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第3章・過去への旅立ち

AD2038


人類の半数を失う第三次世界大戦後国際連合に代わり


国際連邦政府を設立するが


その初代大統領に就任したグラント大統領は


就任後わずか1時間でSPの手により射殺され


その様子は全世界に配信された

AD2038


フランス軍情報部員ジャンヌ・ダルク少佐は3人の部下


副官バロン中尉・シン・小林少尉・ファラア少尉と共に


フランスとスイスの国境を跨ぐ


セルン欧州原子核研究機構へ向かっていた


VTOL輸送機内で4人は


連邦議会で連邦政府大統領に就任したグラント大統領が


記者会見を始め一人の記者が大統領に


核爆弾を持ち


軍の家族から食料を奪ったグラント大統領を


裏切り者と罵る


そして爆発させる前に記者は射殺される


その様子を配信で見ていた4人は


<そそんなたかが食い物で自分達の大統領を殺すのか?>


《バロン中尉は飢餓を経験経験した事は無いのですか?


幼い子供には耐えられない程つらい事ですよ》


【ファラア少尉は飢餓の経験が在るのですか?】


《小林少尉私は両親と共にクルド人が住む中東からフランスに


難民船に乗り亡命してきました


途中船はエンジンが故障して漂流


食料が無くなり多くの人達が飢餓で亡くなりました


子供を亡くした母親に何を言っても子供を放そうとしなかった


私も栄養失調で意識を失いましたが


救助され九死に一生を得ました


でもあの経験は一生忘れられません》


<そうかそんな事がたかが食料なんて言ってすまん>


《いえ良いんですよ生意気な事を言って済みません》


黙って3人の様子会話を聞いていたジャンヌが


『おいみんな


様子が変だぞ配信を見て見ろ』


3人は中継画面に見入る


SPがグラント大統領に拳銃を突き付けていた


<えっ何で護衛が?>


『どうやら彼も多くの部下を戦場で失い


その家族の世話をしている軍人の様だ


だからこそ出世の為に退役軍人達の家族の命の綱の


食料を取り上げる大統領が許せなかったんだろう


他のSPが誰一人止めないのは皆同じ気持ちなのだろう』


そして大統領は就任わずか一時間で


その任期を終えた


【いったいどうなるんですか


連邦政府はもう一度


大統領選挙をやり直すですか?】


『いや既に副大統領が決められている


大統領再選挙は無い』


そしてジャンヌ達を乗せたVTOL輸送機がセルンに到着した


着陸後VTOL機は地下格納庫に向け


エレベーターを降下して行く


地下格納庫に到着VTOL機からジャンヌ達4人は降りる


そこにはヘリやVTOL機やF35-Bが並んでおり


小規模な空軍の基地の様に見えた


出迎えのセルン職員に命令書を提出した


兵士が身分証の照合と身体検査を求めたが


セルンの職員は


(この方達は第一級のVIPだ称号は無用


私の言う事に何か不服か?)


その言葉と威圧感に兵士は怯み


敬礼をして終わる


(ではこちらへ)と言われ付いて行く


ジャンヌは地下格納庫の端にシートを被せた機体を多数の兵士が取り囲み


一分の隙が無い程に警護している様子がに目が止まる


4人は更に地下へと降りて行くエレベータに乗る


地下に到着した4人を


銃を構えた完全武装の連邦軍兵士が前後に挟みながら


まるで逮捕連行されている様な扱いで歩く


セルンの職員は


(申し訳ない


ご存じでしょうが


連邦政府大統領が暗殺され


現在軍が管理する全ての施設で


警戒体制が敷かれているのです)


ドアの前で立ち止まりインターホンにセルンの職員が


(ブルボン博士ゲストが到着しました)と伝えると


自動ドアが左右に開いた


中にはいるとそこは


壁一面のモニターと壁一面の研究書籍


至るところに積み上げられた書類に


実験機材


ゴミ箱にうず高く積み上げられたインスタント食品の殻


誰の目にも研究室と思われた


そしてその主は白衣に白髪混じりのボサボサの髪の毛の


年配の見るからに研究者と言えるような男性


セルンの職員は


(ブルボン博士


ご希望の4人をお連れしました)


ブルボンと言うこの研究者は


4人をまじまじと見て


「よく来てくれた


ジャンヌ少佐みんな・・・」


その目にはうっすらと涙を溜めていた


しかしジャンヌ少佐は


『ブルボン博士


私達は初対面の筈ですが


何処かでお会い致しましたか?』


ブルボン博士はハッとして


「いや


済まないわしの思い違いだ忘れてくれ


年を取ると思い違いが多くて困る」


しかしジャンヌは


先程セルンの職員は我々を博士に


ご希望の4人と言っていた


我々は初対面でも博士は資料などで我々を知っているのだろう


だが一体何の用件で我々は此処に呼ばれたのかと考えた


(ブルボン博士4人を案内いたしましたので


失礼して宜しいでしょうか?)


