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第9話 魔法の師範

 私の疑問を聞き取った影は、

「あははは」

 また気持ち悪い笑いをし始めた。


(早く本題を言えよ。この糞野郎)

 悪態をついても特に行動は起こさず、奴の言葉に耳を傾けると、

「君にはね、魔法の才能があるんだよ」

 と言う耳を疑う言葉を言ってきた。


(意味が分からない。それがどうして、こいつしか私に魔法を教えられない理由になるんだ)

 疑惑を抱き、口を開こうとすると、それを制すように、奴が靴を開いた。


「君には、才能がある。とんでもなく凄いものがね。だがね、『君の師匠になり得る人』は、この世の中に最早存在しないんだよ」

 所々笑いながら言う言葉には、楽観的な雰囲気があった。


「どう言う意味ですか」

 発言の因果関係が分からず、問いかけると、

「君にある魔法の才能はね、闇魔法それと創造魔法の二つなんだよ」

 私の欲しかった答えではないものが返ってきた。


(発言の説明が欲しい)

 と言う思いと、

(そうなんだ初めて知った。それで、それの何が悪いんだ)

 の二つの思いを抱き、あからさまに不信の感情を向けていると、奴は言葉を続けた。

「でもね、その両方とも使用者が少ないんだよ」

 と。


(じゃあ、数少ない人にでも聞いたり、習ったりすれば良いじゃん。二人の師を持つとかさ)

 と考え、もしやこの野郎は、そんな考えに至れないバカなのか、と心中バカにしていると、脳から足に突き抜けるような悪寒が走った。

 何かは分からないだが、クッソキモい何かが入ってきた、そのような気がしたのだ。


 気のせいだろうか、風邪かな、などと思っていると、

「君の考えてるとおりには行かないよ」

 影は突然そのような事を言い出した。


(どうして、こいつが私の考えが分かる的なことを言ってるんだ。ブラフか)

 疑いの気持ちを抱き、更に不信感を強めていると、悪寒が走った。さっきと同じ。


(気持ち悪い。なにこれ。本当に)

 疑問を悩みつつ、原因の一つでありそうな奴を睨むと、

「おお、怖い。怖い」

 あからさまに煽る発言をしたのち、

「僕には、君の考えが分かるんだよ。身体の反応以外は出ないはずだから、別に気にしなくても良いよ」

 原因を教えてくれた。

 やはり予想の通り悪寒は、こいつのせいのようだ。


「止めろよ、屑野郎。気持ち悪いんだよ。あと、驚くんだよ」

 口調を強める。

 だが奴は、そのことを気にする素振りも見せずに、

「別に良いじゃ無いか。会話が必要なくなるんだよ。互いに無駄な時間が減らせ、得じゃないか」

 とさも当然で、自分の考えが世界の考えである、と言わんばかりに自信満々に言ってきた。


(バカが)

「気持ち悪い感じがするから、嫌なんだよ」

 皆が思うであろう当然のことを口を滑らせると、

「あはは、君はやっぱり面白いね」

 笑いを堪えずに大きく笑った。


(私の考えって普通だよね。皆だってそうだよね)

 分らなくなり始めていると、

「この世界の子供達も大人達も皆、誰だって僕には、僕達にはそんな事を言わないよ」

 と言い出した。


(意味がわからない、皆、嫌に決まってるだろ。言えないだけで)

 悶々とした気持ちを胸の内で抱き、疑惑の視線を向けると、

「喜んでいる人の方が多いよ。皆は嬉しいんだよ」

 またも自信満々に言ってきた。


(そんな訳がない。絶対皆気持ち悪いって、皆もそうだよね。そうだと言ってくれ頼むよ)

 誰かも分からない何かに頼んでいると、

「君、誰に頼んでいるんだい」

 馬鹿にする調子で言われた。


(『誰』って私は、・・・あれ、私誰に話しかけてるんだ)

 本当に分らないため「う~ん」と声を出していると、

(あれ、今どうして、彼奴は、私の考えが分かったんだ、悪寒が無かったぞ)

