第91話 初めましての皇子殿下
私が着替えるために服を脱いでいると
「あの、お嬢様、お一人で着替えられますか」
そう問いかける声が聞こえてきた。
「勿論大丈夫ですよ、着替えられます」
私がと返答をすると
「そうですか、分りました」
とソワソワしたような声が返ってきた。
(何かあったのかな)
そう思った私は、
「どうかしたのですか」
と問いかけると
「皇族のお方をお待たせしているので、
お嬢様を手伝って早くお着替えさせた方が良いのかなと思い」
マリーちゃんはそう理由を話してくれた。
「別に大丈夫ですよ、
私は早く着替えられる自信があるので」
と言いながら着替えて居ると
「あの、本当に大丈夫ですよね」
そうまだ心配する声が聞こえてきた。
「大丈夫、大丈夫」
そう言いながら着替え終わったので扉を開けながら出て行くと
「えっ、あっ、早いですね」
マリーちゃんがそう驚いたように言ってきた。
「勿論ですよ、私の着替えの早さは世界一ですよ」
とふざけてマリーちゃんに言うと
「そうですか、世界一なのですか、お嬢様凄いですね」
マリーちゃんは本気で信じたような声で言ってきた。
「あの、勿論冗談ですよ」
私が
(この声音からして信じてるのでは)
と思い言うと
「ふふ、勿論分っていますよ」
マリーちゃんはと返してきた。
(今の声、ガチで信じてる声音じゃ無かったか)
そう疑問を抱きつつも
「分っていたんですね、
マリーちゃんが私の冗談を本気にしてると思ってしまいました」
私がそう言うと
「冗談だと分りますよ、私の事なんだと思ってるんですか」
マリーちゃんはこう返事をしてきた。
「マリーちゃんが冗談だと分っていたと思いますけど、
声音で信じてると思ってしまって」
私がそう言うと
「私、そんな声していましたか」
と分っていないのかそう言ってきた。
「信じていそうな声していましたよ、絶対に」
と私が言うと
「そうなのですか、そんな声出していたのですか」
驚いたような何処か信じ切れていないような声で言われた。
「ロナルド様、信じているような声出していましたよね」
私が背を向けているロナルド君にそう問いかけると
「何ですか」
何も聞いていなかったのかそう問い返された。
「ロナルド様は、先程のマリーちゃんの発言をどう思いますかと問いかけているのです」
私がそう言うと
「先程の発言とは何でしょうか、
すいません、その、聞いておりませんでした」
本当に聞いていなかったようでそう返してきた。
「聞いていなかったのですか、
そうですか、まぁ、いいか、
よし、マリーちゃん、ロナルド様行きますか」
私がそう話しを切り替えるように言うと
「分りました」
とマリーちゃんは返してロナルド君は頷いた。
(お前、声出せよ、さっきまで出してたじゃん、
どうして声出さないんだよ、ロナルド君は本当に)
私は、何故か頷くだけだったロナルド君に突っ込んでから歩き出した。
その後、特に何も無く私達は、皇子がいる部屋に着いた。
(はぁ、マジで会うの、
何か、嫌になってきたな)
そう思いつつも扉の前で仁王立ちしているお師匠様に
「お師匠様、準備できました」
と言うと
「やっと終わったか」
お師匠様はそう言ってきた。
「そう言えば、皇子様は殿下と呼べば良いんですか」
とお父様に聞こうと思っていたことを問いかけると
「あぁ、それでいいはずだぞ」
お師匠様はそう答えてきた。
(お師匠様、そう言う礼儀知ってたんだ)
と驚きつつも私は、
「ありがとうございます、お師匠様」
こう御礼を言うと
「御礼を言うより早く入れ」
と急かすように言ってきた。
「少し待ってください、心の準備をしたいんです」
私がそう言い深呼吸をしようとすると
「早く行かないとお前を部屋に叩き込むぞ」
と怖いことを言ってきた。
「すいません、それはやめてください、
行きます、行きますから少しだけ待ってください」
私がそう迫真な演技をして言うと
「それじゃあ、3秒待ってやる」
少しだけ時間をくれた。
「ありがとうございます」
私は御礼を言い直ぐに深呼吸をして
「あっ、そう言えば、お師匠様、
ドアを叩いてから入った方が良いですよね」
と確認を取ると
「そうだな」
スッゴい簡単に返された。
「ありがとうございます」
こう御礼を言ってから私はドアを
『コンコン』
と叩いた。
叩いてから直ぐに私は、
(やっぱりもっと深呼吸して覚悟決めた方が良かったかもな)
そう思って凄く緊張感が湧いてきた。
「どうぞ」
私がドアを叩いてから数秒後にそう私に入室を許可する声が聞こえてきた。
(ふぅ、よし、
よし、覚悟決めよう、どっちにしろもう進むしか無いんだ、
よし、うん、よし、)
と心の中で呟くように言ってから意を決した私は、
「失礼します」
そう部屋の中にいるであろう人達に言い扉を開いた。
取り敢えず、跪くと
小さい声で何かを言っている声が聞こえてきた。
『殿下』と言う言葉が聞こえたので多分、助言か何かだろう。
「顔を上げよ」
そう命令するような子供の声が聞こえてきた。
多分、許可をする声なのだろうと思った私は、
顔を上げて周りにいる人を確認した。
私の直ぐ目の前には、お父様がいた、
多分先程までちゃんと対応していたのだろう。
お父様の前には、3人の人がいた。
中央にいて座している偉そうな子供が多分、カイル皇子
その右側に立っている細々とした厳しそうな怒っているような老人がセバスティアン
皇子であろう子供の左側に立っている、
高そうな鎧を着ている焦っているような青年が多分アウルだろう
私が目の前にいる人達を見ていると
「それでは、僕は、失礼しますね、公爵殿」
と言いながらお父様が部屋から出て行った。
出て行ったお父様に対して私は、
(えっ、それは皇族に言うんじゃ無いの、
なして公爵様に言ってるの、
それに殿ってもっと丁寧にしないと駄目じゃ無い)
と思わざる終えなかった。
補足
お父様が行っていた侮辱の説明です。
まず、公爵様セバスティアンさんですね、
その人は、閣下という同等もしくは自分以上の立場の人に使う敬称で呼びました。
ですが、お父様はですね、
貴公や殿、同等もしくは自分以下の立場の人に使う敬称を使い
セバスティアンさんはそれを侮辱と受け取りました。
それに『貴公らと違い忙しい』と言って暇人扱いもしてますしね。