セルン職員の言葉に


「ああ


十分だよごくろう」と答えるブルボン博士


(では失礼します)とセルン職員は退室する


ドアが閉まり廊下では


隊長らしき兵士が


[どうでした


博士が呼んだのはフランス軍の工作員ですか]


危惧する隊長に


(違うな少なくとも破壊工作員ではない


博士は元々フランス軍で研究を行っていた


恐らく博士の研究データーを受け取りに来た


連絡将校だろエレベーターがCTスキャンになっているが


拳銃以外爆発物など何も持っていなかった


安心したかね?)


[流石です


格納庫で検査の必要なしと言えば油断するでしょうから]


研究室ではジャンヌが


『ブルボン博士我々は命令書でセルンに向かえと指示を受けて


ここまで来ました


何をするのかお教え頂きたい』


「そうか


機密を守るため


参謀本部は内容をつたえていないのか・・・


わしの口から伝えろと言うことか」


天井を仰ぎ博士は真空カプセルを操作する


ジャンヌはカプセルが封印されたのが


AD2033年で約5年間封印されていた事を確認する


中からは真空保存されたレトルト食品が出された


「諸君話は長くなる


食事でも取りながら話そう


レトルトだが好みの料理があれば


好きなものを手に取り食べてくれ


酒もある」


隊の中でも酒豪のバロン中尉が


<ワインだ


俺はこの3年間こいつを又飲むまでは


死ねないと必死で戦ってきた>


『全く中尉の戦場での活躍は酒を飲むためだったか』


ぼやくジャンヌだが


続いて小林少尉とラファア少尉の好物が現れ


最後にジャンヌの好物ウクライナ料理ボルシチが出てきた事で


まさかと思っていた


考えに確信が持てた


『ブルボン博士』


「なんだね少佐?」


『我々の好みの料理をご用意頂くのは


さぞかし大変だったでしょう』


「まあ・・・


君達の出身地や嗜好品が書かれている書類を見て


ワシのコネを使い集めたんじゃ


気に入ってもらえたらうれしい」


何故かしどろもどろな言い方にジャンヌは


『今日出された料理は我々の書類を見れば


ある程度予想して用意できますが


博士食品が入っていたカプセルは


2033年から真空保存されていました


博士が2033年の段階で今日我々4人が


此処に来ると知っていたとしか考えられない


しかし当時我々4人は互いに面識も無く


博士とも会った事も無い筈なのに


しかしこうして5年前に料理が用意されている


真空カプセルに料理を保存した日付けを2033年に偽造してまで


我々と出会った事が在ると思わせたい理由を


ご説明願えますか?』


「ははは・・・


さすがジャンヌだ


だが真空カプセルの日付は本物だよ


逢って居るのだよ


ワシ達は6年前にな」


博士は一枚の映像を見せた


そこにはジャンヌ達と僅かだが


白髪が少ない博士が写っていた


『ラファア少尉このデーターは加工されているか?』


ラファア少尉はスマートウォッチを操作し


3D画面を出して調べ始める


≪いえ少佐この画像に加工はされていません


この映像のデータを読み取りました2032年に撮られたのは


間違いありません≫


【じゃあ我々は過去に博士に出会っていたと】


<いやそれはおかしい


この当時俺は短髪だった>


≪私は軍にさえ入っていません


それにもっと幼く10代です≫


『何より軍服がこの頃と今では微妙に違うはずだが


この映像の軍服は今着ているものと完全に一致している


タイムマシーンに乗り


過去に行かなければ


この映像を撮る事は不可能だ』


<まさか少佐・・・タイムマシーンなんて


話が飛び過ぎですよ>


【もし仮に過去に行けるなら


自分は亡くなった家族に会いたいです】


《でもそれが可能なら


歴史を変えてしまう危険性が在ります》


ジャンヌは『歴史を変える・・・』


ジャンヌは5人が映っている画面から博士に向き直し


『博士はタイムマシーンを完成させた


そして乗組員として我々を呼び


過去に送り込もうとしている


違いますか?


