第87話 いくら何でも遅いよ道草食いすぎだよ
「遅い、どうして、こんなに遅いんだ」
僕は、何時まで経っても僕の前に姿を現すことの無い婚約者に痺れを切らしそう叫んだ。
「堪え下さい、坊ちゃん」
セバスは、僕に対してそう怒ったように言ってくるだけだった。
「うぅ、アウル、どうして僕が怒られないといけないんだ」
僕が自分の護衛に怒ったように問いかけると
「それは。。。あはは・・・」
笑って返してきた。
「どうして答えてくれないんだ、
僕よりも下の癖にどうして僕を待たせるんだ」
怒ってそう言うと
「坊ちゃん、失礼ですぞ」
セバスは、そう怒ってきた。
「僕は、失礼なんてしてない、あの男が悪いんだ、
お父様の腹心だからって僕を放置して、
婚約者を呼べって言ったのに何時までも呼んでこないあの男が悪いんだ」
僕がそう言うと
「侯爵様に失礼ですぞ」
セバスはまたそうやって怒ってきた。
(この家に来てからずっと怒られてる)
そう思いつつも僕が
「成り上がり侯爵家の癖に
何時まで僕を待たせるんだ」
と呟くと
「坊ちゃん、皇帝陛下にお叱りされますぞ」
セバスはそう怒ってきた。
「セバス達が言わなければ良い話しだろ」
僕がセバス達にそう怒るように言った。
…………
「お師匠様、あの、
お父様遅すぎませんか」
私は、マリーちゃん達を呼びに行ってから何時まで経っても帰ってこないお父様の事を思いながらそうお師匠に聞くように話しかけると
「あぁ、確かにあいつ遅いな、
人を呼ぶことすら出来ないのか、あの馬鹿野郎」
暴言をお父様に対して吐いた。
(酷くね、ていうかあれでもあんたの上司だよ、
良いのそんな事言っても、クビにならないの)
私が心の中でそう呟いた後に
「あの、お父様も頑張ってるはずなので、
その、酷いことを言ったらいけないと思います」
と私は、
(まぁ、私も時々言うけど)
こう思いながら言うと
「あぁ、そうだな」
お前が言うなよと言う視線で返された。
(私は良いんだよ、私は)
心の中でそう呟いた後に
「本当に遅いですね、
私探してきますね」
お父様のお話に戻して私がそう言うと
「馬鹿かお前」
お師匠様はそう辛辣に言ってきた。
「馬鹿って何ですか、
私は、馬鹿とかけ離れていますよ」
モンド先生の時と同じノリで私は、返してしまった。
「否定してもお前が馬鹿な事実は変わることなんてねーよ」
お師匠は、私の馬鹿じゃ無い発言を否定してきた。
「うっ、
どれだけ否定されようが私が馬鹿なんて言うのは嘘ですよ、
それに私が馬鹿みたいな行動をしていないじゃないですか」
私がそう言うと
「お前自分の今現在の状況とさっきの発言思い出して見ろよ」
お師匠様はそう言ってきた。
(私も馬鹿なこと言ったなって一応分ってる、
今現在私は、客人しかも皇族を待たせてる、
その状態で私がお父様達を探しに行ってすれ違いでも起こして更に待たせたらヤバいって言うのは私でも分ってる、
だけど、その事に気付いている旨の発言をしたら、
まるで私が分っていたのにも関わらず言った馬鹿野郎って事になる)
心の中で素早くそう呟き
「私は、馬鹿じゃありません」
そう宣言すると
「そうか」
お師匠様はそう可哀想な物でも見るような目を私に向け言ってきた。
「そんな目を私に向けないでくださいよ」
私は、お師匠様が私に向けてる視線にそう言うと
「あぁ、分った」
そう言い視線を外してくれた。
視線が外れているはずなのに何故か、
本当に何故か、理由は不明なのだが、
憐れむような感情が向けられているように感じる、
(不思議だね、誰が向けてくるんだろうね)
私は、分っているがそう心の中で呟き
「そっ、そういえば、おっお父様、流石に遅すぎませんか」
とこの状況を変えたいと思いながらそう発言すると
「あぁ、そうだな、
確かに遅すぎるな」
お師匠様は、そう返答をしてきた。
「あの、探してきてくれますか、
蹴ろうとしたら私が何が何でも絶対に止めるので」
私がそう言うと
「分った、それじゃあ、探してくる」
お師匠様は、そう言ってお父様が向かっていった方向と同じ方に歩いて行ったと思いきや
「お前、あいつが蹴破ろうとしたら絶対に守れよ」
と言いながら戻ってきて今度こそ向かっていった。
「本当にお父様、遅いな、
何してるんだろう」
私がお父様とお師匠様が向かっていった通路を眺めながら呟くと
一瞬、本当に一瞬、
どれ位かというとコンマ1秒も無いくらいの一瞬、
私の視界の端の端に何かが映ったような気がした。
視界に映ったのは、
一瞬過ぎて形も色も正確には分らなかったが、
白寄りの色が映ったような気がした。
モンド先生が嫌がらせにでもしてきたのかな、魔法でも飛ばして
そう思いながらその何かが移動していった方を見ると
そこには、お父様がいた。
しかも、何故か、部屋に侵入しようとしているように見えた。
(流石にそれは、無謀だろ、
私此処にいるんだよ、扉開けたら流石に音で気付くよ)
私がそう思うほどに私は、扉の近くにいた。
私の現在位置は、
お師匠様と扉の前で立ち話をしていた故に扉の前にいる。
それじゃあ、お父様が何処にいるか、
それは、私と扉の間にある非常に狭い隙間だ。
まぁ、2か3メートルくらいはあるけど。
私は、気付かれていると思っていないお父様を見ていると少し嫌な予感がしたので
「お父様、何をやっているんですか、
流石にそこで扉を開けると気付くので無謀ですよ」
と話しかけると驚いたように少し動いた後に
「よく気付けたね」
お父様は、そう驚いたように言ってきた。
評価の☆を押して下さった方、ブックマークして下さった方ありがとうございます。
それと、昨夜と同じでPV300を超えました。ありがとうございます。
明日のPV数は多分ですが84くらいになると思います
最後にもう一個、春の2023推理をやろうと思うので、
もしかしたら、こっちが上がらない日があるかもです。
私は、推理小説を書ける分らないので挑戦してみようと思います。




