第83話 失われし私の宝、それとお久しぶりです
何やかんや先生と色々あり結局、
結界魔法の練習をすることになり、
貼り終わった私は、目の前にある宝石のような巨石を見つめていた。
「君、見ているだけじゃ無くて、
やったらどうだい」
先生は、私を見かねたのかそう言ってきた。
「やっ、やりますよ、
わっ、私は、覚悟を固めているんですよ」
私が怖くてやりたくないのでそう言うと
「早くやりなよ、
そうやってるともっと怖くなるだろう」
先生は、そう言ってきた。
「わっ、分りました、
やっ、やりますから、
少しだけ、待って下さい」
私がそう言うと
「は・や・く・は・や・く・は・や・く」
最悪な急かし方をしてきた。
前世でも親友に同じ事をされた事があるので少しだけ、
懐かしくなり、そして前世の親友と目の前の先生に少しだけ怒りを覚えた。
「分りました、やってやりますよ」
怒りを覚えた私は、何故かこう宣言してしまった。
(もう言っちゃったんだ、
後戻りは出来ない、やるしかねー)
そう思った私は、
小さい黒い槍を結界の外側に生み出し、
直ぐに黒い石に出来るだけ早くして突っ込ませた。
その瞬間、黒い槍は、爆発して黒い石は、辺りに爆弾のように四散した。
(あっ、やっば、
これ、辺りの壁ヤバクネ)
そう思いつつも油断していると一気に爆風と共に石の鋭い破片が、私の方に飛んできた。
「わわわ」
怖くなりそう呟いているとその破片は
『ガキン』とも『カキン』とも癒えない無い音とともに
私の目の前でいきなり勢いを失い床に没した。
爆風も防げた。これは、驚きだ。
「はぁ、よかった、防げた」
そう思ってふと後ろを見ると私の顔の位置、
微妙に違うか、え~と、髪の横くらいの位置の壁に一際大きい石の破片が突き刺さっていた。
そうして気付いた。
私の髪の毛は、また、
そう、また、落ちてしまったのだ。
床には、確かに白色の糸状の物が落ちていた。
私の髪の色と同じだ。
「先生、私の髪の毛、どうなりました」
私がそう先生に呟くと
「ぷっ、すっ、すまない」
こう笑う声が聞こえてしまった。
「嘘ですよね、先生」
私がこう問いかけると
「君の髪の毛は、確かに落ちてるよ」
無情にも真実を教えてきた。
「くそ、くそ、くそ~
私の髪の毛とこの部屋の壁直して下さいよ、
先生のせいですよ」
私が少し前に落として以来、
やっと伸びた髪、
魔力の糸で誤魔化していた髪、
私が伸ばそうと頑張った髪がまた落ちてしまったのだ。
「部屋の壁は、はい、
これで直せたよ」
先生がこう言うと直ぐに壁が直り、
粉々になった黒い石が集まっていた。
「髪の毛も直してよ~」
私が泣きそうになり言うと
「すっ、すまない、
世の中には、直せない物も存在するんだよ」
先生は、そう残酷にも言ってきた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
私がそう泣き叫ぶと
「本当にすまないと思っている」
先生は、そう私に謝ってきた。
「なんで、なんでぇ、
あんなに、あんなにさぁ、
何時も、はさぁ、もっと、もっとさぁ、爆発、少なかったじゃん、
どうしてさぁ、あんなにさぁ、爆発大きいの、なんでよ」
私がそう先生に聞くと
「それは、すまないと思っているんだが、
えと、僕が、少しだけ、爆発の威力を強めてしまったんだよ、
結界の魔法の訓練のために」
先生は、そう返事をしてきた。
先生が何故、爆発の威力を高めたのか、
それで起こる利益も何となく分るので
誰にこの怒りをぶつければ分らなかった私は、
「もっ、もう、もう、いいです、私は、
もう、眠ります、起こさないで下さい」
と言いながら私のベットに飛び込むようにして不貞寝をした。
…………
「おはようございます」
私が不貞寝して目覚めると朝になっていた。
冷静になると何故、私があそこまで怒っていたのかが分らなかったので
「先生、モンド先生、昨日は、すいません」
私が、何処にいるのかが分らない先生に謝ると
「君が、謝る必要は無いよ、
それと、昨日は、ごめんね」
先生は、そう言いながら何処からか出てきた。
「別に構いませんよ」
私が先生にそう返事をすると
「君、昨日は、怒っていなかったかい」
先生は、そう質問をしてきた。
「あはは、まぁ、
怒っていましたけど、
起きたら何か、もう良いかな~
って思ってしまって」
私が言うと
「君は、もっと気にしてると思ってたよ」
先生は、私にそう言ってきた。
「あはは、もしかして気にしてました」
私がそう問いかけると
「そりゃあ、僕が原因だから気にするに決まってるじゃ無いか」
先生は、そう申し訳なさそうな声で言ってきたので
「気にしてたんですか、
それじゃあ、先生、申し訳ないと思っているのなら、
やって貰いたいことがあるのですが構いませんか」
私がそう問いかけると
「いいよ、出来ないことは、出来ないからね」
先生がそう返事をしてきたので私は、
「それじゃあ、先生、お願いです、
私に先生を撫でさせて下さい」
とこうお願いをする。
「そんな事で良いのかい」
先生は、正気を疑うような声で言ってきた。
「勿論、私は、今まで無理矢理撫でて大概逃げられてしまっているので、ちゃんと撫でたいのです」
私がこう言うと嫌そうな顔をして
「分ったよ、良いよ」
と先生は、許可をしてくれたので私は、
ベットから素早く起き上がり、先生を掴んで、またベットの中に入り、撫で回し始めた。
先生は、凄い嫌そうな顔をしていたが私は、無視をして撫で回し続けた。
撫で続けていると
『ガチャ』
と言う音が扉から鳴り
「エミリー、ただいま~」
この声と共に私に人が抱きついてきた。
私は、抱きついてきた人に対して
「何ですか、やめて下さいよ、お父様」
と怒るように言った。
(久しぶりにお父様見たな)
そう思いながら。
書いていませんでしたが実は、
47話、48話で切れてしまった髪の毛は、
魔法の糸とかで頑張って再現していました。
なので、誰にも髪の毛については、触れられませんでした。
魔法の糸は、どうして屋敷の結界に引っかからないの?
って気になる人もいるだろう、
そんなの使われてる魔力が少ないからだ。
それと、今回こんなに怒った理由は、書いていませんでしたが主人公が色々頑張ってたからです。
暇だったら頑張りを閑話として出すかも




