表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

~プロポーズしたんだから私を守ってよねっ!~

俺には好きな人がいる。それは学園の高嶺の花である吉村 緋色さんだ。

 高校に入学して初めて彼女の姿を見てから俺は人生で初の一目惚れというものを経験した。


 それは突然の事だった。

 今年の入学式、俺の隣の席に座ってきた美少女に出会った。


 いかにも成績優秀者といった出で立ちで新入生代表挨拶を任されていた彼女は、綺麗な顔をしていて今まで相当モテてきているだろうと思わせる顔であった。


 髪は肩まで伸びた綺麗な銀髪で触らずとも分かるサラサラ具合だ。


 そんなこんなで俺と彼女は同じクラスでこの学校に入学した。



 入学してそろそろ半年が経つ。

 それまで色々と彼女と接触し、自分で言うのもあれだが結構いい関係を築けてきたと思っている。


 これなら告白も成功するのではないかと言えるほどにだ。


 ということで早速彼女を放課後に屋上へも呼ぶことにした。


 返事は少し怪訝そうだったが、OKであった。なぜそんな態度なのか気になったが聞かないでおいた。


 そういうことで大事な日であるから俺は昨日、放課後に美容室へ行き少し荒れている髪型を整えた。


 母親曰く今までで1番似合ってるとのことだったので問題ないだろう。


 今まで女性経験がない俺でも、高嶺の花の吉村に告白するのだ。見た目も少しは気にする。


 相手は学園の花だ。


 彼女を狙う男は数え切れないほどいる。俺よりかっこいい人ばかりだし、俺よりも心が澄んでいるやつも多くいるだろう。


 でもそのライバル達を蹴落として自分の夢を掴む。これこそ男ではないのか。


 という格好つけた自論を胸に、この日までやってきた。


 成功するという確証は無い。


 でも諦めるという選択肢もない。道はひとつなのだ……自分で言ってて恥ずかしいな。






 放課後になった。


 そろそろ時間になる。


 やばい、ドキドキしてきた。


 さっきまで平然としていたはずなのに突然心臓の鼓動が止まらない。


 ここまで緊張するなんて思ってもいなかった。

 世の中の夫婦やカップルはこんな気持ちを乗り越えてきたのか。

 純粋に尊敬だ。


 こんな重圧に耐えて、振られると可能性が常に存在しながら告白し、了解を貰って無事籍を入れる。


 うへぇ。人生の難易度高ぇ。



「お待たせ圭人」


「あぁ。突然すまんこんな所に呼び出して」


「屋上なんて珍しいね。しかもメッセージ」


 俺は基本的にメッセージアプリを使わない。


 理由は友達が少ないからである。


 母と父、姉に吉村、あとはクラスにいる友人の2人だ。


「それで用ってなんなの?いつもみたいなしょうもないやつは止めてよね」


 彼女は何度も言うが学園の高嶺の花だ。だがその本性は少々気性の荒い女の子だ。


 普段は猫を被って気品の良いお嬢様ぶっているが、ある日の放課後俺が彼女の本性の姿を見かけてしまいそれから俺にだけは猫を被らなくなった。


 確かに気性は荒いのだが、根っからの悪というわけではなく優しいところは沢山ある。俺はそこのギャップに惹かれたのだ。


「しょうもないことなんかじゃない。どっちかと言うとこれからの運命が決まることだ」


「そんなに重いものなの?私、責任かかるの嫌だよ?」


「お前がどうしようと責任はないさ。これは俺の賭けなんだから」


「ふーん」


「それじゃぁ、言うぞ?」


「い、良いわよ?」


「はっ、なんで疑問形なんだよ?とりあえず言うぞ」


 俺、ちゃんと言うんだぞ。


「俺と結婚してください!」


「……」


 ん?あれ、俺今意志とは異なる言葉を言わなかったか?


 しかも結構重大なミスを。


 彼女は頬を真っ赤に染め上げている。


「あ、あのそれって本気なの?」


「う、うん一応」


「そ、そうなんだ」


「お、おん」


 なんとも言えない空気がこの場を支配する。


「……分かりました。わたし、圭人、くんのお嫁さんになります」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