 と思いびっくらこいた目で影を見ると

「身体的な反応、実は消すことが出来るんだよ」

 さも当然かつ自然なように言ってきた。


「はっ、お前どうして、それを言わないんだよ」

 今までの悪寒はなんだったんだ、と怒り心頭で問いかけると、

「そんなの此処にやってくる人間の反応が面白いからだよ」

 と返答してきた。笑いそうな声で。


「まぁ、本題に戻そうか、君の師範の話に。君は、どうやら、数少ない変人に習おうと思っているだろうけどね、君の考え通りには行かないよ」

 笑いを堪えた、何処か陰湿な声で言ってきた。


「どうしてですか」

 意味が分らない、と言った様子で聞く。

 この会話、2度目のような気がする。気のせいだろうか。・・・まぁ置いておこう。


 するろ影は応えた。

 笑いながら、猫の姿ですら分かる何か、気持ちが悪い不快な表情で、

「闇も創造も僕の分野だ。だからこそ言える。君に教えることの出来るような才能、実力がある者、はこの世に存在しないとね」

 気持ちが悪い不快な声が頭の中に響き渡った。

 愉快そうな、何処か真剣な、この世の者とは思えないような『何か』の声だ。


「それでも、別に構わないのでは無いですか」

 私は、心の底から思っていることを言ってやった。

 そうすると、陰は、笑いの顔を止めた。猫の姿でも分かる冷たい顔になった。


「君は、この世に無いほどの才能なんだよ。だから、僕が教えるんだ。才能が無い者が教えるのは、看過出来ないんだよ」

 そう言う奴は、段々膨らみながら近づいてきた。


 私の眼前まで迫ると笑いながら、

「それじゃ、また明日」

 こう言いながら私を身体を押した。


 地面に後頭部から落ちていく。

 だが、体は一切動かない。


(ぎゃああ)

 と驚きのあまり叫び、目を見開く。

 その時の視界に映る影の姿は、人のようで、どこか確実に人ではない、朧げな姿だった。



 ・・・・



「はっ」

 漫画や、アニメのように声を出しながら目覚めた。


(あの、屑野郎ふざけんなよ。もっとまともな起こし方あっただろ)

 と憤怒の感情を抱き、ベットから勢いよく起き上がった。

 外の景色を見ると空には、綺麗な透き通るような蒼い空が広がっていた。


「雲、一つ無い空って珍しいな」

(やっぱり、あんな暗いてか、黒くてジメジメしたごみみたいな所より、この空だよ。綺麗だな)

 強い感動さえ覚え、嬉しくなる。


 こんな狭い・・・いや、狭くはないな。前世の部屋の倍くらいはある。

 ・・・取り敢えず、部屋から飛び出て、お外を駆け回るたい。

 嬉しさのあまりに思ったりもした。


 そしてふと、

(寝る前にいたお父様は、流石に帰ってるよな)

 気になり、部屋を見渡そうとしたところで、私は頭を止めた。


 なぜなら、見回そうと頭を動かしていると、私のベットに顔を突っ込んで寝ているお父様の姿が目に映ったからだ。


(マジで居たんだけど。仕事大丈夫なのか)

 という心配の気持ちと、

(これは、死なないだろうか。大丈夫だよね。窒息死とか、やだよ。結構私、尊敬しているのに。特にめげずに何度も、何度も挑戦するところとか)

 という思いを抱き、お父様の寝ている姿に心配の目を向けていた。


 すると、「コツン、コツン」と窓の方から聞こえてきた。


(何だ、侵入者か。・・・終わった。私の人生ジ・エンド)

 ふざけながら、窓を見るとそこには、黒い黒い猫がいた。

 まるで、深淵のような黒い毛の猫だ。

地味小話

このお話、黒歴史かつ既に削除した

『マッドでサイコな少女の部下』

と同じ世界線(過去)


2023/03/27、11:34

加筆、表現の変更、修正

2023/08/09、1:50

加筆、以下上と同文

2023/08/10、0:51

セリフ『因果関係』を『相関関係』に。

使われていた意味が、大きく異なっていた為。

2023/08/10、0:53

セリフ『相関関係』を『因果関係』に。

よくよく考えるとあっているような気がした為。

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