第90話 駄目だな、これ、本当に駄目だわ
色々あり、何処かの部屋で着替えることとなった私は現在、マリーちゃんに手を引かれるようにして歩いていた。
先程まで手を引かれてなかったので不思議だ、
何で私は、手を引かれているんだ、
2人がいるから迷うことも絶対に無いはずなのに。
「マリーちゃん、私は、一体何処で着替えれば良いんでしょうか」
よく分らなかった私がそうマリーちゃん問いかけると
「何処か部屋があるはずなのでそこで着替えます」
希望的観測ありの説明をされてしまった。
「でも、マリーちゃん、部屋なんて無いですけど」
私は、先程の客間かな、多分、
の近くから結構歩いてきているというのに何故か、
一つも無い部屋のことを言うと
「きっ、きっとあるはずです」
マリーちゃんはまた希望的観測を言ってきた。
「あの、此処の近くに部屋って無いですよね、多分」
私が静かに後ろを付いてきているロナルド君にそう問いかけると
「ありませんね、僕の知っている限りは」
と直ぐに返されてしまった。
「無いんですか、やっぱり」
私がそう言うと
「ありません、盗聴を防ぐためらしいですよ」
理由を教えてくれた。
「ありがとうございます、
えと、それじゃあ、何処で着替えましょうか」
私が二人に問いかけるように言うと
「お嬢様がお考えください」
ロナルド君は私にそう言い
「えと、どうしましょうね」
マリーちゃんはそう言った。
「まぁ、部屋があるところまで歩きますか」
私は、そう決めて歩いた。
わざわざ、服を着替えるためだけに。
(馬鹿だろ、服を着替えるためだけにどうしてこんなに歩かなくちゃいけないんだ、
もうよくない、廊下で着替えても誰も怒んないでしょ、
バレなければ良いよね、良いはずだよね)
そう思い歩き続ける。
(どうして、もう、嫌だよ、
あぁあああ、面倒くさい、
こんなに歩くんならお父様の意見に賛成しておけば良かったよ)
と心の中で文句を垂れていると
「お嬢様、お~い、お嬢様」
そう私の事を呼ぶ声と共に私の顔の前で手が振られていた。
「えっ、あっ、何ですか、マリーちゃん」
私がそう手を振っていた人に問いかけると
「いや、あの、着いたとお嬢様に言っても反応が無かったので」
マリーちゃんはそう返してきた。
(あぁ、もう、
今日駄目かもな、簡単なことに気づけやしない、
寝間着を着てるのが駄目だって事には気づけたのにな)
と心の中でそう呟いてから
「すいません、マリーちゃん、考え事していました」
こう言った。
「そうですか、あの・・・」
とマリーちゃんが何かを言おうとしたのを遮るように私は、
「それじゃあ、着替えますね」
声を出してしまった。
「えっ、何ですか」
私が何かを言おうとしていたマリーちゃんにそう問いかけると
「何でもござい舞いません」
とマリーちゃんは言ってきた。
「そうですか、分りました、
それじゃあ、私着替えますね」
そう言い私は、近くにあった部屋を開けて中に入った。
(暗いな、この部屋、
絶対、使われてないな、
これ多分、倉庫だよね、
もっと整理を学べよ)
私は、入った瞬間にそう思った。
理由としては、
暗いし、少しだけ埃っぽい、
それと剣かな多分、
そう言う武器のような形状な物が雑に、
本当に雑に樽のような物に突っ込んであった。
(雑いなー、
少し整理が出来てない部屋の方が落ち着く私でもこれは少し引くわー)
そう思いながら私は、着替えようとした。
着替えようとしたところで私は、気付いた。
(そう言えば、私、服お父様から貰ってなくね)
と言う事実に。
(あぁああ、どうしよう、本当にどうしよう、
これは、えっ、もう一度帰るの、マジ)
そう思いながら部屋の扉を開けようとすると
「あの、お嬢様、その、お召し物お持ちでしょうか」
外からマリーちゃんがそう問いかける声が聞こえた。
「すいません、もらい忘れていました」
私がそう言うと
「やっぱりそうですか」
マリーちゃんがそう返答してきた。
「はい、一度、お師匠様達の所に戻りますか」
私がそう言うと
「あっ、忘れてた」
そう言うロナルド君の声が聞こえてきた。
「どうしたのですか」
私が何かを忘れていたのであろうロナルド君に問いかけると
「いや、それが、侯爵様にお嬢様のお召し物を手渡されていたのを忘れていました」
ロナルド君は、そう言い出した。
「それじゃあ、ロナルド様が持ってるんですか」
私がそう問いかけると
「はい、申し訳ございませんでした」
謝罪の言葉が聞こえてきた。
「それじゃあ、下さい」
そう言いながら私が扉を開けると直ぐにロナルド君は顔を逸らした。
(何で逸らしてるんだ)
そう思っているとマリーちゃんがひったくるように服を奪い
「どうぞ、お嬢様」
と言い私に服を渡してきた。
「ありがとうございます、二人とも」
私は、そう言いまた部屋に引っ込んで今度こそちゃんと服に着替え始めた。
…………
「失礼します、殿下」
僕は、そう声を掛け扉を開けた。
「どうぞ」
と僕の入室を許可する声が聞こえた。
その声は多分、お付きの公爵が発した物だろう。
僕は、入室して相手が一応皇族なので跪くと
「ブランドー侯爵閣下、
寛容な殿下も貴殿の娘が何時まであってもお越しにならないことにお怒りであるぞ」
公爵がそう叱るように発した。
「申し訳ございません、公爵殿、
娘は貴公らと違い、忙しいのです」
僕がそう馬鹿にすると
「侯爵閣下、その侮辱は許されませぬぞ」
と今にも殴り掛かってきそうな剣幕で言われた。
(おぉ、怖い怖い)
と心の中で笑った後に
「ハハ、申し訳ございません、公爵殿」
そう謝る、つい笑い声が漏れてしまったが、
寛容らしい殿下なら許してくれるだろう。
補足説明
少し前に主人公が髪の毛を落としたと思いますが、
今回は、主人公自身ではなく先生が直しているため微妙に色合いが違います。
まぁ、ド近距離で見なければ分からんほどですけどね。
それと、カフェイン依存治すことにしたので執筆速度落ちるかも




