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第2章・国際連邦政府初代大統領

AD2038年


第三次世界大戦の教訓として寄り合い所帯の国際連合に代わり


独自の軍事力を持つ統一国家国際連邦政府が作られ


初代大統領が選出されようとしていた

AD2038


第三次世界大戦集結から1年余り


食料問題が戦勝国の間に亀裂を産み


現アメリカ大統領であり世界連邦政府初代大統領候補グラントに


フランス全権大使ブルボンは


アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド・日本を含む


シックス・アイズは


禁止されている占領地域で集めた大量の食料を本国に送る事を隠すために


兵士達が戦場から休暇で一時帰国する度に


占領地から集めた食料を個人のお土産として持たせ


所属する基地に密かに備蓄して居ることを


国際連邦議会で暴露した


「グラント大統領はこれまでの発言で


軍が占領地域から組織的に食料を本国に持ち帰ったことはなく


個人が持ち帰った食料は現地で買った僅かな量だと発言していたが


私が調べ上げただけでも


アメリカ軍は2038年に全世界が必要としている食料の


半年分を蓄えている


シックスアイズ6か国全てを併せれば


実に3年分を蓄えています


これに6か国以外の国が備蓄している食料を併せれば


実に5年分になり


現在進めている食料増産計画が本格的に始まる5年後まで


何とか出来ます」


ブルボン全権大使が資料を各国の全権大使に転送すると


どよめきが議場を包んだ


流れは一気にフランス側の物となり


グラント大統領に取り不利となり


ブルボン全権大使は一気にグラント大統領を追い詰める


「この会議の後


国際連邦政府の設立を議決して


初代連邦政府大統領を議会が選出することになります


第三次世界大戦を勝利に導いた


アメリカ大統領が最も多くの支持を集め


先程までは揺るぎないものでしたが


世界中の人々が飢え多くの餓死者が出る中


我がフランスでも軍人の家族といえども


一般の配給に並び度々の配給の遅れで


栄養失調に陥り


家族のために兵士達は軍から支給されている食料を分け与え


兵士が栄養失調の果てに餓死する事が多数発生しているが


アメリカ軍では軍が備蓄した食料を兵士の家族にも支給し


軍人の家族は誰一人として餓死者を出していない


もしこのままグラント大統領が隠匿している食料を連邦政府の管理下に置かず


現状を維持するなら


少なくとも我がフランスは


連邦政府大統領候補グラント氏に投票する事はないと申して発言を終えたいと思います」


議場は割れんばかりの拍手に包まれた


議会はグラントアメリカ大統領が休会を申し出


一時休会となる


連邦議会アメリカ全権代表控え室ではグラント大統領が


《諸君我は影の政府の世界支配計画に従い


烏合の衆に過ぎない国際連合に代わり


独立した軍隊・統一通貨の発行を行う


統一国家国際連邦政府を設立させる為に


計画的に敵対勢力のロシアと中国を戦争に引きずり込み


同時に戦後我々に取り邪魔になる勢力をも戦争に巻き込み破壊して来た


そして私が連邦政府大統領に就任後に


極秘に備蓄していた食料を食糧難に苦しむ諸外国に配給する事で


影の政府の目指す形で連邦政府に作り変えるのに


異論を唱えるであろう反対勢力の口を封じる為の


食料備蓄を暴露された事で


我々はこのままフランスの言いなりになり


食料を渡しそれと引き換えに


私は連邦政府初代大統領に就任出来るが


就任後に陰の政府が望む形で連邦政府を作り替える時に


反対派を黙らせる為の最大の武器


飢えに苦しむシックスアイズ以外の国々が求める


食料を渡せば人類は飢餓から救われ戦争の無い世界で繁栄するだろう


だがそれでは世界を破壊し尽くして人類の半数を犠牲にしてまで


影の政府が望む改革は出来ない


それ処か我々シックスアイズの兵士達が飢えに苦しむ家族の食料を求めて


反乱を起こすだろう


そうなればすべてはお終いだ


私はフランス大統領の要求を拒否する》


(しかいグラント大統領


それでは連邦政府初代大統領の地位をインドに奪われます


インドの経済力と欧州の技術力が結び付けば


戦争により経済破綻に陥った我々シックスアイズが付け入る隙が無くなり


戦後の発展から取り残されてしまいます)


側近の言葉にグラントは


《たとえ私が連邦政府大統領に就任出来なくても


食料が無い以上いずれ


我々シックスアイズが握っている食料と引き換えに


陰の政府が求める要求を連邦政府に吞ませる事も出来る


そして一定の準備期間さえあれば


兵士達の反乱を防ぐ事は可能だ


今は連邦政府大統領の地位に拘るべきでは無いと


私は考えるが諸君はどう思うかね?》


【それは許されない


グラント大統領貴方は計画通り


連邦政府大統領に就任するべきです】


皆が振り向くとそこには一人の女性が立っていた


(誰だ?)


