第96話 うわー、すげー、何かスゲー、ホンマスゲー
(マリーちゃん本当に遅いな、
遊ばれるって何をされてるんだ)
そう思いつつも私は、侍女室があるであろう場所に向かって小走りで進んでいった。
ふと気になったのだが、
此処は何処だ
私は、ロナルド君の言っていた道のりに従っていたはずだった、
はずだったのだが、何故か、本当に何故か、道に迷ってしまったのだ。
(ほぉ~ん、ロナルド君、
どうやら嘘を教えたな~)
と心の中で呟きつつ
「モンド先生いますか」
こう問いかけた。
何故なら、経験上、
勘に従って動くと本当にヤバいタイプの迷子になると私は知っているからだ。
「先生いるのなら返事をして下さい」
そうお願いをしても返事が返ってくることが無かった、
まぁ、どうやら、先生が近くにいないみたいだ。
(さぁ、どうするか、やばい、
どうして迷うかな、私、指示に従ってたじゃん、
意味分かんない、私、方向音痴じゃ無いのに)
私がそう心の中で焦って呟いた後に妙案を思い付いた。
その妙案とは、
『せや、魔法使えば良いじゃん』だ、
どうして忘れていたのか、
私には魔法という最終手段があることを。
「さぁ、やろう、今すぐやろう、
思い立ったが吉日だ」
と呟きながら私が魔法を使おうとすると
「魔法を使うのはやめた方が良いよ」
そう言う私のよく知っている声が聞こえてきた。
「どうしてですか、モンド先生」
私が言ってきた本人に問いかけると
「此処で魔法を使うのは大丈夫だとは思うけど、
少し危険だからね」
そう返答をしてきた。
「何が危険なんですか、
それと、どうして直ぐに返事をしなかったんですか」
私が先生にそう問いかけると
「何が危険なのかは後で教えてあげる、
それと僕が返事をしなかったのは色々と僕にもやることがあるからだよ」
と言ってきた。
「そうですか」
そう私は返事をしつつも
(何が危険なのか今、教えろよ、
それにやる事って何だ、
この神様何もやること無いでしょ)
と思っていると
「君が目指しているのは従者室だよね」
こう質問をされた。
(何で知ってるんだ)
そう思いつつも私は、
「はい、その通りです、
何で知っているんですか」
返事と共に質問を投げかけると
「それなら、この道を少し戻ればあるよ、
迷子になってるのは君が行き過ぎてただけだからね」
と道を教えてくれた。
「ありがとうございます、
それと、あの、なんで知っているんですか」
私がそう問いかけると
「それじゃあね、また夜会おう」
と私にいながら背を向けて、
花瓶を置く台のような物の下に歩いて行った。
(露骨に無視しやがって、
人によってはそれで傷つくぞ、
人は皆、私みたいな鋼よりもダイヤモンドよりも硬いメンタルだけじゃなくて、
豆腐とか硝子程度の人もいるんだから)
そう心の中で呟きながら
「どうして露骨に無視するんですか」
と声に出しながら先生が潜っていった台の下をしゃがんで見ると、
そこには、先生は既にいなかった。
(先生、魔法でどっかに行ったのか)
そう先生が何処かに行った理由を考察しながら、
私は、立ち上がり先生の教えてくれた通りに通ってきた道を帰って行った。
…………
(あぁ、あれかな)
私が数分間ほど歩いているとそれっぽい看板が垂れ下がっている部屋を見つけた。
(どうして、あれに私は気付かなかったんだ、
結構大きいし、目立つ見た目してるのに、
当時の私の事が今の私には理解できないよ)
そう心の中で呟きながら私は、侍女室の扉を
『コンコンコン』
と静かに叩いた。
一瞬、
いや、違うな、一瞬と言うには長い時間、
ガヤガヤと何かを話す声が聞こえてきて少しの静寂があり、
「どうぞ、入ってもいいですよ」
と入室を促すよく分らない、初めて聞く人の声が聞こえてきた。
「失礼します、あの、
マリーちゃん、
マリア様は、いますでしょうか」
私は、
(マリーちゃんでは多分通じない気がするな、
通じるかも知れないけど、
マリーちゃん一応貴族だし、様はつけた方が良いよね)
そう思いながら言ったのだ。
すると、
「どうしたの、お嬢ちゃん、迷子になっちゃったの、
マリアはいるけど、
此処には多分、貴方の探しているマリアはいないと思うよ」
私にそう言うメイドさん達が近づいてきた。
(この屋敷の従者達、
主の娘のこと何だと思ってるの、
私は別に迷子じゃ無いよ、
さっきまではそうだったけど、
ていうか、マリーちゃん何処にいるの)
そう思いつつも私は、声音に出さないように
「あの、多分、私の知っているマリアがいると思います」
私がそう言うと
「そうなの、それじゃあ、呼んでくるわね」
と言いながら一人のメイドさんが奥にすっこんで行った。
「お嬢ちゃん、待ってる間にお菓子でも食べる」
メイドさんの一人がそう問いかけてきた。
「すいません、お願いします」
私がそう言うと、私の事を近くにあった机に座らせて、
直ぐに何処からともなく焼き菓子を出してきた。
「はい、どうぞ、お茶も淹れるね」
そう言い、お茶も何処からかもってきた。
(何処から出したんだ、
凄い、メイドさんってこんな事が出来たんだ)
そう思っているとお茶を淹れてくれたメイドさんが
「はい、どうぞ、熱いから気をつけてね」
と言いながら私の目の前に置いてくれた。
「ありがとうございます、メイドさん、頂きますね」
私はそう言い、お茶に口を付ける
(美味しいな、これなら幾らでも飲めそうだな、
まぁ、凄い飲んだら、カフェイン中毒で危ないけど)
そう思いながら私が焼き菓子を口を付ける、
こっちも美味しかった。
ていうか、この体になってから初めてまともな菓子を食った気がする。
私がそう思っていると
「どう、メイド長のお茶は美味しいでしょ」
無邪気そうな少女が私にそう言ってきた。
「幾らでも飲めると思うほどに美味しいです」
私が感想を言うと
「良ければ、菓子の感想も頂戴、
この子が作ったの」
メイド長と言われている人がそう言ってきた。
「あっ、そうなのですか、
何処かのお店の物と思うほどに美味しかったです」
私がそう感想を言うと
「そうだよね、そうだよね、
やっぱり、私には菓子作りの才能があるんだ」
屈託の無い笑みを浮かべてそう言ってきた。
「そうですね、凄いと思います」
私がそう言うと
「ありがとう、此処には私の才能を認めてくれる人がいないんだよ~
皆、同じくらいの物が作れちゃうから」
凄いことを言ってきた。
(えっ、凄いな、
この人達、一流のパティシエか何かなのか)
そう思って呆然としていると
少しだけ、走るような足音が聞こえ、
「申し訳ありません、お嬢様」
と謝る声と共にマリーちゃんが現れた。
報告です。
私が新しい遊びを見つけてしまったので、
もしかしたら投稿頻度下がるかもです。




