投稿者様と比べて遅いと思います。
これらに対して不愉快に思った際は光の速さでブラウザバックし、この作品を切ることを強く推奨します。
つまらないと思う作品を読み続ける意味はありません。
ご自身にあった面白いと思う作品を探しに行っていただければと思います。
以上のことを踏まえたうえで、どうぞご覧ください。
「ねえ、灯里、これ!これ面白いんだよ!絶対やったほうがいいって!」
スマホの画面越しに、日葵の声が弾む。いつもよりさらに高く、まるで太陽の光が弾けるみたいに。
あの子は本当にゲームが好きで、新しいものを見つけるたびに、こうして私を熱烈に誘ってくる。
「……うーん、でも、私、そんなにゲーム得意じゃないし……」
私は小さくつぶやきながら、見せられた『Arcadia Online』の宣伝ムービーに目を向けた。
VRMMOとして人気急上昇中らしい。
画面の中では、色鮮やかなキャラクターたちが剣を交え、魔法を放ち、雄大な世界を駆け巡っている。
自由度が高く、キャラクター作りも冒険の進め方もプレイヤー次第。
まるで自分だけの物語を作れるようなゲームだと、日葵は目を輝かせながら熱弁する。
「自由度が高いっていうだけじゃなくてさ、装備のカスタマイズも豊富だし、スキルの組み合わせ次第で戦い方も千差万別。初心者でも工夫次第で強くなれるって評判なんだって!」
画面に映る、剣と剣がぶつかり合う激しい光景。
そのたびに鳴り響く金属音と、爆発の轟音。
映像だとはわかっていても、私の胸はどくどくと不規則に脈打つ。
私にとって、たとえ仮想の世界であっても“死ぬ”という体験は、どうしても受け入れがたかった。
倒されるたびに感じる痛みや恐怖の擬似体験……。
それは、ただのゲームとは言えないような気がして、どうしても踏み出せないでいた。
「うーん……でも……」
「じゃあ、今から行くね!準備しといて!」
私の返事を待たず、日葵は通話を一方的に切った。
その勢いに呆然としている間に、家のチャイムが鳴り響く。
彼女は本当に、止まるところを知らない。
そう迷っている間に、私は日葵に連れられるまま、家電量販店のゲームコーナーに立っていた。
日葵の勢いに押され、気づけばレジに並び、ソフトと専用ハードを抱えていたのだ。
手元にある真新しいパッケージに、現実での“死ぬかもしれない”感覚がよぎる。
仮想世界とはいえ、キャラクターが倒されるたびに感じる恐怖……。
「灯里、大丈夫だって!VRMMOなんだから、普通のゲームと違うんだよ。キャラクター作りも戦い方も自由だし、冒険の順番だって自分次第。失敗してもやり直せるし、工夫次第で全然楽しいんだから!」
彼女の言葉が、私の心に少しだけ響く。
それでも、仮想世界でキャラクターが倒されるたびに感じるかもしれない恐怖が、胸の奥で小さな不安としてくすぶり続けていた。
「……わかった。やってみる」
私の声は、小さく震えながらも決意を込めていた。
死ぬのは怖い。
だけど、日葵と一緒なら、この未知の世界に足を踏み入れる勇気が、ほんの少しだけ湧いてきた気がしたから。
だが、レジを済ませて店を出た直後、日葵の弾む声は一転して申し訳なさそうなトーンに変わった。
「ごめん、灯里!実はさ、私、明日から2週間、部活の合宿なんだ。夏の大会前の最後の追い込みで。本当は一緒にスタートダッシュしたかったんだけど、ごめん!」
え?
全身から血の気が引くのを感じた。
日葵と一緒だから、という最大の支えを失った現実が、私を突き刺す。
手に抱えたソフトのパッケージが、急に重く、冷たい石のように感じられた。
「でも、灯里には先に始めててほしいんだ!2週間あれば操作に慣れるだろうし、私が戻る頃にはもう立派な冒険者になってるかもじゃん?まぁ、私って運動神経バツグンだから、その分ゲームで差をつけといてよ!」
無責任な笑い声が、耳鳴りのように響く。
彼女は悪気なく、太陽のように明るいまま。
「……一人で、やるの?」
その言葉を、私はかろうじて絞り出した。
仮想世界でも死ぬのはやっぱり怖い。
だけど”自分だけの物語を作れるようなゲーム”と聞いてドキドキする気持ちも嘘じゃない
日葵の無責任な笑い声を聞き流しながら、私は真新しい『Arcadia Online』のパッケージを両手で抱え直した。
重いのはソフトや専用ハードのせいだけじゃない。
恐怖と期待、二つの感情がズキズキと胸を締め付ける。
私はその不安と好奇心の両方を抱え込んだまま、足早に家路を辿った。




