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第376話 なんだかない、はい

凄い短い。なんだか、やる気が起きなかった。

あと、考えを文章として出力できなかった。

『カツン』

 と棒を床にたたきつけ、暗い森の中を歩いた。

 月は出ていると思うのだが、生い茂った木の葉により、月光は遮られてしまっている。

 ・・・もうすぐ冬だと思うのだけど、ここらのは常緑植物なのだろうか?


「まあ、どうでも良いか」

「どうかしました?」

「いや、何でもないです」

「そうですか?」


 適当に漏らした言葉への反応に、適当な返事をしつつ、

(あれかな)

 大穴に到着した。


「・・・降りますか。転げ落ちそうになったら、助けていただけません?」

「大丈夫ですけど、間に合わなかったらごめんなさい」

「間に合わなかった、と嘯いて、助けない、というのはやめて下さいよ」

「そんなことはしませんよ」


 関係性の都合により、少々怖くはあるが、信用することにして、ゆっくりと穴を下っていった。

 落ちそうにもなったが、ギリギリ耐えることが出来た。

 少し、木の棒がミシッて音を上げて怖かったです。


「えーと、ナニカ残ってるかな」

 私の魔力を奪った奴の残留している証拠を探してみる。

 だが、まあ、やはりそれらしき物はなかった。

「すぅー、ないですよねぇ、そりゃあ」

 小さく声を漏らしつつ、再度辺りを見渡して、疑問を抱いた。


「レイ、私のなくなった方の足って、食われたんですよね」

「見てないですけど、たぶん」

「そのはず、ですよね」


 信じられない量の血痕はあるのだが、何故だか一片も見られない自分の足に疑問、それと戸惑いを覚えた。

 あの獣に、綺麗に食べ切る、という知性がある可能性もあるし、此処にいない間に、別の動物に持ってかれた、という可能性も否めないのだが・・・。


(どうしてなんだろうな?)

 少し考えたが、思いつきそうになかったので諦め、降りてきた斜面に棒を突き刺した。

 すると、

「あれっ? もう帰るのですか?」

 レイがポカンとした表情で問いかけてきた。


「いえ、違います。・・・レイ、此処照らしてくれませんか?」

「あっ、勿論です」


 目的の近くには来ていると思うのだが、目的物を発見できずに、頼みはしたものの、捜さないのは違うかなー、と思ったので、必死に目を凝らした。

 そして、結局見つけることは叶わず、

「えっと、この辺りですか?」

 近くでレイの声が響くことになった。


(若干悔しい)

 暗すぎる状況を呪いながら、

「・・・はい・・・いや、もうちょっと右、いや、左です」

 方向を色々と指示をして、そして遂に、

「あっ、そこです!」

 目的物を見つけることが叶った。


(やっぱり、私の目は確かだったよなぁ。私は凄い!)

 少々嬉しく思いつつ、鈍くて冷たい輝き、それと艶やかな輝きを発する目的物に、負けたことにより幾許か喪失していた自信を回復していると、

「ナニしてるんですか?」

 地面に跪き、土を掘り返しているのが気になったのか、問いかけられた。


「分かりません? これですよ、これ」

 掘り起こしているものを指し示すと、

「・・・うわぁ、貴女、変な趣味に目覚めたの?」

 たぶん、彼女の素の口調が漏れた。


「いえ、死体漁りが趣味な訳ないでしょう? 色々な確認ですよ」

「・・・そうですか、良いと思いますよ」

「納得してませんね。てか、私が死体を好きになる要素がないでしょう? 箱入り娘ですよ。今まで、指で数えられ程しか見てませんし」


 何故疑われているのか、と疑問を呈さずにはいられなかった。

 その為に弁明をしたのだが、彼女の目にはさらに不審が募ったように見えた。

 どうやら、必死な言訳に写ってしまったようだ。


 他者に思いを伝えるのは難しいなー、とある種の悟りを開きつつ、

「レイも手伝って下さい」

 色々と文句を抑え、黙々と土を掘り返すのだった。

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