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感情という錘  作者: 隆頭
第二章 噂

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四十一話 お泊まり

 あの厄介な後輩から生徒会長(あやさか)の妨害によって逃げることに成功し、今は楓の家に着いたところだ。

 これから彼女の家で待たせてもらい、泊まり用の荷物を持って俺の家に向かう。両親にはお泊まりのことを話してあるらしいが、友達の家で泊まることになってるらしい。

 紹介するにはまだ心の準備ができてないので、いつか美白(みしろ)さんも交えてやりたいのだとか。



 楓に促されるままリビングで待っていると、泊まりの荷物を持ってきた彼女が私服姿でやってきた。用意は既に済ませていたので、あとは着替えるだけだったみたい。

 楓の手にある荷物を半ば強引に持たせてもらい、二人で家に向かう。


「そんなに重くないから別に良いのに」


「せっかくなら持ちたいんだよ。俺は楓の彼氏なんだからさ」


「そっか。雫くんがそう言うならお願いするね♪」


 楓はそう言って眩しい笑顔を見せた。



 俺の家に到着し、俺は私服に着替えて夕飯の用意をする。今日は楓も一緒に作ってくれるようだ。

 二人で台所に並び、食材を並べてアレコレをしている。これではまるで夫婦みたいではないかと思った。


「なんか、あれだね。夫婦で一緒に何かしてるみたいで、ちょっと恥ずかしいね……えへへ♪」


 そんなことを言って笑いかける楓を見て、俺の体は勝手に動いてしまった。彼女を抱き締め、その唇を塞ぐ。

 突然の俺の口付けに彼女は目を見開くが、すぐに目を閉じて両腕を首の後ろに回した。その腕から掛かる温もりと重みが、感覚をより鋭くさせる。


 互いに抱き合いながら数秒の間、その姿勢のまま感覚だけを意識する。そうして唇を離すと、楓は恥ずかしそうにはにかんだ。


「同じこと考えてたから、ついしちゃった。ごめん」


「ううん。でもそっか、やっぱり私たち夫婦になれるかもね♪ちょっとびっくりしたけど、その……きっ気持ちよかった……よ?」


 驚かせたと思って謝ると、楓は小さく首を振って、頬を朱に染めながら首を傾げる。

 その仕草に加え、若干の上目遣いが猛烈な色気を感じさせたが、それに流されることなく俺は料理の準備を始めた。

 それを見た彼女は寂しそうな声を出すも、俺はその行動の真意について話す。


「まずはご飯を食べよう。始めたら多分、食べ損なうから」


 俺の言葉に楓は そっか…と答えるも、俺の背中からギュッと抱き締める。


「じゃあ私も、ちょっとだけギュッしたら我慢する。その代わり、後で沢山シようね♪」


「────うん」


 即答したかったが、あまりの恥ずかしさにそれは憚られた。ただ、少し間を空けて頷くと、楓は頭をぐりぐりと背中に押し付けた。

 離れる前に、胸も押し付けてきた。



 そんなこんなで食事を終えて、今は片付けをしてるところである。一人の食事に不満はないが、好きな人や親しい人と一緒に食事をするのはとても幸せなことなんだと、今回のような機会を通じて強く思う。


 すぐに片付けを終えて、楓の隣に腰を下ろした。先ほどの事もあって、お互いにどこかぎこちない。

 何回(どれだけ)行為をしたとしても、やはり行為をする前というのは意識ばかりが先行してしまい、どうしても普段通りになれない。

 でもそれも、贅沢な悩みなのかもしれないな。




 もう既に寝る前の時間、俺たちは既に風呂も上がって行為を終えた。二人で風呂に入ればそりゃ盛り上がるだろうし、出たあとも続くだろう。

 付き合いたてなら尚更というものだ。


 あれだけ行為に集中していれば、他の事には意識など向くはずもない。それを示すようにスマホの通知を示すランプが点滅していた。

 スマホを手に取り、何の通知かと目を通す。どうせ下らない通知やらなんやらだろうが、万が一電話があってもと思ってのことなのだが……


 たった一つだけ出てきた通知バーには、不在着信があることを告げていた。

 どうやら、妹の瑞稀から電話があったみたいだ。それも四回も……



 先日 瑞稀から聞いた話もあって、なんとなく嫌な予感がしたが、こうして見てしまった以上無視をするのも良くないだろう。

 楓に断りを入れ、仕方ないので折り返しの電話をかけてみると、一コール鳴っている途中で応答があった。随分と待たせてしまったみたいだな。


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