第93話 お父様を一番知っている人を探して
(お父様、何処に行ったんだよ、
もしかしたら、不敬罪で捕まるかも知れないのに、
どうして、何も言わずにどっかに行くのさ、
もう、本当にちゃんとしてよ)
私がそう心の中でお父様の事を考え続けていると
「そう言えば、お嬢様、
侯爵様が何処にいるのか分っているのでしょうか」
とマリーちゃんに質問をされた。
(そんなの勿論・・・)
心の中で呟いた後に
「知るはずがありませんよ、
私は、お父様の行動がよく分りませんし、
何を考えているのかも分りません」
そう言うと
「あの、それでは、何処に向かっているのですか」
心配になったのかマリーちゃんがそう質問をしてきた。
「私が知っている中で一番お父様の事を理解しているであろうお方のところに向かっています」
私がそう言うと
「それは一体、誰なのですか」
またマリーちゃんに質問をされた。
「それは、秘密です、
まぁ、その人にも会えないかも知れないですけどね」
私がそう言うと
「教えてくださいよ」
催促してきた。
「秘密と言ったら秘密なんですよ」
私がそう言うと
「そうですか」
そう私に返事をする声が聞こえてきた。
チラッとマリーちゃんの顔を見ると真剣に考えるような顔をしていた。
(そこまで、真剣に考える必要性あるかな、
そう言えば、あの人にお茶会の準備の仕方教えて貰えるかな)
そう思った後に私は、
(さて、あの人は何処にいるかな、
偶然会うこととか、会いに来てくれた事はあったけど、
私、部屋知らないんだよな、地味にお父様の部屋も知らんし、
ていうか、私が知ってる部屋って食堂と図書室と自室とトイレとお風呂だけじゃん)
と思いながら歩を進め続けた。
___________
(ブランドー侯爵令嬢、
予想していたよりも知性的だ、
あの馬鹿侯爵が聡明、聡明と自慢して回っていたのが事実だったとは、
それにブランドー家に遺伝する馬鹿は遺伝していないように見えた、
皇帝陛下も気に入っているようだから、
あとは、坊ちゃんの問題だが)
そう思い坊ちゃんを見ると顔が紅潮しているように見えた。
(緊張だろうか)
と思いつつも
「坊ちゃん、
ブランドー侯爵令嬢はどうですか」
そう問いかけると
「えっ、うん、
僕は、良いと思う」
と答えてきた。
(坊ちゃんも認めたと言うことはこれで婚約は続く可能性が高いだろう、
これで残りの不安な要素は、令嬢と侯爵だけになった
侯爵は未だに婚約に大反対をしているのに加え、
令嬢は侯爵を庇うとき以外には感情がよく分らない、
聡明なのは事実な可能性が高いだろうだが、
聡明で感情が見えにくいとなれば、
貴族院に反対される可能性もあるな、
ただでさえ奴らの都合が悪いこの家だ、
2点も不安要素が揃えば暗殺されかねない
根回しも必要かも知れない)
そう今後の事を考えていると
「なっ、なぁ、セバス、
あの、その彼女は何時帰ってくるんだ)
と質問する坊ちゃんの声が聞こえてきた。
「坊ちゃん、それはわたくしめにも分りかねます、
どうやら、茶会の予定が伝わっていなかったようなので準備をしているのでしょう」
そう坊ちゃんに言うと
「そうか、終わるまでに彼女のことを教えてくれないか」
坊ちゃんとは思えないようなことを言ってきた。
(珍しいな、坊ちゃんが人の事を知ろうと思うなんて)
そう思いつつも成長したのだなと思い感動を覚えた。
(こんな事で感動を覚えるなんて歳だな)
と自分にそう思わざる終えなかった。
「それでは、教えましょう」
坊ちゃんが知ろうと思っているうちに教えておこうその思いで言うと
「頼む、詳しく教えてくれ」
目を輝かせて言ってきた。
(本当にこれ程までに人の事を知ろうなんて初めてじゃ無いか)
と思った後に
「分りました、私の知っている限りを教えましょう」
そう言ってから坊ちゃんに弁を振るうように令嬢のことを教え始めた。
___________
(本当にお父様何処だ)
私は、そう心の中で焦り叫んだ。
(お父様の事を一番知ってるであろうお母様も何処にいるか分らないし)
と心の中で愚痴るように呟いてから、
私はどちらも見つからなかった時の策を考え始めた。
(お母様、お父様と違って私、
お茶会をするための部屋を知らないんだけど、
ていうか、茶葉がある部屋も知らないし、
茶菓子がある部屋も知らない
って、私、何も知らないじゃん、
皇族達が帰ったらまた探索しよう)
と思っていると結局策を思いつけることは無かった。
(どうすれば良いんだ、
あぁああ、もう、もう)
と心の中で文句を叫んでいると
「あの、お嬢様、此処は侍女室が近いので探している人の事聞いてきましょうか」
マリーちゃんがそう提案してきた。
「聞いてくるのなら、
私も付いていきますよ」
私がそう言うと
「その、お嬢様が行くと他の方が驚くかも知れないので、その」
と申し訳なさそうに言ってきた。
(私が行くと迷惑か)
そう理解した私は、
「それじゃあ、マリーちゃん聞いてきて下さい、
私は、此処で待っています」
と言うと
「ありがとうございます、それでは聞いて参りますね」
マリーちゃんはそう私に言って小走りで真っ直ぐと道を進んでいって右に逸れた道に行った。
「それじゃあ、待っておきますか」
私がロナルド様にそう言うと
「そう言えば、お嬢様、誰を探しているのかマリアに伝えたのか」
と問いかけられた。
(伝えたよ勿論)
私は、こう心の中で呟いてから
(あれ、私伝えてなかったけ)
と考えた後に思い出してみると、
私は、マリアちゃんに探している人の事を伝え忘れていることが判明した。
「あっ、あの、忘れていました」
私がそう言うと
「それじゃあ、僕が伝えてきますね」
とロナルド君がそう提案してきた。
(あぁ、ありがとう、ロナルド様、
それと、マリーちゃんごめんなさい)
と心の中で御礼を言ったり、謝ったりしてから私は、
「お願いします、お母様の事を探していることを伝えてきて下さい」
そうお願いをした。
それは、もう、申し訳なさで心が満たされた状態でお願いをした。