[どうやって入って来た]


〈SPは何をしている〉


《まて


彼女は影の政府の使者だ》


グラント大統領は側近達を制した


【ありがとう大統領


改めて陰の政府の指令を伝える


グラントは予定通りに連邦政府大統領に就任して


連邦政府を陰の政府の傀儡とする為に作り変えろ


その為に必要なら食料など幾らでも引き渡せ


反乱など起こす兵士がいればシックスアイズだろうと


連邦政府の名の下に


フランスをはじめとする連邦軍に制圧させればよい


以上が影の政府の命です


もし不服なら・・・】


《わ・わかった


影の政府の司令は忠実に実行すると伝えてくれ》


【賢明な判断です


わが影の政府はグラント大統領に期待しています】


影の政府の使者は何事も無かった様にSP達が守る入り口から出て行った


(SPがこちらの確認も取らずこの中に入れたのは


彼らの中にも影の政府の手の者が居ると言う事か)


[SP達は護衛と同時に我々の監視も兼ねている様だな]


全員からため息が漏れた


そして連邦議会が再開され


壇上に立ったグラント大統領は


《私連邦政府初代大統領候補は


フランス全権代表が求める食料を


連邦政府の管理下に委譲する事を大統領命令として


アメリカ軍に命令する書類にサインしました


これは直ちに実行され現在連邦議会に加盟する各国への輸送が始まりました》


議場は割れんばかりの拍手喝采


そしてグラントは連邦政府初代大統領に選出された


記者会見に臨むグラント大統領に一人の記者が質問をする


「グラント大統領質問が在ります」


周りは大統領に対して連邦政府大統領の就任のお祝いも言わず大統領に閣下も付けない


この記者に違和感を覚えた


「私は先の大戦で戦い幾つもの勲章を受けました


我々は国家の為にそして家族の為に戦いました


そして戦友の遺体に紛れ込ませてまで


食料を隠して本国に持ち帰るのは戦後の食糧難で兵士だけでなく


その家族が飢える事が無い様に備える為だと説明され


自分達は進んで協力して


多くの食料を本国に持ち帰りました


そして全世界が飢餓に苦しむ中我々兵士の家族は飢餓に陥ることなく


私達は大統領の先見の明に感謝が絶えませんでした


しかし大統領は家族の命の綱の食料と引き換えに


連邦政府大統領の座を手に入れた


それは命を賭けて戦った我々兵士に対する裏切り行為だ


今すぐ我々兵士が集めた食料を明け渡すのを中止しろ」


だがグラント大統領は


《私はもうアメリカだけに責任を持つアメリカ大統領ではなく


全人類に責任を持つ連邦政府大統領として


食料を連邦政府の管理下に置く事を決めたのだ


アメリカ一国と全人類どちらが優先させるべきか考えるまでも無い》


記者は下を向き何かを呟き始めたそして・・・


「裏切り者・・・


俺達は何の為に戦い死んで行ったと思って居るんだ


これは私の部隊が使っていた核爆弾の起爆装置だ


グラント死ね・・・」


逃げ惑う記者達


グラントをかばうSP


混乱の中一人のSPが核爆弾を持った記者を射殺


手からこぼれ落ちる起爆装置をもう一人のSPが床に落ちる前に受け止める


《た・助かった・・・


この野郎たかが食い物で俺を殺す気か?


兵士なんざ俺の出世の駒なんだよ》


唾を吐く大統領に


記者を撃ったSPは


手元のマイクのスイッチを入れて


〖大統領閣下・・・


何故私がこの記者を射殺したかお判りますか?〗


《それは君私を守る為に・・・》


〖いえ大統領閣下


私が彼を射殺したのは


他の人達を守る為で


決して貴方を守ったわけでは在りません


私は部下を巻き込みたく無かったからです〗


そう言うとSPは大統領に銃を向けた


《き・君・・・》


思わぬ展開に青ざめる大統領


マイクが二人の会話を拾い


それに気が付いたTV局が二人の姿を映し配信を再開した


〖私も彼と同じ様に戦場で部下を率い戦い


多くの部下を失いましたが


閣下のお陰で亡くなった部下の家族も


飢えずに済んでいます


私は閣下のSPに選ばれた時


命を捨ててお守りする覚悟でした


しかし閣下は我々兵士を捨て駒にしか思って居なかったのですね?


残念です


これはわが軍の兵士全ての思いです〗


ダーン


グラント大統領は目を見開き恐怖の表情で仰向けに倒れた


就任期間僅か1時間連邦政府


後に名称が地球連邦政府と改名させる


連邦政府大統領中最も就任期間が短い大統領となった

第三次世界大戦は旧世界を破壊して自ら望む世界統一政府を裏面から支配する為


影の政府のメンバーであるグラントアメリカ大統領を


連邦政府大統領を就任させようとしたが


兵士達の強い家族愛を軽視した結果連邦政府大統領を失う

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