第378話 すぅー、ふぅー、よう分からん
すいません。とても時間がなかった
たぶん短いし、文章が狂ってる。
目の前に転がる鎧を見つめ、
「・・・さて、何処の奴かな」
ここがホーグランデン帝国の領土である為、彼の国の兵士の可能性が高いのだけども、一応は確認しておこう、の精神で頑張って鎧を動かし、刻まれている紋章を探した。
「あっれぇ、ないぞー」
小さく呟きながら、必死に探し続け、結局見つけることは叶わなかった。
本来、刻まれていたであろう所は見つけられたのだが、そこは黒塗りにされていてよく分らなかった。
所属を隠す必要性があったのか、それとも単純に目立つために潰したのか、私に考えられるのはこの二つだ。
「果たして」
考える材料が足りず、未だ判明したことはナニもなかった。
・・・あっ、一応一つだけありました。
中にいた人は、骨も残さず何処かに消えています。
「・・・怖いな、食われたか?」
鎧が綺麗に残ってることから考え、可能性は低いと思うが、そう考察をした。
けれど、肝心なあのイノシシ状の魔物は、レイが回収したのか見当たらないため、胃の中を開いたりができず、否定することもできなかった。
「うーん、何でかなぁ」
色々と足りない状況に声を漏らし、黒塗りにされた箇所を服で拭った。
もしかしたら、落ちるかも知れない、と考えたのだ。
だが、まあ、案の定落ちることはなく、逆にこちらの服に黒が滲んだ。
「・・・何にも上手くいかないな」
嫌気が差して呟きつつ、鎧の内部に手を入れた。
中身はやはり空洞で、とても冷たかった。
「ナニもないかぁ」
溜息交じりに漏らし、色々と捜した。
そして、
「・・・あった」
紙を見つけた。
「えーと、『明日、この世に主が降臨する』・・・えっ? 読めない」
最初の一文はギリギリ読むことができた。
だが、それ以降の文を読むことは叶わなかった。
紙が小さく、それに加え、書き殴られた文字で何と書いてるのかが分からなかった。
・・・というか、これは本当に文字なのだろうか?
形が崩れきり、乱雑に並んだ線にしか思えない。
「薬か酒、かな」
文字を書ける教育を受けていると思われるのに、このような可笑しい文章が書かれた原因を推測した。
推測通りならば、泥酔、または薬により症状での妄想だろうか?
「・・・主、か」
ここに書かれている『神』が鎧の持ち主にとって、如何なる存在かは知れないが、どうもまともなものには思えなかった。
鎧の持ち主が単に『狂信者』である、という可能性も否めないのだが、『降臨』というか、現れた存在が化物であったし、それに気持ちの悪いほどの狂気を紙からは感じてしまう。
「そういえば、あと何人かいたよな」
彼が生存している時、魔法に映ったのは一人ではなかったことを思いだした。
けれども、それと同時に魔力がないことも思い出した。
「えーと、たしか・・・」
イノシシ状の魔物の存在を確認した際、その時に使用した魔法に映ったものたちを思い出し、精査した。
だが、虫食いだらけの記憶は、定かではなく、結局よく分らなかった。
「・・・明日、来るか」
考えが詰まり、どうしようもなく感じ、呟いたところで、
(そういえば、私、どうやって帰れば良いのだろう)
今まで考えていなかったことを思い出した。
「学院、あるよな」
魔力もなく、帰るための時間もない。
(これは、だいぶ面倒臭いし、それに不味いな)
とだいぶ焦りを積もらせるのだった。