「置かれた状況と僅かな情報を基に


答えに辿り着く


さすがジャンヌだ」


『しかし何故今歴史を変えなければいけないのですか?


戦争は終わり平和な時代が到来しました』


「確かにこのまま戦争が起きないのなら


君達を呼び集める事はしなかったよ」


博士はリモコンを操作して


配信をモニターに出した


〔CMMネットテレビがお送りしています


現在アメリカ軍大陸間レールガン基地は


反乱軍に占領されています


連邦政府副大統領の降伏と武装解除命令に対して


食料を取り上げる決定を取り消さない限り


フランスの核融合炉発電所を攻撃すると脅迫しています


CMMのジャンクホーマーが連邦政府前からお送りしています〕


【そんな大統領暗殺のテロ事件が起きてから


まだ3時間だぞ】


《又戦争が始まるの?》


<まさか単なる脅しだろう>


ザーと画面が突然乱れる


数秒後画面がスタジオに切り替わる


キャスターとスタッフが慌ただしく打ち合わせをしている


〔未確認情報ですが


連邦政府議会が攻撃を受けた模様です


連邦政府副大統領の安否は不明です


えっ・・・


失礼しました


連邦政府副大統領の安否が確認出来ました


地下シェルターから


副大統領が声明を発表しています〕


画面がランバー副大統領が映し出される


〖私は亡くなられた連邦政府大統領に代わり


連邦政府副大統領として


連邦政府議会を攻撃したアメリカ軍大陸間レールガン基地を


占領している反乱軍を攻撃する様に


フランス軍に命令を出しました〗


スタジオの二人のキャスターは


(今パリからいえドイツから中継が入っています)


[こちらはフランス国境のドイツです現在


フランスが大陸間核搭載のレールガンの攻撃を受けています


複数の閃光と巨大なキノコ雲が見えます]


画面を見ながら


ジャンヌは


『第四次世界大戦が始まってしまった・・・』


ニュースは戦火がアメリカとフランス以外の国に


広がるのを伝え続けた


世界中が核の炎に焼かれた


研究室の電話が鳴り


博士が出る


「分かった予定通り進めてくれ」


【博士貴方は未来から来た我々から


この後世界がどうなるか


聞いているのですか?】


皆が注目する中


「ワシが聞いた話では


2037年戦勝国同士のアメリカ軍を含むフアイズ・アイズ軍と


フランスとイタリア・ドイツ軍が


食糧問題で


戦闘を始め第4次世界大戦が始まり


世界は核の炎焼き尽くされる」


【博士ファイズ・アイズではなく


日本を含めたシックス・アイズです】


「その通りだしかしワシが2032年の君達から聞いた話では


ファイズアイズは


5か国アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドので間違いない


日本はファイズアイズに加わらず単独で中国と戦い破れたと聞ている」


【歴史が違う】


「前の世界線から


過去に行くことでこの世界線の第四次世界大戦は1年間先延ばしされた


そして食料を生産する土地は全滅したと聞かされたが


この世界線では10分の1だが食料を生産する土地が残された


それは全世界線から来た君達の努力で歴史御変えた結果だと思う


歴史は変化させる事は可能の様だと思う


先延ばしされた1年間でタイムマシーンは


前の世界線では2032年の過去に行くのが限界だったが


このタイムマシーンはフランスが軍事侵攻を受けた2031年まで行ける


そしてこの1年で歴史に大きな変化を与える事が可能な


新技術を開発出来た


だからと言って


君達に強制はしない


二度とこの世界線に戻る事の出来ない


片道切符を切る事になるのだから」


戦火が世界中に広がる様子を流し続ける映像を見ながら


『では我々が過去に行くことで


事態を悪化させる可能性は?』


「その可能性はゼロでは無いが


2037年の未来から来た君達は


第四次世界大戦の原因が食料問題だと知っていた


食料生産可能な土地を出来るだけ残し


第四次世界大戦勃発を何とか先延ばした


そして我々人類は2038年を迎えられた


僅か1年間だが人類は戦争を回避出来た


それは全世界戦の君達が過去へ戻り努力した結果だと思う」


『しかしそれでも食糧問題は解決出来なかった』


「戦時中はどの国も戦争に勝つ事しか考えて居なかった


結果として互いの食料生産拠点を破壊し尽くし


気が付けば食料は何処にも残されず


食料をめぐる戦争に発展してしまったが


君達は食料問題を解決する事が


人類を滅亡から救う事が出来ると知っている」


【博士具体的には如何すれば良いのですか?】


「宇宙だ」


《宇宙ですか?


でも現在ロケットを発射出来る


宇宙基地はすべて破壊されています》


「だが2031年には多くの宇宙基地が残されている


そして多くの宇宙開発の技術者達も


その為にも戦火を広げない為の新兵器と


放射能に汚染された土壌でも育つ植物の種子を用意した」


『準備は出来ている後は我々の決断次第ですか・・・


私は過去に行く事を決めた諸君はどうだ?』


【自分は少佐について行きます】


《私も》


『バロン中尉君はどうする?』


<2031年なら酒は飲み放題是非行きたいです>


『ハハハ・・・中尉らしい』


「行ってくれるのか・・・


ありがとう」


『それで博士タイムマシーンは何時出発出来ますか?』


「後一時間で発進出来る


高度3万メートルに上昇して


このセルンの大型ハドロン衝突型加速器を高速稼働して


タイムホールを作り出し


タイムマシーンを2031年に送り出す」


『しかし博士レールガンやレーザ砲が飛び交っている中で


高度3万メートルまで上昇するのは困難です』


「少佐は2038年問題を知っているかね?」


『2038年問題・・・』


《それなら私が》


フアラァ少尉が手を挙げる


『少尉頼む』


《はい


2038年1月19日3時14分7秒に


コンピューターが誤作動を起こすと


危惧されているのが2038年問題です


しかしすでにそれ以前の


2000年問題や2025年問題同様に


処理済みなのでは?》


2000年問題はクリアーされたが


2025年問題では公式には海底火山の噴火となっているが


原潜の核爆弾が爆発して津波を発生させ


中国海軍は大損害を出して


台湾進攻が延期された


2038年問題をクリアーしたのはこのセルンだけだ


まもなく2038年問題が発生する


僅かな時間だがタイムマシーンが


過去にジャンプする時間を作れる」


『決まりだな


2031年に行こう歴史を変える為に』


地下格納庫に5人は移動した


ジャンヌが気に留めた


機体にシートを掛けて


護衛の兵士が守っていたのが


タイムマシーンだった


ホームベースに似た5角形の飛行機


それを見た小林少尉は


【大戦中見た事がります


まるでUFOの様な動きをしていました】


「この機体はヘルメットが


パイロットの脳波を読み取り


考えた通りに動く


細かい事はAIがサポートしてくれる


初心者でも熟練パイロットと同じ動きが出来る」


4人はタイムマシーンに乗り込み


地下格納庫からエレベーターで地上に向かう


2038年1月19日3時14分7秒


地上に着くと


上空を覆っていた戦闘が止んでいた


「成功だ少佐高度3万メートルまで上昇だ」


『了解発進』


タイムマシーンは瞬時に上昇僅か数秒で高度3万メートルに到達する


【機体に問題なし】


《周囲に敵影無し》


<タイムホールの形成を確認


少佐タイムジャンプ準備完了>


『博士行きます


タイムワープ』


ジャンヌ達を乗せたタイムマシーンは


タイムホールに消えた


「加速器停止


この施設にも間もなく攻撃が及ぶだろう


皆ご苦労だった退避してくれ」


(ブルボン博士


未確認飛行物体が高度3万メートルに急速に上昇して来ます)


「戦闘再開か?」


(いえレーダーに捉えたのはこの1機だけです


あっ


更にもう1機確認


2機共タイムホールを目指しています)


「いかん


加速器緊急停止


機体の映像を出せ」


モニターに映ったのは


ジャンヌ達のタイムマシーンに瓜二つ


「やられた


タイムマシーンの技術は盗まれていた


奴らは我々が過去に向け出発する時を待っていたんだ」


(加速器停止


しかしタイムホールは直ぐには閉じません)


「すまんジャンヌ少佐」


(未確認飛行物体タイムホールに突入)


「ああ・・・」


(加速器停止タイムホール消えました)


「もしかしたらこれまでも


同じ様にジャンヌ達以外のタイムマシーンが


過去に向かっていたとしたら


もし2031年以前の過去に遡り到達して


ジャンヌ達同様未来の技術と兵器を持ち込めば


第四次世界大戦処か


第三次世界大戦で世界は終わるかも知れない」


AD2038年1月19日過去に向け3機のタイムマシーンが旅立った

謎のタイムマシーン2機がタイムホールに突入して過去に向かう


ジャンヌ達に取り敵となるか味方となるか


そしてジャンヌ達は歴史を変えられるのか?

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